タイトル

   [二日目のルート]
 木崎キャンプ場〜R147〜(道に迷った(^_^;))〜県道67〜ビーナスライン〜美ヶ原高原〜ビーナスライン〜
 県道67〜長野自動車道(松本IC〜更埴JCT)〜上信越自動車道(更埴JCT〜上越JCT)〜北陸自動車道
 (上越JCT〜三条燕IC)〜帰宅

早朝の木崎湖です。朝もやが何とも幻想的でした。





…翌朝。
午前6時少し前に目が覚めました。
テントのシート越しに、外が明るくなっているのがわかります。


しばしの間まどろんだ後で、テントの外へ出てみます。
朝の、冷たくもすがすがしい空気の中で、
湖にはうっすらと霞がかかっていました。
ボートで湖に乗り出した釣り人がポイントを探しています。

耳をすませば、小鳥のさえずりに混じって、
遠くから響くモーターボートのエンジン音。
どうやら、朝釣りへと出かける人達のようです。


キャンプ場内も、少しずつ騒がしくなってきました。

…さあ、「今日」が始まります。





テントに戻った私は、昨日のうちに買っておいたおにぎりとサンドイッチでさっそく朝食を摂りました。
そして、コーヒーで一服。
キャンプ場で作るコーヒーは、たとえインスタントであっても本当においしいものです。
その後、散らかったテント内を片付けたり散歩したりしてまったり過ごしていると、隣でテントを張っていた淡路島から来たライダーの方が起き出してきました。
その人のテントは前室が広くて、雨に見舞われても快適に過ごせそうです。
しばらく今日の予定とバイク談義を交わした後で、彼はテントを撤収して出発していきました。
ほんの短いひとときでしたが、楽しい会話の後だけに、やはり別れは寂しいものです。
一期一会はツーリングライダーの常だということを、痛切に感じた一瞬でした…。


…さて、気を取り直して、私もそろそろ出発しなければ。
予定よりもかなり遅れてしまいましたが、
9時少し前に私もテントを撤収して出発しました。


キャンプ場を出てR467を南下。
前日無給油で250キロ以上も走ったので、ここでいったん給油した後、再びR467を松本に向かって南下します。
右手には日本アルプスがずっと続いていますが、どうも昨日ほど天候は良くなさそうです。
一時間ほど走って松本市内に入ったはいいのですが、ここでルートを間違えてしまい、
右往左往したあげくに南松本駅でルート確認を兼ねて休憩をとる羽目になりました…(^_^;)
ちなみに、私のタンクバックは、地図を見ながら走れるようなタイプではありません。


さて、正しいルートを確認した私は、松本市を抜けて県道67へ入りました。
ここから山間部までは、狭いながらもゆるやかな道が続きます。
しかし、山道に入ったとたんに状況は一変しました。
道がさらに狭くなったうえに、ワインディングにつぐワインディングが続きます。
おまけに、高度が上がるにつれて、カーブの向こう側には見事な絶景…、つまり落ちたら即死確実な崖が…(T_T)
慣れた人にはたまらない道なのでしょうが、こういう道が大の苦手な私にとっては、走りを楽しむ余裕も景色を楽しむ余裕もなく、必死で駆け上がっていきます。
(途中の写真がぜんぜんないのは、そのためでもあります…(^_^;))


そして、扉峠の駐車場にバイクを入れて一息。
そこで私は、キャンプ場で別れたはずの淡路島から来たライダーの方と再び出会いました。どうやら、木崎キャンプ場を出発した後で、ビーナスラインがどんなところか興味が沸いてやってきたみたいです。
それにしても、自由に動けるライダー同士が、同じ時間に同じ場所で再び出会うというのは、まさに偶然です。
それからまた小一時間ほど、私はその方と話し込みました。その方が先日行った、能登半島の見所についてもいろいろ伺いました。
その方は、ビーナスラインを南下して霧が峰に向かうと言ってました。そちらの方が、太平洋側を通って帰るのに都合がいいから、ということだそうです。一方、私はビーナスラインを北上して美ヶ原へ向かう予定でいました。ですから、これが本当のお別れです。
見送る私に踵を返しつつ、彼は颯爽と去っていきました。


さて、彼と別れたあと、私は扉峠から美ヶ原へと向かいました。
たしかに霧が峰も魅力的ではありましたが、そちらを通ると松本からかなり離れることになってしまいますし、それに何より、ここまで走った印象では、この道は私にとってかなりきつい道だという実感がありました。
だから「峰」と名のつく場所よりも、「原」と名のつく場所の方が、まだしも高度を下げられる(=楽な道)だろうと思ったのです。
ところが…。
はたして、これからは少しは楽になるぞと、内心喜びいさんで走っていった私の前には、さらにとんでもない道が待ち構えていました。

