ゆ き み の ち ょ っ と 語 り


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コーヒースプーンの位置


 コーヒーカップをセットするとき、いつも持ち手とスプーンの位置に迷います。
 子供の頃にならったのは、「持ち手が左でスプーンはカップの前」でした。少し大人になってから「左にセットした持ち手をわざわざ右に回して飲むのはナンセンス。はじめから取っ手を右にしておいたほうがよい」と耳にしました。
アフタヌーンティーなるものが流行した頃には、「イギリスではティーカップをセットする時には持ち手を右に、スプーンはその下に縦に真っ直ぐ置く」と聞きかじったりしました。
 もともと堅苦しいテーブルセッティングが嫌いなくせに、自分のセンスには自信のない私。これと思う本を探していたところ、ある出会いがありました。
コーヒースプーンの置き方を、なんとパリの四つの食卓から紹介しているのです。
それぞれに納得できる理由があり、楽しく学ぶことが出来ました。

(上左) エリゼ宮(フランス共和国大統領官邸)
    「スプーンを使い終えたら後ろに置くと優雅で品格がでます。」とのこと。
(上右) レストラン ジョエル・ロビュション
    「左手にカップを持ち、右手で砂糖をいれ」ると「機能的」だそうです。
(下左) カフェ フーケ
    このスプーンの位置が、「もっとも取りやすい場所」とのこと。
(下右) クレベール国際会議場
    スプーンを後ろに置くと、「コーヒーカップをきれいに見せ」ます。




若い人、年配の人、正統派を好む人、個性的な人。いろいろな食卓の整え方を紹介しているこの本を読んで、テーブルセッティングとは、より快適な食卓のための提案なのだということを納得しました。

参考文献 「四季のテーブルセッティング ---- パリの食卓から」
       ジュヌヴィエーヴ・ド・ラショー 著  古屋典子 須賀百恵 訳
       文化出版局
2004.04


犬張子


 犬は人間の一番古い友達といわれ、忠実で愛情深い性質が愛されています。
また、犬は多産で、お産が軽いとのことで、安産祈願にも大いに縁があります。
 犬張子は、江戸玩具のひとつで、子供の健やかな成長を願う飾り物です。
起源は、平安時代に身の汚れや災いを取り除く祓いの具として用いられた狛犬の像にまでさかのぼるそうです。
 犬張子が被っている笊には、子守りの為とか、悪いものを洗い流す為などの意味があるといわれています。また同時に、竹かんむりに犬と書くと「笑」という字に似ているので、「笑って過ごせる一生であるように」という意味もあるのだそうです。お江戸らしい洒落た意匠ですね。
2004.05


冒険


 「旅とは、ただ休養に出かけるのではなく、未知のものを自分自身で体験し、そして自分なりの発見をする冒険」
これは、優れた旅行かばんで有名なルイ・ヴィトンの言葉です。
彼は、通る町々で仕事をしてお金を稼ぎながら、徒歩でパリへと上ったのだそうです。
夢を抱いてパリへと近づく一歩一歩が、彼にとっては冒険だったに違いありません。

 「海が好き、船が好き、海賊が好き」 それは、未知なる物への憧れです。
芸術的とさえ思える美しい船を操って、遥かアメリカまで交易に訪れたというヴァイキングたち。地中海を渡ることすら冒険だった時代に、行ける所まで行こうと大西洋に乗り出したポルトガルの勇者たち。軍人、商人、海賊たち。
歴史がどんな審判を下そうと、命がけの冒険物語には胸をときめかせずにはいられません

2004.09

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