そのここのつ

やはり 続いていますね この先こそが もしかしたら 秩序ある外の世界につながっているのかもしれません

 「ハリーポッターと賢者の石」の原作者J.K.ローリングは、子供にお話をせがまれて毎夜この物語を語ったとのことは有名な話である。同じように、子供に語って聴かせた物語が出版されてベストセラーになったものにルイスキャロルの「不思議の国のアリス」がある。これもウサギの穴に落ち込んだ少女アリスが経験する異世界への物語である。

 ルイスキャロルは、数学者で19歳の時に家庭教師として、当時4歳のアリスに出会い、お話をせがまれたのである。
 その後のルイスキャロルの振る舞いをみて彼がロリータコンプレックス(少女偏愛症・ロリコン)であったのは、ほぼ間違いないと言われている。彼は数学者としてある程度の成功をしているが、作家としては現実のアリスのためにしか物語を創作していない。もう一面として写真家として写真集を出しているのだが、これがまた少女ばかりを撮影した写真集なのである。しかも、ルイスキャロルは、13歳になったアリスに結婚を申し込んで彼女の両親に拒否され断念している。その他、別のアリスに結婚を申し込んで断られたという記録もあるようだ。
 むしろ「不思議の国アリス」をフロイト的に分析することの方が彼のロリコンを証明できるのであろうが私の専門ではないし、それほど楽しい作業ではない。ただ、トランプの女王に対する描写等は、大人の女性に対する彼の嫌悪感を連想させ、多少この年代の女性に対する意識として共感できるところもある。ともあれ、ルイスキャロルが幼いアリスを膝において興奮を伴って幸福な時間を過ごしていたのが目に浮かぶ。

 「不思議の国のアリス」を映像にしたのは、ウォルトディズニーであるが、これこそアニメでしか表現できない異世界をファンタジックというよりもサイケデリックというかシュールリアリスムとして表現している。詳細な記憶がないがイモムシが水たばこを吸っている場面などは、彼がたばこではなくて阿片を吸っていると説明する方が解りやすい。ルイスキャロルの時代に阿片がどの程度ポピュラーであったかは解らないが、ウォルトディズニーもしくは彼のスタッフが危ない薬を使ってアイディアを絞っていたと連想しても大はずれではないように思う。
 
 千、ハリーポッター、アリスといずれも異世界での旅というか冒険の物語だが、比べてみて何の教訓も生じないのが、アリスの世界だ。秩序も決まりもなければ、向上心も友情もない。どたばた喜劇にもならない子供向けの物語というのがまさに不思議の国のアリスなのである。


八つ当たり           我慢する