第一章




朝の空を一人見上げ、今日一日これから起こるだろう事を想像する。
空はウソなんてつかず、いつも真実だけを知っている気がして、昨日覚えたことを今日には忘れている僕をどう思っているか、真実を聞きたくて・・・。 知りたいことすべてを教えてくれたら、なんて僕をいたたまれない気持ちにさせる。
そんな空を毎朝見ながら学校へ向かっている。誰もいない朝一番の静まり返った教室。 それと共に呼吸をし始める。僕だけが知っている一番の特権。
誰かがくるまでのほんの数十分の時を、来る日も来る日も感じたくなって、 朝、目を覚ましているのは一種の中毒かもしれない。しかし、それほどにも僕の身体と共鳴し、僕の身体に一日の生気を注ぎ込んでくれる聖地。 学校で騒動を起こしたり、先生に反抗し、おこられている人を見るだび、その愚かさに失笑してしまう。
ある人が、「朝目覚めて一番に何をしますか?ぼ〜っとしてる?それはもったいない。目覚めたらすぐに朝日を浴びなさい。 そうすればプラスの気が一気に自分の中に入ってきます。プラスの気がいっぱいになると、身体にも心にもすごくいい影響を与えるんです。 そして・・・。」などと言っていた事があった。まさにそれだと思う。僕が朝の空を見ながらたどり着いた一番の教室を聖地だと感じるのは。 プラスの気がいっぱいになった心で見る、朝日の差し込んだ静かな大きな空間が、僕にいい影響を与えれくれているのは確かだ。
そんな場所に通って、早二年と十ヶ月。あと一ヶ月でこことはおさらばになる。
先の決まっていない不安にかられている、この気持ちはきっと誰にもわからない。「みんな同じだ」などと言うが、そうは思わない。 同じなら、なぜ笑っていられる?決まった奴と?恋愛の話が出来る?相手のいない奴と?そべてうわべだけだ。中身なんて無い。 明日になれば忘れる。そんな話を不安でいっぱいの中でして何が楽しい?少なくても僕には無理だ。そんな煩わしいことをするくらいなら 関わらないさ。そういう人たちとは。


「Go my way」僕の好きな言葉。ただ単に、頑固だとか変わってる、と取るのではなくて、社会のみんなと、トモダチと関わっていく中での自分の道、 つまり考えを持って行きたいって事だ。
哀しいかな。僕にはまだうってつけの言葉にはなっていない。プラスの気がいくら増えようとも、 満たされない部分は少なからずある。曇ってよく見えず、そのうえ絵の具が足りない。
日が経つにつれ、ますます孤独感が僕を支配してきている。望んだわけじゃないし、ましてそう仕向けたわけでもない。 孤独感がひとりでに増殖している。昨日のそれは翌朝の朝日で消されるけど、なぜ?一日の終わりには、また懲りずにいっぱいになってしまっている。 聖地と離れる日が近づくにつれ、日々その効果をなさなくなってきているのは痛いくらいにわかってる。
どうにかしないと・・・。早く他の良い場所を見つけなければ!





《戻る》
《つづく》