小蓮華岳南面 金山沢 2000.4.22
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4月22日(土)
白馬岳周辺で山麓から最も目立つ斜面が、小蓮華岳の金山沢である。無木立の大きな斜面は、「滑ってみたい」という気にさせてくれる。
白馬〜栂池間の稜線から滑降できるラインはいくつかあるが金山沢は上部の雄大なロケーションから注目されている。下部にブロック雪崩の注意箇所があるのと、時期が遅いと下部のゴルジュに水流が出てしまうのに注意すれば、素晴らしいスキーが楽しめる。


8時15分、朝一番の栂池ゴンドラに乗りこむ。この時期、この時間ではゴンドラに乗りこむのは山スキーヤー、山ボーダー、テレマーカーばかりである。昨夜はかなり強い雨が降ったが今日の予報では回復して晴れるといっているがちょっと心配。白馬乗鞍あたりまでは見えているが、そこから上は雲の中である。

降雪があったようで上の方はかなり白くなっている。
「雪崩れんかなー」
栂の森からシールをつけ歩き出す。天狗原に上がる途中で下を見下ろすとスキーヤーが大勢列をなして登ってくる。「泣きの岳樺」といわれているあたりだ。「泣きの岳樺」とは良く言ったものだ。たいていこのあたりで泣きが入るのであるが、今日はやけに調子が良く天狗原まであがってしまった。

白馬大池のコルで大休止とするが、西側からの強風をまともに受け、寒い。雪面がクラストしていたためスキーアイゼンをつける。上がっていくにつれてシールも効かないような、カチカチのアイスバーンになってしまうがアイゼンに履き替えるようなスペースもなかったので、注意深くスキーアイゼンを効かせながら船越の頭ピークまで上がってしまった。時折、アラレ混じりの強風が吹き付け視界が効かないが、10分おきくらいに晴れ間が出て下が見下ろせるようになるので滑降の準備をして待つ。
一瞬晴れ間が出て視界が効くようになった。2612m峰から金山沢めがけて滑り込む。かなり堅いモナカ雪で大変ターンしにくい。調子にのって滑っていると転倒してしまったので、後は思い切りの悪い滑りになってしまう。雄大な大斜面にすばらしいロケーションであったが、こころ残りなのはシュプールがいまひとつさえなかったことだ。

こんな雪でも相棒は安定したサインカーブを描き、さすがである。 地形図の2301mピークの手前から右の沢に入る。どうもこれが金山沢の本流というべき斜面のようで、私たちが滑り出したピークよりも1つ小蓮華寄りのピークからスタートした方が雄大な斜面を滑れるようである。ただし斜度はかなり急で、雪崩の恐れがあるときはとても踏み込めない。天気は完璧に回復し、青い空に白い大きな斜面がすばらしい。

左手に針葉樹の平地が見える標高2000mくらいまで下ってくるとモナカ雪から、クサレ雪に変わる。こんな雪には合気道滑降術が有効である。
(注:合気道滑降術 ターンするときにヤー!とかトー!とか大声を出し、気合を入れてターンすると、曲がれる。悪雪に有効であるが、声を出すタイミングを誤ると逆効果)

下部は両側からブロックの落下しているところがあり、すばやく通過する。危険地帯を通過すると谷は右手にカーブし、大雪渓と合流する。猿倉までは林道を滑降。猿倉以下も除雪が進んでいないのでそのままスキーで滑降。 猿倉からの下山途中、中山沢を横断するところがあるが、今年冬の大雪崩の跡が見られる。巨大な木々が途中からへし折られそろって吹き飛ばされていたり、電柱が飛ばされているさまは、話に聞く「ホウ雪崩」だったのではないかと思ってしまう。

途中から除雪がしてあったのでそこからは靴を履き替え、スキーをザックにつけての徒歩となる。アスファルト上を約1時間あるき、二股に到着。あらかじめおいてあった相棒の車で栂池に戻る。

【金山沢】やまかわ よこやま(ぶなの森同人)4月22日(土)
栂の森(9:00)−−−白馬乗鞍−−−2612m峰(13:10)−−−白馬尻(14:10)
−−−猿倉(14:50)−−−二股(16:35)