北ア蓮華岳 北面「大沢」滑降  1999年5月9日
戻る トップページへ



快晴の針ノ木雪渓を登る。きょうのね
らい目は蓮華岳北面から針ノ木雪渓
に向って急峻に落ち込む「大沢」である。

ちょうど大沢小屋あたりから蓮華岳を見
上げると蓮華山頂から急な沢が落ちて
きているのが見える。あまり一般的では
ないが、結構滑られているようで、6月頃
スキーヤーが降りてきたのを見たこともある。

この周辺では針ノ木雪渓本谷を一通り滑っ
てしまうと、蓮華北面の丸石沢や大沢、赤沢岳の
東面などがターゲットになろう。
数日前に降雪があったようで、雪渓の雪があまり硬くなかったので、シール登
行のまま針ノ木峠まで登ってしまった。小屋の屋根が露出していたのでトタン
屋根の上に寝そべると暖かく、とても快適であった。他のスキーヤーは屋根の
上で昼寝を楽しんでいた。

昼寝の誘惑を振り切って蓮華岳への急坂を登る。14時30分蓮華岳のピーク
に到達。天気が変わり始めていたのでそそくさと滑降の支度をする。頂上直下
は雪がしまっており快適。

大沢上部のカールの中にはいると、
数日前に降った雪がくさっており、
大変ターンしにくくなった。 すこし下る
と沢は両側の尾根が迫り、傾斜もき
つくなりノドのようになってくる。
グサグサに緩んだ雪が、ターンするた
びにズルズルと流れていってしまい、
落下速度はおそいものの雪崩のオ
ンパレードになってしまった。

われわれが立っているすぐ横を、

氷河のようにゆっくりとズルズルと
雪崩が流れていく。危険は感じないもののあまり気持ちは良くない。沢じゅうが
流れていく感じで、溶岩のように不気味であった。少し落ち着くのをまって滑り出す
が、下の方も同じ状況で、溶岩流の止まるのをまって少しすべって、は止まり、
という感じだ。
ふと気がついたのだが私が滑ると、盛大に雪崩れるのだが、相棒のY氏が滑っ
てもあまり雪は落ちない。どうもスキーをずらすと雪が落ちるようで、いわゆ
る「切れる」ターンをすると雪が落ちないようである。確かに、私のジャンプ
ターンは雪をひっかきまわしている感じなのだが、Y氏のジャンプターンは雪
を押し付けて手なずけている感じである。(うーん奥が深いな)

疲れる急斜面はまだまだ続く。稜線から延々1000mの標高差が、しかも結
構な急斜面なのだからなかなかきつい。ところどころ、雪渓に深い溝がほられ
ており(雪崩の通り道か?)うっかりスキーで突っ込むと大変危ない。安全地
帯の緩斜面にでたときはよれよれであった。雪の状態が良ければすばらしい斜
面なのだが、反面、降雪の直後などは恐ろしいだろう。今日はその中間で、何
しろ疲れた。状態の良いときにもう一回滑ってみたい。

消化斜面を滑って、扇沢へ。大町温泉薬師の湯で汗を流して帰宅。

【蓮華岳北面大沢】久保田浩一 横山勝典 山川徳明(ぶなの森同人)

5/9 扇沢(7:30)−−−針ノ木峠(11:40 12:30)−−−−蓮華岳(14:30- 14:40)−−−大沢−−−
 
−−大沢出合い(15:40) −−− 扇沢(16:30)