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Book review 1

世間の皆様には何の役にも立たない気がする不定期更新個人的書評コーナー。評価するとかおこがましい。
書評といっても対象は医学部向けの教科書、医学書になるかと思います。

後輩に使う教科書について聞かれたりするので、それのまとめみたいな感じで内輪向け。うちの大学の授業準拠。
このサイトとかのが役に立ちますし参考にもしてます。

基本的に買って使ってる/使った/使ったことにした本。内科学書でもない限り価格は1万代前半じゃないと怖くて買えません。

とりあえず基礎医学の教科書をば。
→臨床医学

更新2011.10.21

解剖学/組織学

うちの大学の主流はイラスト解剖学+ネッター解剖学アトラス。
なのに俺は解剖学講義+グラント解剖学図譜。
違うことが武器になるときもあるのです。

気になる本としては、グレイ解剖学(学生版)とか。イラスト解剖学もまともに読んではないわけで。
ただ洋書は脳神経解剖は載ってないことが多くて、一気に神経解剖までやるうちとしてはイラ解か講義の二択じゃないかな。
組織学は、標準組織学は流石に古くて高い(1万円×2)し、ジュンケイラくらいしか選択肢が無いのかな。ジュンケイラは使ってみたかった。

そういえば最近プロメテウス解剖学アトラスが完結したけど。1万×3は…
って言ってたらプロメテウスコアアトラスが出てますね。今解剖やってたら買ってたかも知れない。ひねくれ者的に考えて。

解剖学講義(第2版)

南山堂/11000円+税
皆の使うイラ解の著者の師匠にあたる先生の書いた、より硬派な本。
もっと硬派な本はあるんだけど、硬派すぎな上に分冊で近寄れない。。図書館で分担解剖学とか覗いたけど…

シンプルで見やすい模式図とレイアウト、それから臨床項目が常に同時に書かれているため某うちの親も推薦。
情報量は、聞かれたことはまず載ってる。皆のイラ解に書かれてない項目がたまにあるときは出番。
よってテストが近づくと微妙に購入者が増える気がする。
まとめると、情報量はあるけど読むのにあまり苦にならない、そんなところか。個人的には好きな本。

対光反射の機序があまり詳しく載ってなかった気はする。
それから少なくとも一カ所誤植を見つけた覚えがある。下大"動"脈って書いたとこがあったかな?

ネッター解剖学アトラス(第3版)

南江堂/10500円
2009年時点で最新版は第4版ですね。版元も変わってた気が。

解剖学実習の基本。これがないと始まらない、くらい。
下手な実写より見やすい綺麗な図が特徴。

同種のアトラスの中では安い方だからコストパフォーマンス的にも買いでしょうね。

グラント解剖学図譜(日本語版第5版)

医学書院/15750円

ネッターの1.5倍の価格のアトラス。何故か「貰った」ため使ってました。
紙面に対してやや小さめのイラスト。その分精細で色遣いも抑えめで見やすいかも。
切り方が違うのと、表皮から内部への段階がやや多いという印象。
一度に各部をみるというより段階を追って見る感じ。こっちに切り替えてからコピー枚数は増えたかもな…
やはり違いが実習の場では武器になる。
ネッターと違う角度からの図を見れる、あるいは載ってないものが載っているというときがあるので、実習班に一冊あるといいかも。

精細なイラストに加えて、写真、模式図、CGなんかも併用していること。
それからどういう状態で見ているかの説明もあること。
がメリットだろうか。

もう一つ、活用できるならば大きいのが、本誌中のある程度の図と発生学のアニメ教材、選択式の確認テストを収録したPCソフトが付いている。
Flash製なのでMacOSXとWindowsに対応。

ただし英語版。

PCがあるときなら(英語が分かっていれば)解剖図をすぐ参照出来るのは便利。
英語を使いこなせる人ならテストも含めもっと有効活用出来るんだろうけど。

ネッターに+5000円が出せる人に。

現代の組織学(第3版)

