二日目。
明るくなりつつあるテントの中で、ふと目が覚めました。
時計を見ると、午前4時10分前。
入り口のシートを開いて外を見てみると、朝焼けと言うにはまだ早い時間ながら、外はもうかなり明るくなっていました。
中天には、下弦を少し過ぎた月が、真珠色に輝いています。


…ああ、そういえば。
昨夜、メールで朝日の写真を依頼されたことを思い出しました。
この分なら、日が昇るまであと一時間以上かかりそうだ。
そう思った私は、再びシュラフに潜り込みました。





…後で大・後・悔(^_^;)


キャンプ場から見た朝の桧原湖です



そして午前6時少し前。

二度寝から心地よく目覚めた私は、外に出て愕然とすることになります。







…もう日が高く昇ってるじゃん…(T_T)
(ちなみに、この日の日の出は、午前4時15分でした…(^_^;))



キャンプの朝食後に、コーヒーは欠かせません♪
一瞬で目の覚めてしまった私は、機を取り直して朝食にかかります。
今日の朝食は、昨日コンビニで買っておいてパンとおにぎり。
手早く朝食を済ませると、コーヒーを沸かして、まったりと朝の清々しいキャンプ場の空気を満喫します。
この瞬間の雰囲気だけは、何度体験しても飽きることはありません。









テントの手前までバイクを入れられたのは、とても助かりました。
それにしても、この時は本当に天気のいい朝でした。
ただキャンプするだけが目的だったはずなのですが、このまま帰るのが惜しいほどです。
そこで、前日メールを下さった方の薦めに従って、早朝(というにはもうだいぶ時間が経ち過ぎましたが)の秋元湖へ行ってみることにしました。
夜露に濡れたフライシートが乾くのを待って、テントの撤収にかかります。
そして、すべての準備を終えたあとで、管理人さんに挨拶し、ママキャンプ場を出発しました。





まず最初に着いたのは、昨日も訪れた道の駅「裏磐梯」です。
まだ朝9時ということもあって、従業員の皆さんが忙しそうに今日の準備に追われています。
さっそく、私はここで冷え始めたばかりのラムネを買いました♪



ここで一服したあと、再びR459に戻って秋元湖を目指します。
休日ならば観光客でごった返すこの道も、月曜日の早朝はほとんど車の通りがありません。
ゆったりとバイクを走らせる私の周りを、心地よい風が吹き抜けていきます。



この背後に駐車場があります。がらんとしてました。
と、桧原湖の遊覧船の船着場(正しい名前知らなかった…(^_^;))のそばを通りすぎるとき、そこの駐車場がほとんど空であることにふと気づきました。
ここはいつもクルマで埋め尽くされている場所なので、このような光景を目にするのは珍しいことです。
興味に駆られて、立ち寄ることにしました。
駐車場にバイクを止めた私の目に入ってきたのは、実に静かな湖畔の光景でした。
このような天気の休日ならば、おそらくは観光客でいっぱいであろうこの湖が、今日は静かにたたずんでいます。
よく晴れた早朝、人のいないこの湖がこれほど美しくも静謐なものだとは思ってもいませんでした。






しばらく桧原湖畔にたたずんでいた私は、意を決して秋元湖へ向かいます。
前日通った、桧原湖北端へ向かう交差点を過ぎて、次の信号を左へ。
後は道なりに走れば秋元湖畔に出ます。
(実は帰ってから気づいたのですが、この道を通って出るのは、小野川湖畔なのでした…(^_^;)。私は最後まで秋元湖と信じていたわけですが、以下、小野川湖で統一します)



静かな湖面が、朝の気配を醸し出しています。

この湖は桧原湖ほど周囲の交通が整備されていないせいか、桧原湖よりもさらに静かな湖でした
。雲のほとんどないよく晴れた青空に映える静かな湖。
休日の直後の朝でなければ、まさにめぐり会えない風景です。
そんな風景の中をバイクで走っていくのは、とても気持ちのいいものでした。


