「定年後の団塊の世代の住み替え」団塊世代アンケート 3人に1人「近所」

 ■田舎・都心では夫婦に意識の違い

 定年をきっかけに、住まいを替えたい団塊世代の多いことが、読売広告社(東京都中央区)の調査で分かった。

 五十五歳から五十九歳までの男女で、都心から四十キロ圏内に住む持ち家居住者に聞いたアンケートによると、35%が「住み替えたい」「できれば住み替えたい」と回答した。

転居先では、田舎暮らしを望む人が26%いる半面、20%が都心部や市街地の中心部を挙げた。
 郊外に家を買って長距離通勤していたサラリーマンが、都心部へと移り住んで食や芸術を楽しむ“団塊ライフ”をターゲットにしたマンション開発や新ビジネスも生まれてきそうだ。

 アンケートは昨年末に四百人を対象に実施。住み替え希望の調査では「今住んでいる家に住み続けたい」との答えが50・5%と最大だったが、「住み替えたい」が10・8%、「できれば住み替えたい」も24・3%いた。

 住み替え先は「近所」が36・4%で最大。「地方や田舎」が26・4%、「都心部・中心部」が20%で続いている。

男女別では男性が「地方や田舎」で四割を超えたのに対して女性は二割以下。「都心部・中心部」では女性が男性を上回った。

働きつかれた体を休めアウトドア趣味に走りたい“お父さん”と、長年家を守り続けこれからは都会のにぎやかさを楽しみたい“お母さん”の意識に違いが出た。

 転居先では「分譲一戸建て」が52・1%で「分譲マンション」が40%となった。住み替え前の住居は「持ち家一戸建て」が69・3%、「分譲マンション」は30・7%。「防犯性が高い」「メンテナンスが楽」「機能的」といった理由で、一戸建てからマンションに移りたい意欲の高いことが分かった。

 実際の住み替えの実現性では「できそう」が26・4%、「可能性は半々」が34・3%で、「無理そう」の15%を上回った。「できそう」と確信を持っている層の平均年収は九百九十四万円で、金融資産は四千四十一万円。

確信を持っていない層の年収七百九十三万円、金融資産二千二十万円を上回っており、長年蓄えてきたストックが転居の意欲を支えている。

 一方、住み替え後も夫婦仲良く、とはいかない心配もある。

転居をきっかけに「一人で暮らしたい」と答えた女性が6・6%おり、ゼロだった男性と差が出た。「友人」も女性は1・3%いるが男性はゼロ。

女性が独立していく“団塊別居”の出現が、熟年女性に好まれるマンションの開発や、カルチャースクール、旅行といった熟年女性向けサービスの企画に結びつく可能性もありそうだ。

 団塊世代に関する調査では三月に電通が、七兆七千七百六十二億円の消費押し上げ効果があると試算。別荘購入が二兆七千四百二十二億円、住み替えやリフォームが一兆三千三百七十八億円と、相当な額に上ると指摘している。

男性と女性の意識の違いが明確になってきている。

熟年離婚の問題とあわあせて定年後も頭の痛い問題を考えていかなくてはいけない。
それにしても男はいつから楽になれるのだろうか?
団塊の世代は定年後どこに住みたいのか?