キハ52国鉄色を求めて・・・
〜糸魚川日帰り旅行〜


2004年9月6日 大糸線を走るキハ52形が、国鉄時代の標準塗装に戻ったと雑誌に載っていたこともあり、
残っていた18きっぷの消化を兼ねて、大糸線日帰り旅行を決行する事にした。
大糸線全線未乗だった事もあり、前々から乗車の機会を探っていたのだがうまく日程が合わず、今回も時間
にムリのある行程となってしまったが、すんなりと乗車列車を選ぶ事ができ、決行となった。

115系長野色 大月駅で撮影

6時15分、高尾始発の普通列車松本行きに乗る。東京からの高尾止まりの列車と2分の接続で発車。
乗換え客が意外と多く、ボックスシートに1〜3人ほど座っていた。立客はなかった。
赤いトラスに支えられた中央道を見上げながら、115系6両の列車が山間に入っていく。
松本行きの電車は長野色の6両、中央線といえばクリームに青の「スカ色」だったのが、いつの間にやら変わって
しまっていて、すれ違うほとんどの列車が長野色となっていた。
相模湖、藤野、上野原と停まって乗客を集めてゆく。いつの間にやら立っている人もいた。
鳥沢〜猿橋間にある有名撮影地「新桂川橋梁」を通り、その高さに改めて驚く。
富士急行線との乗換駅、大月で大半の人が下車。入れ替わりに何人か乗り込んできた。
スイッチバックの設備の残る初狩、笹子餅の笹子を通り、車内は通学の学生で騒がしくなっていった。
塩山、山梨市と乗客が多く、見事なまでの通勤ラッシュ状態になった。
山梨といえばぶどうの産地、そのためか車窓に映る景色も田畑より果樹園が多い。
石和温泉で学生が何人か降りて、甲府ではほとんどの乗客が降りていった。
甲府で7分の停車時間の間に、飲み物を購入。7時51分、ほぼ満席で甲府を出発した。
隣のボックスに座っている大月から乗ってきた学生が1組。甲府で降りると思っていたのだが、どこまで行くのか・・・
竜王駅にはオイルターミナルがあった。この駅も乗客が多い。隣のホームには東京行きの「かいじ」が停まっていた。
韮崎でも学生が大勢乗ってきた。関西方面に出かける時に見かける学生と比べてみると、山梨県内の学生はだら
しない格好とマナーの悪さが目立つ気がする。これは関東地方全体に言える事か・・・?
学生で大賑わいのまま、日野春へ。ここで、韮崎辺りから乗ってきたグループが降りていった。
塩山の先から見るようになった駅舎の無い無人駅にもランク付けがあるらしく、朱色の乗車駅証明証発行機がある
だけの駅や、オレンジカード対応の自動券売機がある駅など様々だ。
小淵沢でも学生の集団が降りていった。大月から乗って来たグループもここで降りていった。東京で考えたら、凄い
遠距離通学だ。(大月〜小淵沢間85.9km)
小淵沢を出て、小海線と分かれると長野県に入る。長野県最初の駅は信濃境。この信濃境と次の富士見の間で、
旧線らしい鉄橋が右側に見えた。
茅野の駅前にC12形蒸気機関車が置いてあるのが見えた。中央本線と関係がある車輌なのだろうか?
茅野からの乗客は多く、甲府以来の相席となった。
茅野から単線となり、岡谷まで続く。上諏訪では豊橋行きの普通列車が待っていた。東海車の115系湘南色だ。
足湯(前は風呂だった)のある上諏訪を出れば、左側には時々諏訪湖が見える。
いつの間にやら分水嶺を越えているらしく、上諏訪の次が下諏訪だ。地図上での上下が逆転している。
岡谷で中央線の支線にあたる「辰野ルート」と飯田線と分かれ、複線のみどり湖ルートに入る。
塩嶺トンネルで真っ直ぐに山を貫いていき、トンネルを出てすぐにみどり湖に着く。
みどり湖を出て、しばらく行くと岡谷で分かれた「辰野ルート」と合流。旧塩尻駅にあたる「塩尻大門」を通ると、左
から名古屋から来た中央本線(中央西線とも言う)と合流。塩尻駅に到着した。
ここで後から来た、新宿7時発「スーパーあずさ1号」に追い越される。その後の「ワイドビューしなの」の乗換え案
内もあったが、松本でも乗り換えられる列車に、わざわざ塩尻で乗換える人はいるのだろうか?
東京から続いた(乗車は高尾だが)中央本線(こちらの場合は中央東線とも言う)と分かれ、塩尻から篠ノ井線に
入り、広岡、村井、南松本と停まり、松本には9時47分時間通りの到着だった。