湖の最奥部。ここにもキャンプ場がありました。




小野川湖畔を走り終えた私は、磐梯吾妻レークラインを走ってみることにしました。
この道は昨年(2002年)の秋に、紅葉を見に来たときに道を間違えて入った記憶があります。
あのとき見た、思いがけないほど素晴らしい風景が季節を変えるとどう変わるか、それを見てみたかったのです。



レークラインです
さて、料金所を通りすぎると、そこには、瑞々しくも新緑というにはいささか濃い緑が広がっていました。
六月も下旬に入って暑さを増した空気と、少しだけ湿気を含む空の下を、私は駆け上がっていきます。











峠から見た秋元湖です。
峠に差し掛かると、私はそこで一息入れることにしました。
眼下には秋元湖(今度こそ本物(^_^;))が広がっています。
少々霞みがかかっているのが残念でしたが、これはまさしく初夏の風景でした。











昨年の秋には、ここも紅葉で彩られていました。
下りに入ってしばらく走った後で、紅葉の季節に足を止めた中津川渓谷で再びバイクを止めます。
昨年来たときは赤と黄色の極彩色だった渓谷も、今は緑で埋め尽くされています。
渓谷を渡る端の上で、
「やっぱり緑っていいなあ…♪」
と思いつつたたずんでいると、不意に辺り一面に爆音が轟きました。
慌てて道路を見てみましたが、それらしいクルマは一台もいません。
そもそも、クルマの爆音は、いくら大きくても手すりを振動させるほどではありません。
じゃ、飛行機か? と空を振り仰いだ私の視線の先に、
どう見ても民間のものとは思えないジェット機が、
どう見ても民間のものとは思えないスピードでかっ飛んでました。
見えたのはほんの数秒でしたが、
その間私は、



「おおっ、アレはナンバー680で名高いあの機体か!♪」

(注:このネタ分かる人は、かなりの”通”です(^_^;))
なんて見とれていました…(^_^;)


中津川レストハウスです
その後、私は休憩のため中津川レストハウスに向かいました。
中津川渓谷を見下ろす位置にあるこのレストハウスは、レークラインを走った後に一服するのに、実に手ごろな場所にあります。












こういう雰囲気って、何故か好きです
駐車場に入ってみると、
思った以上にそこは閑散としていました。

五十台以上は停められそうな広い駐車場に、
今日はほんの数台のクルマが停まっているだけ。

けれども、
そこには閑散とした観光地にありがちな侘しさなどは微塵もなくて、
代わって、初夏の陽光も手伝ってか、とても安らいだ雰囲気が漂っていました。




そこで、私は三十分以上もたたずんでいました。
少しだけ汗ばんだ初夏の陽光が降り注ぐ、クルマの一台もいない駐車場で、
耳をすませば、気の早いセミ達の声と、可聴領域をほんの少し上回るそよ風の音が聞こえるなかに、
ライダージャケットを脱いで身をさらしているのは、非日常でありながらとても穏やかな気分になれて…。
そんな中にいた時間は、まさに安らぎに満ちていました。




しばらくレストハウスで休んだあと、私は再びレークラインに戻りました。
料金所を過ぎて県道70に入ります。
この道の先には、磐梯吾妻スカイラインへと続く道があります。
林の中を抜けるその道を通り、R115〜R459へ出たあとで、私は最後の休憩を取りました。
月曜日なので、休憩場所として選んだコンビニには、スーツ姿のサラリーマンも多く見られます。
ここには、もう日常の時間が流れていました。



午前中はよく見えていた磐梯山も、頂上が隠れてしまいました
今回のツーリングは、近場で一泊キャンプをして、日常のあれやこれやからちょっと離れてみようか、という軽い気持ちで出かけたのですが、予期した何倍もの収穫がありました。
それに、いい天気にも恵まれて、素敵な景色もたくさん見ることができましたし♪


福島県裏磐梯。

季節を変えて何度でもキャンプにやって来たい場所です。
(できれば、よく晴れた平日に…(^_^;))

さあ、後は帰宅するだけです!!


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