金原出版/9515円+税

うちの代までは皆使っていた教科書。
見開きで、左に組織図、右に文章というレイアウト。
文章は比較的読みやすいと思う。

なんせ15年前の本で(そんなこと言ったら標準組織学はry)、用語が微妙に違ったりするとか、
あとは全てモノクロのイラストで、プレパラートと見比べようとすると困ってしまうとか。
それと、うちは脳神経解剖まで一気にやるので組織もそれに準ずるのですが、やっぱりそっちは載ってない。
大脳皮質の6層構造とかも無いのです。つーかそんなの載ってるのは標準組織学ぐらいだったけど。
情報量的にも微妙なところで、テストの解答作りにもギリギリだったかなぁ。
独学用としては読みやすさも含めて悪くないかも知れない。

生理学

学校の指定教科書はシンプル生理学。各先生がだいたい推薦してくるのは標準生理学。学生が持ってる率が高いのは生理学テキスト。
授業を通して、テストに備えると最低限の知識は生理学テキストが要ると思ったかな。

まぁ無難に、なら小難しいけど標準生理学なら何でも載ってるか。読みづらいけどな。
個人的に好きなのはギャノング生理学。

読んでみたい、と思うのは人体の正常構造と機能(縮刷版)。

生理学テキスト(第5版)

文光堂/4800円+税

内容・厚さ・価格ともに「中堅」といったところの教科書。
うちのそれなりに小難しい生理学の授業についていくにはこれくらいの内容が必要かな。
これ一冊でもなんとかなるかもしれない。循環生理からギャノングを使い始めたので保障はできませんが。

必要十分量くらいの内容なので、通読にもそんなに無理はない。実際2年の春休みには頭から読んでたし。
文章がこなれてない、文字強調が無い、一度でた略語を忘れるとそのあとずっと略語で書いてあって大混乱(それは半分以上俺のせい)くらいは欠点か。
多用されている図は大きくかつカラーでとても見やすい。

とりあえず導入として使って、限界を感じたらギャノングなり標準なりを使うというのもありか。
シンプルでもその使い方はできるだろうけど、これはそれなりに戦力にはなるかと。

ギャノング生理学(第22版)

丸善/10000円+税

難しいと前評判の、実際とっても難しかったうちの循環生理に入るにあたって買ったワンランク上の教科書。

文字強調がある、内容は高度だが各項目事に纏めてあるのでコンパクト。1章ずつくらいなら読むのも苦じゃない。
実験とその結果についての考察も多いですね。というかその実験の結果のグラフやらが授業のスライドに(たいがい英語版で)出てくることが多くて、その解釈に大いに役立ちました。
テスト前の勉強で何度救われたことか。。

著者の得意分野が内分泌らしく、授業でも内分泌の先生は標準やガイトンと並んでこの本を特に推薦してました。
しかし著者は2年ほど前に逝去されたらしく、今後の改訂(これまで2年ごとの速いペース)はどうなるんだろうなと。

病理学

これについては何がいいのかわからないですね。
持ってるのはシンプル。だいたいの先生方は声をそろえてロビンス。
流石にロビンスは高いし使いこなせると思えない厚さだし。親の部屋にはあったなぁ…

2011年に版元を丸善に変えて8版が出てます。サイズがB5判でコンパクトになってました。お値段は相変わらずですが。


興味があるのはルービン基本病理学。価格も安い。でも2004年の発行で少々古い。

標準くらいが無難なのかな?改訂もされたし。

あるいはシンプル+アトラスで良いのかな。

シンプル病理学(第5版)

南江堂/2900円+税

ちょっと不安になる程度の薄さ。
とても分かりやすい記述で、総論部分なんかしっかりしてるんだけど、記述量はムラがある。特に各論。
一つの疾患に説明3行とかもザラにあって、調べ物に使うにはかなり厳しい。
逆に言えば通読は楽で、基本を押さえるには良い。導入にも悪くないか。
各論でも詳しいところは詳しいんだがね。
とくにうちの先生が書いてる泌尿器系・腎臓疾患。概論の部分の記述は丸々授業プリントでも出てきた。
授業が屈指のわかりやすさを誇るその先生の記述だけあって、理解しやすくも十分な知識を得られる。


ってそれじゃうちの学生は買わなくてもよくね??