大糸線の列車は、9時台は44分発1本のみ、10時台は特急列車と季節運転の快速のみ。11時06分発の南小
谷行きまで待たなくてはいけなかった。
1時間ほど時間があるので駅前探索、もとい、5月頃から始めた「旅行貯金」に当てる事にした。
まずは本局の松本局へ、100円入金し、通帳にスタンプを押してもらう、風景印も押してもらい局を出ようと思った
ら、記念切手と絵葉書を売っているコーナーがあった。「大糸線」の絵葉書が展示してあったので聞いてみると、つ
い2〜3日前に売り切れたとか、しょうがないので「黒部」の絵葉書を買った。
ついでに「あがたの森」までの所要時間を聞いてみると、1km強あるらしく20分ほどかかるとの話だった。残り時
間を考えると危険なので、次回にまわす事にして、次の局へ。
10〜15分ほどたらたらと電話をかけながら歩いていき松本駅前局に到着。ここでも100円入金と風景印をもらう。
珍しく、同業と思える人が来ていた。局員に近くの郵便局を訪ねて、郵便局の所在が書いてある地図をもらう。
話では、駅の反対側にある松本巾上局が近いとの話だったのでそちらに向かう。歩いて5分ほど、ガードをくぐっ
てしまえばすぐだった。
松本巾上局は、昔の洋館のようなデザインの建物だった。100円貯金と風景印を頼み、出てきた頃には南小谷
行きの発車時間20分前だった。
駅前に戻り、しばらく松本電鉄バスを撮影。久しぶりに見たアルピコカラーの路線バスは見ていて飽きなかった。

127系大糸色 一日市場駅で撮影

松本駅6番線
、松本電鉄と共用のホームから大糸線は発車していた。1〜5番線から少し離れていて、あやうく
乗り遅れるのではないかと冷や汗をかいた。前身が私鉄だった事もホームの配置に影響しているのだろうか?
そんな事情もあってか、11時06分発の南小谷行きは、車掌が後方にある階段を確認して、のんびり歩いてくる
お年寄りを待っての発車だった。
車内はロングシートとクロスシートが混在した変則的なもので、車輌は東北地方で走っている701系をベースに
直流電化区間用にした127系。新潟で走っている物とも、若干違っている。
意外な事に、昼間でも列車はかなり混んでいた。地方に行くほど乗客数は減るものと思っていたのだが、この辺
りはマイカーに負けず、大量輸送交通として機能しているように見えた。
北松本まで篠ノ井線と並走。北松本を発車した瞬間、階段を下りてきたお客さんが1人。ガッカリするお客さんと
車掌室から謝る車掌、車掌の方はあまり見ない光景だ。
北松本を出た所で篠ノ井線と分かれる。車内では検札が始まった。その為か、この列車の車掌は2人、だとすれ
ば、日常的にこの列車は混んでいるという事か・・・。
一日市場で松本行き普通列車と行き違いの為2分の停車。車内検札も一日市場到着前に終ったので、ホームに
降りて写真をチョット・・・。
松本行きが到着してすぐに南小谷行きは発車となった。車内には所々空きが出てきて、やっと席を確保できた。
進行方向左側にあるボックスシート、この先都合の良い席だ。
南豊科手前で、右側の窓の遠くに朱色の屋根が見えた。テレビドラマの「電池が切れるまで」のモデルになった
「長野県立こども病院」だろうか?
豊科では多くの人が降り、ようやくローカル線らしい車内になってきた。
有明まで来ると、ついにワンマン運転になった。車掌、運転士が乗務員室のスイッチを切り替えたり、仕切りを移
動させたりと、ワンマン運転の準備をしているのだが、よくよく見ると4人いる。松本から4人乗務だったのか?
有明を出発するものの、車内には運転士と助士(と思われる人)、後ろには車内検札を担当していた車掌の3人
の乗務員が乗っていた。しかし、放送は肉声からテープに、乗車方式も後乗り前降り2両目は開かず、整理券方
式の本州式(?)ワンマン運転そのものだった。
田んぼと住宅の間を、VVVFの音も軽やかに快走してゆく。信濃大町まで来ると、ほとんどの人が降りてしまい、
1両に5〜7人ほどになってしまった。
この先、北大町を過ぎて信濃木崎、稲尾、海ノ口の3駅が、大糸線で自分が一番期待していた場所だ。
この区間は、仁科三湖の1つである「木崎湖」が見える区間なのだが、理由はそんな事ではなく、WOWOWで放
送していたアニメの舞台となっていたのが木崎湖周辺であり、木崎湖も何度か出てくるからである。
もちろん、松本で「あがたの森」の行き方を聞いていたのもそんな理由からだ。
今回は素通りとなってしまったが、車内から出来る限りの写真を撮る。他の人には、ただの怪しい人にしか見えま
せんな・・・(汗)

