『話題休閑 最初の戦い2後』





リプレにも説教されてやや不貞腐れている
を挟んでハヤトとトウヤが屋根に座る。

月を見上げながら。

「しっかし驚いたな、 って結構心臓強いんだな」
適応性が高いハヤトは を既に認めつつある。
笑顔で の気転を褒めちぎった。

「そうか?」

自分としては出来る範囲をしただけ。
下手したら殺されていたのは、ハヤトとトウヤの方だ。

不思議そうに が小首を傾げる。

が、落ち着いている子供だっていうのは良く分かったよ? でも……俺の心臓には悪かったかな」
胸を押さえてため息をつくトウヤの表情は弱弱しい。

 トウヤには悪いことをしたか。

元気のないトウヤの顔色に はそっとトウヤに抱きついた。

「無茶はしない……と思う。護りたいモノは護りたい。ワガママだとは思うが、僕にも譲れない。勘弁してくれ」
トクトク流れるトウヤの心臓。
耳で心臓の音を確かめながら、 が詫びれば微妙な空気が屋根上に流れる。

身じろぎしたのは一瞬で、直ぐに笑顔になって を抱き締めるトウヤ。

「勘弁できるかはその時次第だね。俺も遠慮なく怒ることは大事なんだって、ガゼルから学んだばかりだから」

フラットに戻ってからもう一度こってり怒られた
続いてレイドにもやんわり釘を刺されてしまって良いトコ無しだ。

観察眼は人一倍。
トウヤは会って間もない を叱れるガゼルとリプレ、心配できるレイドの率直な態度を羨ましいと思った。

皆みたいになりたいとも、思った。

「出来れば勘弁する方向で……オネガイシマス」

心持ち青ざめてトウヤに願う はやっぱり子供で。

お兄ちゃんとして助けてあげなくては、とトウヤに感じさせる。

二人の会話を聞くだけ。
ハヤトは疎外感を味わって寂しそうだ。
幼馴染の分りやすい態度にトウヤは微苦笑を湛える。

「なぁ、ハヤト。俺達、この世界じゃ三人だけだ。生まれた世界や生活していた町を知ってるのって。こうなったら運命共同体、家族も同然だろ?
フラットの皆とは違う意味で、俺達は家族なんだと思う」

手招きするトウヤに、ハヤトは間に を挟んだまま。
正しくは をギュウギュウ押してトウヤと抱き合う。

「そうだよな! 俺達、家族だよなっ」
擽ったそうに笑う の笑い声を聞きながら、ハヤトは明るく言った。

「家族……」
トウヤの発想に驚きながら、心までくすぐったくなって。
はトウヤに抱きついたまま、たっぷり数分は笑い転げたのだった。



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