京都社寺の庭園様式

伝統的な日本庭園の様式は、「池泉(ちせん)庭園」、「枯山水(かれさんすい)」、「露地(ろじ)」の3つに大きく分類されています。更に池泉庭園は、庭園を観賞する方法によって、「観賞式」、「回遊式」、「舟遊式」、あるいはそれらのいくつかを取り入れたもの、等に細分されています。そして、これらの内容は以下のとおりです。

池泉庭園 :
自然の山水の景色を写してつくられる庭園の様式で、そこには山があり、川があり、池がある庭をいいます。この様式の庭には「水」という要素が取り入れられています。
観賞式 :
庭には下りずに、座敷に座って眺めて観賞する方法。
回遊式 :
庭の中を順路を定めて歩きながら観賞する方法。
舟遊式 :
「しゅうゆうしき」と読みます。庭に設けた広大な池の中を舟遊びをしながら観賞する方法。
枯山水 :
水を象徴した白砂を庭に敷き詰め、その白砂の上に景石を置いたり、白砂に波紋を描いたりして、島、海洋、波といったものを表現する形式。この様式の庭には「水」という要素がありません。
露地 :
茶室に付属して設けられた茶庭。千利休は短歌で
『露地はただ浮世の外の道なるに心の塵をなぞ散らすらむ』
と歌って、露地を、人を茶室に導きいれる通路であるとともに、雑念を払って茶の湯の世界にいざなうためのもの、と位置づけています。それ故に露地は、何も飾らないありのままの、もの静かな風情のたたずまいがよしとされます。
名 称 庭園様式 観賞方式 様 式 地 域
詩仙堂 枯山水 洛北
三千院 池泉庭園 回遊式 池泉回遊式 洛北
常照寺 枯山水 洛北
神光院 池泉庭園 観賞式 池泉観賞式 洛北
高桐院 枯山水・露地 洛北
曼殊院 枯山水 洛北
宝泉院 枯山水 洛北
寂光院 池泉庭園 観賞式 池泉観賞式 洛北
実相院 池泉庭園 観賞式 池泉観賞式 洛北
南禅寺/本坊方丈庭園 枯山水 洛東
南禅寺/南禅院 池泉庭園 回遊式 池泉回遊式 洛東
高台寺 池泉庭園 観賞式 池泉観賞式 洛東
宝鏡寺 枯山水 洛中
神泉苑 池泉庭園 舟遊式 池泉舟遊式 洛中
金閣寺 池泉庭園 回遊式 池泉回遊式 洛西
竜安寺 枯山水 洛西
仁和寺 池泉庭園・枯山水 観賞式 池泉観賞式 洛西
天龍寺 池泉庭園 回遊式 池泉回遊式 洛西
等持院 池泉庭園 回遊式 池泉回遊式 洛西
勧修寺 池泉庭園 舟遊式 池泉舟遊式 洛南
東福寺本坊 枯山水 洛南
随心院 池泉庭園 観賞式 池泉観賞式 洛南
平等院鳳凰堂 池泉庭園 舟遊式 池泉舟遊式 洛南