海ノ口駅 南小谷行き車内から  木崎湖 海ノ口駅停車中に撮影

信濃大町を出てから列車の速度は遅くなり、のんびりと木崎湖を見ながら、この3駅間を通る。
海ノ口の次の駅、簗場の前には仁科三湖の中綱湖が広がっている。3つの中で1番小さな湖だ。
中綱湖が見えなくなったと思うと、すぐに見えてきたのが青木湖。この湖が3つの中で1番大きい湖だ。
ゆっくりと青木湖の湖畔を進んで行く。周りはスキー場らしく、リフトの乗り場や支柱がたくさん立っている。
南神城〜神城辺りは、右側は市街地、左側は林と、はっきりと区分ようなものができていた。
白馬の手前で左側に「ジャスコ」を発見!なんかメルヘンチックな建物・・・、これもアニメに出てたような・・・?
リゾート地で有名な白馬、有明でワンマンになった時に降りなかった車掌達が降りていった。
姫川に沿い、所々川を渡りながら進んで行き南小谷へ、南小谷駅は、崖のような山と姫川に挟まれた小さな駅で
駅前にはJAとラーメン屋があるだけ、右に行こうが左に行こうが姫川を渡らなければならず、「小谷」という名前に
思わず納得。河川氾濫などの為だろう、行政無線と思われる鉄塔が付いた見張り小屋のような建物もあった。

南小谷駅停車中のキハ52

到着後、駅前で20分ほどの時間を潰して糸魚川行きの列車に乗換える。
13時33分発糸魚川行きはキハ52形単行のディーゼルカーだ、しかし期待していたクリーム地に朱色の帯の「
国鉄色」ではなく、アイボリーに緑の斜め帯の「大糸色」だった。
少し残念な思いはあったが、ワンマン改造などを受けているものの、エンジン未更新の国鉄車輌に乗れるのだか
らまだ良い方かと思う。
「カラカラ・・・」とアイドリング音を響かせて、糸魚川行きは待っていた。
古めかしい車体の気動車で、同じ車体を持つ物は、JR東日本の東北方面にも残っているそうだが、国鉄時代そ
のままのエンジンを使っているのは、このJR西日本の大糸線用の3両しか残ってない。
手動の扉を開けて車内に入ると、すでに各座席1人位の感じで座っていた。
国鉄時代の一般型ディーゼルカーなのだが、ワンマン改造でトイレは撤去されたようで、代わり(?)に網棚のとこ
ろにクーラーの噴出し口があった。キハ40系に使われているのと同じような物だった。
時間通りに南小谷を出発、姫川に沿って糸魚川を目指す。
最近、雨が多かったのか姫川の流れは灰色の激しい濁流となっていた。数年前、姫川の氾濫で大糸線が寸断さ
れた事があったが、この流れを見ていると帰りが少々不安になってきた。
中土、北小谷と各駅に停まる。駅に停まるたびに運転士が車内を確認する。降りる人がいなければすぐ発車、バ
スか路面電車のような感じだ。
この谷間の辺りは1駅1発電所という感じで、駅付近には水力発電の施設が建っている。建物が見えないと思っ
ても、排水溝があり、もの凄い勢いで水を吐き出している。
狭い谷の中を、川を渡り、トンネルを抜け、ウネウネと曲がりながら進んでいく。並走する道路の方も、落石覆いと
いうのか、コンクリートで囲まれた半地下構造になっている。あまり見た事が無い光景だ。
そのような状態が根知辺りまで続き、頸城大野まで来てしまえば普通のローカル線のイメージに戻った。