ルービンカラー基本病理学(第3版)

西村書店/6200円+税

原著が2001年。お願いします最新版の訳書を出してください。。
そんな感じで、値段と詳しさと読みやすさがいずれも程々な本。
もう少し出したら標準の新しい版が買えますが。

図表については特に見やすい/分かりやすいので良いです。
今パラパラとめくっても、もう一度読んでおこうかなという気になりました。

ただいかんせん古いので、分類やガイドラインが問われる場合に不利です。
親本のルービン病理学はわりと最近訳本が出てるのですが。将来新しい版が出たとすれば手に取る価値はあると思います。

微生物学

シンプル、で良いんじゃないかな。戸田新細菌学とか持ち出さなくても…
読んでみたかったかも、と言う本としては、丸善のイラストレイテッド微生物学。

シンプル微生物学(第4版)

南江堂/2900円+税

まず安い。

それでいて、うちの授業プリントに載る程度のことはカバーし、プラスアルファの情報もある。
シンプルシリーズの中では分厚い部類だし、中もぎっしり書いてある。
図表、二色刷での強調文字なんかで読みやすい。

うちの授業とテストに対応するくらいなら必要十分な一冊でないかな。
各論の記述量から感染症の予防と対策の章まで。

薬理学

テスト前の解答作り&詰め込み、グループ学習での発表があるのでうちの大学的には一冊用意したいところ。
個人的なオススメは以下のLippincottのイラスト(レイテッド)薬理学。
薬理が終わってから改訂が入ったので、Qシリーズとか新しいものはちょっと知りません。

イラスト薬理学(第3版)

丸善/7400円+税
薬理学、臨床薬理学、麻酔科ポリクリと長らくお世話になった一冊。
載ってる模式図は授業のプリントに出現する確率がかなり高い。
情報量はそこそこといったところで、深く学ぼうとでもしない限りこれで事足りる感じです。
文章も読みやすく、内容もそんなに難しくは見えない(気がしてくる)。
臨床的な用法にもしっかり触れられてるのも良いです。

ただ、元が洋書なので微妙に薬品名が違ったり。。少なくとも3版ではエピネフリンで通されます。

第4版からは他のLippincottシリーズに合わせてイラストレイテッド薬理学になってます。

免疫学

世界レベルに通用するうちの免疫学の教授に付いていくには免疫生物学が必須。
ただそもそも免疫とはなんぞや、を理解するために簡単な入門書で独学する事をお勧めします。

Lippincottの免疫学が最近出たけどどうなんだろうか?

免疫生物学(第5版)

南江堂/8000円+税
最近ようやく7版の訳書が出た本。もう少し早く出してくれれば授業での苦労が減ったのに。

重く、厚く、やたら詳しい本。多用される表や、特に模式図は分かりやすい。
臨床的なことまでかなり踏み込んでいるので、得られる知識は役に立つはず。

ただうちの大学の場合、この本の使い方は、やたらハイレベルな免疫学の授業を補完すること。
授業はこの本(ただし最新版の洋書)をもとに進むので、プリント中の図・表をこの本から探し出すという作業を延々やることに。
今なら洋書と訳書の版が揃ったから大丈夫だろうけど、自分の時は5版と7版なので、なんか微妙に違うということが多々。免疫学の進歩は速いですね。

図表を拾ったらその周辺を読むという辞書的な使い方をしました。頭から読む気にはとても…

休み時間の免疫学(初版)

講談社/2000円+税
教科書ではない入門書。1テーマ10分を掲げるだけあって、スラスラ読めます。イラストも親しみやすい。
"CTL"を"キラーT細胞"とは教授の前では決して言ってはいけませんが。
免疫系のおおまかな仕組み、作用機序を理解すると後々楽になります。それには最適の一冊かと。

ただし、教授と話に行くときは免疫生物学レベルの知識を頑張って身に付けてからにしましょう。

分子生物学

やたら出席出席言い出したころにも出席をとってなかった医化学教室。
割とまじめに出てましたが毎回夢の中へ…

生化学は再試食らったのに医化学は余裕な顔して通ったのは指定教科書を何故か1年前に親が送ってきてたから。。

Essential 分子生物学(第2版)

南江堂/8000円+税
最近第3版が出てます。

通称the Cellという生物学方面では有名な大きく重く高い本の要約版。
図版なんかは結構共通してるみたいです。

これでもかなりの厚さを誇りますが、内容自体は読みやすく理解可能なレベルです。
授業に出た図版を頼りに関連の章を読み込んで勉強しました。スタートはほぼゼロからです。。
下手すると、1つの単位のためだけに、になりますが、十分独学できる良い本です。