京都観光豆知識−建築用語−

京都観光の際、鑑賞をより深みのあるものにするたの主な建築用語に関する予備知識です。

塔(とう)

梵語(サンスクリット語)のストゥーパを音写した「卒塔婆(そとば)」の略で、元来は仏陀の骨を納めた建物である仏塔をさしますが、やがて仏像の安置が主となり、しだいに寺院の象徴的存在へと変遷しました。高くそびえる細長い建物で、木造が主流です。醍醐寺や東寺には五重塔が立ち、高山寺の宝篋(ほうきょう)院塔・如法経塔は重要文化財です。

三門(さんもん)

日本における門は寺院建築とともにもたらされました。禅宗寺院にある仏殿を解脱の境地にたとえ、解脱の境地に至る「空(くう)門」、「無相(むそう)門」、「無作(むさ)門」の三解脱門を寺院の門に例えて「三門」といいます。また、山門は三門と同意語です。山門は、禅宗寺院が山中に建てられるようになったことから用いられるようになったものです。

大きな寺院の主要な門には二階建ての楼門(ろうもん)や二重門が使用されています。門の両脇に仁王像が立つものは仁王門と呼ばれます。南禅寺の勅使門、三門は共に重要文化財です。

塔頭(たっちゅう)

元は禅寺で高僧の死後、その弟子が開山の祖の墓を守るために塔(祖師や高僧の墓塔)の頭(ほとり)やその敷地内に建てた小院を指しますが、以後、敷地内に高僧が隠棲するために住いした住房や庵居も子院(しいん)となり、これらも塔頭と呼ばれるようになりました。

妙心寺の広大な境内には46の塔頭があります。

方丈(ほうじょう)

一丈四方のことを指しますが、主に禅宗寺院で住職のいる建物で、一丈四方の小さな建物であったためにこう呼ばれます。なお「丈」は長さの単位で、一尺の10倍の約3mなので、一丈四方は約9uになります。

鳥居(とりい)

神域の境界を表す建造物(一種の門)。多くは木や石で造られます。日本の鳥居の形式は、八坂神社の鳥居のように直線的な構造をもつ神明(しんめい)系といわれるものを基本として、野宮神社に見られる明神(みょうじん)系といわれるものなどがあります。

鳥居は、参道などの出入り口に設けられて、境域の外側から一の鳥居、二の鳥居というふうに数えられます。