14時25分糸魚川着。大糸線ホームから車庫を見てみると、国鉄色のキハ52がエンジンを回して待機していた。
今日の運用には入っていたらしく、折り返し列車である15時12分発の後の、16時33分発平岩行きに使われる
のだろう。非常に残念。
適当に何枚か写真を撮った後、駅を出てすぐにある糸魚川郵便局へ。
ここでも貯金をして、風景印を押してもらう。風景印を用意してもらうのに少し時間がかかった為もう1局は諦め、お
土産を買って列車に戻る。16時33分を待っていたら、強制的に1泊させられてしまうので、15時12分発で来た道
を戻る事になる。
先程乗ってきた列車の折り返しのため車輌はまったく同じもの、本当にただ帰るだけだ。
行きは糸魚川に向かっての下り坂、帰りは南小谷に向かっての上り坂だ。途中何箇所か時速15〜25kmの制限
速度がかかっているせいもあるのか、あまり速度は出なかったが、猿が居たり、鉄橋の上だったりと、観光サービス
とも取れる様な所での徐行が多かった。
16時08分、南小谷に到着すると隣に信濃大町行きが待っていた。2分の接続時間で発車。あわただしく乗換える。
行きに松本から乗ったのと同じE127系電車だった。淡々とした感じで信濃大町を目指す。
白馬を通り過ぎ、再び仁科三湖の一つ、青木湖に出てくる。南小谷行きに乗っている時には気付かなかったが、青
木湖の正面に「ヤナバスキー場前」臨時駅があった。
まだ17時前、曇っているものの外は明るく撮影できそうなので、海ノ口駅到着前から車内で携帯電話を使って動画
を含めた写真撮影。怪しい男の行動が始まった(^^;
海ノ口に来るというリベンジを心に誓い、信濃大町へ。少し手前の所で見慣れたバスに追い越される。中央高速を通
る「新宿〜白馬線」の京王バスだ。もしかしたら、次回ご厄介になるかもしれない・・・。
信濃大町で、今度は17時10分発の富士見行きに乗換える。座席はすでにいっぱい。それでも何とか1ボックス空い
ているのを見つけて、そこに陣取る。
普通、首都圏に住む者として思うのは、「朝は都心部へ、夕方以降は郊外に向かう列車が混む」と想像すると思うの
だが、何故か松本に近づくにつれて混んでくる。信濃大町方面行きの方が空いているのではないかと思うくらいだっ
た。客の需要と車輌のキャパシティが合ってないのだろうか?
松本の着くと、一気に降りる。そして入れ替わりに帰宅ラッシュのサラリーマンや学生が乗り込む。隣には少しばかり
空いている「中津川」行きが停まっていた。
一旦駅を出て、土産に栗羊羹とお弁当に栗お強を買いに行く。夏期はお強販売店が限られていたような覚えがあった
ので、駅から離れた喫茶コーナー併設のお店まで行く。営業時間になんとか間に合い、お強と羊羹を購入。松本郵便
局よりも、かなり駅から離れた所にあり「あがたの森」までを考えても中間点位の所だったので、歩いてあがたの森へ。
旧制松本高校の校門の所で写真を撮っていると、ちょうど松本駅行きのバスがやって来た。次のバスの時間も分から
なかったので、松本駅に戻る。松本駅に着いたのは19時をちょっと過ぎたところだった。
松本駅1番線で19時30分発甲府行きを待つ。篠ノ井線からの直通列車で長野始発の列車だが、4年前に使った時
は、松本でほとんど乗客総入れ替えだったので、座れない心配は無かった。
10分前に入線、通しで乗る人も何人かいたが問題なく席を確保。ラッシュ時間帯という事もあり、すし詰めに近い状態
で発車したものの、南松本で半分近く下車。塩尻に着くと、ほとんど降りていってしまった。
再び、上諏訪・茅野の両駅で乗車があったが、その後は下車一方だった。
富士見で「スーパーあずさ36号」に追い抜かれた。上り最終の特急列車だ。
小淵沢でも大した動きは無く、たらたらと甲府まで行ってしまった。
甲府21時30分着、21時37分発高尾行きに乗換える。大月以遠の最終列車となっているものの車内はガラガラ、大
月を過ぎても乗ってくる気配はほとんど無かった。
ボックスシートを占有できる上、車内にもほとんど人が居なかったので、肘掛を枕に「エビ寝」してしまった・・・。
23時01分高尾到着。115系の何気ない列車で糸魚川日帰りの旅は終わった。


戻る


トップに戻る