…あとで知ったことですが、この美ヶ原{高原」は標高2000メートルもの山のてっぺんに広がっており、日本百名山のひとつでもあるということです…。

カーブはもちろんのこと、入ったとたんにギアを一段落さなければ登れないような急な道さえある登り坂を、
「こんなはずじゃなかった…(T_T)」
と必死の思いで駆け上がっていきます。

美ヶ原高原です。美術館があるとは思ってもいませんでした。



そして頂上。
12時過ぎに、やっとの思いで到着した私を、意外な光景が待っていました。
見る限りにおいて、高原のかなりの面積を占める美術館。
まだいたるところに雪さえ残る、荒涼とした原野。
下界ではもう新緑の季節に突入しつつあるこの時期ですが、ここはまだ、やっと早春を迎えたという感じです。
けれども、やはりここは標高2000メートルの高地。さして晴れているわけでもないのに、地上を照りつける陽光には、ある種の鋭ささえ感じました。





高原から見た松本市街地です。視線を転じてみれば、霞の向こうに、南アルプスをはじめとする信州の山々が一望できます。
今日のような霞のかかった日に見てさえ、それは素晴らしい景観でした。
この光景を見ると、ほんとに信州は山に囲まれた土地なんだな、というのが実感できます。
ここで家族のおみやげにとパノラマ写真を買ったとき、売店の方が、
「昨日は、この写真とそっくり同じ風景が見えたよ♪」
と言ってました。
さもありなん、と私は思いました。たしかに、昨日のような天気ならば、きっと見渡す限り遠くの山々がすべて一望できたことでしょう。思わず、黒部ダムとどっちを先にするべきだったかな、と考え込んでしまいました(^_^;)


美術館の全景です。背後に写るの山並みがわかるでしょうか…


後で分かったことですが、この美ヶ原は、実際には、美術館の南西のかなり広い範囲にわたって広がっているそうです。そのため、ここだけを見たのでは、その魅力を十分に堪能したとは言えないと思います。ですから、また季節を変えてやって来るつもりです。

ここにはまだ雪が残っていました残雪は、場所によってはかなりの高さがあります



ここで、四方に広がる山々を眺めながら、今後の予定を考えました。このツーリングで回りたい場所はみんな回ることができましたし、今日はこの辺りで一泊しようかな、とも考えましたが、天候がだんだん悪化していること、昨夜経験したように、私の装備ではここの寒さは少しきついこと、そして、6日からの仕事に備えて明日一日を休養に充てた方がいいことなどを考え合わせて、このまま高速に乗って帰ることにしました。


高原から、県道464に向かう道です下りの途中で、こんな景色を見つけました。別に何ということはないんですが…(^_^;)






さて、帰りは来た道を松本まで引き返すことになります。この下りの道は行き以上に走るのが大変でした。といっても、一度通った道ですから、ある程度勝手はわかります。途中でチャリダーを二人、トライクも何台か見かけました。もちろんライダーは盛り沢山です。


県道67を下り、松本から長野道に乗ります。






姨捨SAから見た更埴市です




その途中で、眠気を催してきたので、姨捨SAで休憩を取りました。ここは、千曲高原のすぐ東にあるSAで、南北に流れる千曲川とその周囲に広がる更埴市街地がよく見渡せます。
30分ほど休憩を取った後で再び出発。それから一時間足らずで新潟県に入ります。





この日の信州はけっこう暑かったのですが、県境を越えたとたんに、天候が一変しました。
辺り一面に靄が立ち込め、何より気温が急激に下がってしまいました。あまりの寒さに、妙高SAに転がり込んで、ホットコーヒーで暖を取ります。
この辺りはまだ高地ですので、海岸まで下れば暖かくなるだろうと思っていましたが、上越JCTから北陸道に入っても寒いのは変わりません。あと二時間ほどで帰れるから我慢我慢…(T_T)、と自分に言い聞かせながら北陸道を走ります。


米山SAで見た夕日です。霞みがかかっていましたが、とても綺麗でした




その途中、米山SAで給油を兼ねて最後の休憩を取りました。霞越しでしたが、ちょうど沈みつつある夕陽がとても綺麗でした。
何だか、旅の終わりに、最後のご褒美を貰ったような気分です。
さて、ここから先はもう、一直線に帰るだけです。暗くなる前に家に着けるかな、と暮れなずむ夕空を見上げつつ、私は米山SAを後にしました…。

 








総走行距離:628.5km

 一日目に戻る ツーリングレポートに戻る