頸城昼闇山北面 昼闇谷   1996年4月25日(木)
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昼闇山(ひるくらやま)は海谷山塊中の最高峰である。個性的な姿の山容が多い海谷山塊において、地味な山容であるが、積雪期は白一色の塊となって、滑降意欲をそそる。

焼山温泉から、昼闇山の山頂までの標高差は1400mになる。標高差1400mといったら、上高地から穂高岳山荘に匹敵する標高差である。こんな低山にこのような大斜面があることは驚きである。

海谷での山スキーは、かなり以前から行なわれていたようだが、吉尾平、アケビ平といった平原をスキーでアプローチし、スキーデポして登頂するスタイルが多かったようだ。でも、最近の過激なスキーヤーの要求に応える、山頂から滑降できるラインも多々ある。
北面の昼闇谷はそんなスキー滑降に好適な課題を与えてくれる。

焼山温泉スキー場駐車場(7:10)---昼闇谷---稜線---昼闇山(13:00)---昼闇谷---焼山温泉スキー場駐車場(15:05)

1週間前の鉢山のとき昼闇谷を渡った地点は、谷をのっこすのに上り下りがきつかったので、今回は昼闇谷に下部で入ってしまい、そのまま谷を標高1000mくらいまで詰めた。このほうが楽である。だんだん要領が良くなる。谷を横断しているトレースがあったので、これ幸いと近づいていくと、それは熊さんの足跡だった。 げー!

昼闇山の北西尾根を詰めること4時間。12時20分に鉢山に続く稜線に抜けた。ここから昼闇山のピークまでは地形図では近いのだがこれが結構な曲者で時間がかかった。稜線上はヤブが出ているし、左手には巨大な雪庇が張り出している。

ここはスキーを脱いで海谷側の急斜面をトラバースする。ビブラム底のないスキー靴は雪の斜面には強力だが、ヤブの中では無力である。午後1時40分山頂着。山頂そのものにはなぜか雪庇がない。「ここから滑ってみろよ」といわんばかりである。相当な急斜面ではあるが、エキスパートなら直接北面の昼闇谷に滑りこむことも可能と思われる。が、山頂脇の稜線には家くらいの巨大な雪庇が並んでおり、万一崩壊したら直撃は避けられないので、相当注意が必要だと思う。

※後日、金沢の早川康浩さんが山頂からほぼダイレクトに滑降している。

エキスパートではない私は、北西尾根を100mほど滑降し、雪庇のない部分からトラバースして北面に滑りこんだ。(図参照)滑りこめる部分には大きな岳樺があり、目印になる。斜度は35度くらいであるが、頭上に雪庇が並んでおり、威圧感がある。また雪面に亀裂が入っており、雪崩、転落にも注意が必要だ。

ザラメ雪を期待したのだが、実際にはデブリがたまっていて思うように滑降できない。急斜面を下り、カール底から見上げたシュプールは電光形かつ不規則で、自信を失うには充分であった。

そこから昼闇谷に入ると、雪もしまり操作しやすくなってくる。この谷はちょうどハープパイプのような形状をしており、ターンしなくても対岸めざして直滑降するとスピードがセーブできて楽しい。
昼闇谷は標高850mくらいから注意して右岸をトラバースしてアケビ平に這い上がると、全く歩かずに車まで滑降することができる。条件に恵まれれば、標高差1400mを一気に滑降できる好ルートである。

今日はアケビ平からはスキーが滑らずくたびれたが、それでも昼闇山頂から、車まで50分で到着。遥か高みに見える昼闇山山頂を見上げて満足する。焼山温泉にかけこみ、温泉に入り、帰途につく。思わずにんまりであった。

以上
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