『話題休閑・縛鎖を断つもの4後』



信頼してもらっているから、召喚術発動の予告がなかったのは分かるけれど。
「納得いかない……ですよぉ」
恨めしそうにマグナと をジトーッと見詰めるパッフェル。
パッフェルを慰めるように、ルウとユエルが彼女の肩を叩いていた。
「まぁまぁ、 殿はマグナ殿へ大事な話がある様子。その間、拙者達はこちらで休んでおるのが最良でござろうよ」
がさり気なくカザミネに目配せすれば、理解したカザミネが遺跡からもう少し離れた場所へ仲間を誘導する。
「確かに、一休みしたいですね」
大きく息を吐き出したシャムロックの台詞がきっかけ。

彼等は とマグナの姿が見えない場所で休息を取る事となった。



彼等の姿が視界から消えきって、それで初めて はマグナに頭を下げる。
「すまなかった、マグナ」
「はえ?」
深々と頭を下げ真摯に謝罪する へ、なんとも間抜けな相槌をマグナは打った。
「実は汝を少しばかり謀っておったのだ。言うタイミングを逃してしまって、今更だがこの通りだ」
は捲くし立て、心底申し訳なく思い頭を更に下げる。
「たばかるって……何を? 俺、 に何か騙されてた??」
心当たりは一つもない。
何度も瞬きをして記憶を掘り返すマグナだが、思い当たるものは一つもない。

首を捻るマグナの前で は姿の封印を解いた。

「………あ、ああああ!!!!!」

驚きの余り言葉がない。言語中枢が混乱を極め麻痺する。
を、体感中のマグナは口をパクパク動かして、やっとそれだけの悲鳴をあげ を指差す。

「本当にすまない。初対面が、アレだったから……この姿を伝えるのが怖かったのだ」
胸の前で手を組み、気拙い思いを誤魔化し はもう一度謝った。

「や、そ、そ、そんな事はないけど…… って女の子だったの?」

今更的な疑問だとは自分でも思うし。
シャムロックやロッカみたいに。
こういう時にさり気ない優しさを発揮できない己が恨めしい。

心の中で悶絶しながらマグナは根性で へ尋ねた。

は心持ち俯き、美少女の姿で羞恥に頬を赤く染めて頷く。

普段セルボルト家の名に恥じない行動を心がけている としては、サイジェントの兄姉に汚名が及ばないかが唯一の不安材料。
己の気弱が招いた失態が恥ずかしかった。

なんて、 の気持をマグナが知る由もなく。

「か、か、か……」

 可愛い。

と、続けようとして。
天のお告げのように目が笑っていないカノンの笑顔が胸に蘇り。
マグナは見る間に血の気を失う。

「? マグナ???」
赤くなって青くなるマグナの顔色、暫くの間 は不思議そうに眺めていたのだった。


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 マグナだけでなく、これから徐々に全員が主人公にまつわるエトセトラを知っていく事に。
 次からは後半です。逆ハーちっく……のような雰囲気というか。ダークホースがまた一人?
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