関田 鍋倉山  2011年2月11日(金)

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関田山脈という名称を知らない人でも「鍋倉山」といえば知っているくらい、山スキーの世界では人気ルートになった。
山岳雑誌に「メロウな林間滑降」と紹介されたり、「ハイグレード山スキー」に掲載されたことにもよるが、やっぱり、「楽しい山」であることがネットや口コミで広まったことが要因だろう。

標高が低いにもかかわらず、ブナの森に囲われた斜面がパウダーの宝庫であること。麓の山村がなかなかよい雰囲気をかもし出していること、そしてブナの巨木が数多くあること
など魅力は尽きない。
鍋倉の楽しさを掲載したサイトは結構多いが、体系的に説明したサイトが少ないので、記載してみる。
最近は詳細な情報を嫌い、一部では「情報断食」なる言葉がはやっているので、オレはそんな詳しい情報はいらない、という人はみないでくださいね。

メンバー yamakawa

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温井(8:10)---田茂木池---巨木の谷北尾根---巨木の谷森姫(9:30)---巨木の谷森太郎(9:40-9:55)---鍋倉山(10:40-11:00)---

---巨木の谷---温井(11:40)


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田茂木池から鍋倉へ向かうルートはいくつか自由に取れる。
鍋倉山東面は、通称「巨木の谷」が馬蹄形にえぐられているような地形になっている。その北と南にそれぞれ尾根があり、両方とも登行可能である。
田茂木池の先に某大学の山小屋があり、その200mくらい先に杉木立が固まっている。そこから直接とりつく尾根が巨木の谷の南側の尾根(仮称)「B」で、狭い沢を挟んで右にあるのが巨木の谷北の尾根(仮称)「A」である。

登行が一番早いのは最短の南尾根で、中間部に杉林があるのでわかる。
巨木の谷のぶな「森姫」「森太郎」がみたければ北尾根を登ったほうが谷に入りやすい。
また、C「西の沢」も上りやすいルートで、滑降も非常に楽しい。北向きのため深いパウダーになることが多い。ただし、この沢はスノーモービルが登下降するルートに使われるので、それを嫌う方は避けたほうがよい。

今日は大学山小屋から右手の車道に入り、池(ムジナ池と呼ばれている)の手前の平坦地をつめ、北尾根に取り付いた。平坦地は地元の人は「どうまん平」と呼んでいる。

スノーモービルについてはいろいろな意見があろう。鍋倉の山頂で言い争いをしているのをみたこともある。ここでモービルを楽しんでいる人は地元飯山の若者が多く、いままで自分たちが維持してきた山によそからやってきて勝手な道徳感を押し付けるな、という感覚はあるようだ。そのためデリケートな問題を含んでいるので時間をかけた話し合いでお互いに理解していくことが必要だ。国立公園内ではないので法的な規制は難しいと思う。
現場で強い態度に出て安易に争うようなことは、反感を買うだけでよい方法ではない。我々山スキーヤーも駐車などで迷惑をかけているという意識は必要だ。

【出典】 地図は国土地理院25000分の1地形図 野沢温泉より転載

朝の温井
長野県では春先に中南部を中心に大雪が降ることを「カミ雪」とよんでいる。
今日、明日はカミ雪の予報なので、北部はそう荒れないだろうと思い入山。
曇りで時々雪がちらつく程度。

人気ルートだけあって20台近い車が駐車している。
行きどまりなので、路上駐車でもさして迷惑にはならないはずだが、ここは観光地ではないので、地元 温井の方に迷惑をかけないよう十分に配慮されたい。
前夜車中泊は、飯山の道の駅などで行い、ここでは避けてほしい。
泊まれば、必然的にトイレ、深夜の車の音など、迷惑になるからである。まさか雲固を雪の中に残す人などいないと思うが、念のため・・

人が来ることを「活気があってよい」と思う人もいると思うが、たいていは、うっとうしいと思われていると考えたほうがよい。
山スキーヤーはほとんどの場合、経済的には地元に何も恩恵をもたらしてはいないのだ。せめて地元の爺さん、ばあさんにあったら明るく挨拶したいね。


人気の鍋倉だけあってトレースは舗装道路のようである。
田茂木池南端を横断し、小屋に向かう。
小屋の先に杉木立が見えるがそこから正面に取り付くのが巨木の谷の南の尾根である。

小屋から車道を一段あがり、「どうまん平」からの鍋倉山方面。
黄色の線が南の尾根。マゼンタの線が北の尾根である。その間の、緑の矢印のしたあたりが巨木の谷。谷の下部は急なので上りにくい。巨木の谷に入るなら北の尾根をあがるのがよい。

森姫


北尾根をつめていくと、標高950mくらいで少し平坦になる。そのまま尾根をあがり、1000m付近で尾根が再び少しせまくなってきたら左の沢地形に降りると、「森姫」に会える。
付近には大きなブナが多いので、「どれ?」と迷うかもしれない。上から見ると枯れ木のように見えてしまうので、「これがそうなの?」という印象かもしれないが、近くによるとやはり大きい。「森姫」は衰弱が激しく、もう夏にも葉をほとんどつけていない。
毎年樹木医の検診を受けているが、この先何年会えるかは不安である。

樹齢300年以上といわれ、江戸時代から人間の営みを見てきたブナは、現代の山スキーヤーのアホさに何を思っているか?

森太郎

森姫から10分ほど沢を詰めると、沢の左手上方に見えてくるのが「森太郎」である。こちらはまだまだ元気。夏はロープで保護されてしまっているが、積雪期にはふれることができる。
ここにはトレースがついていなく、ラッセルになる。
左の折れた枝は、夏にはだいぶ高いところにあるので、積雪は4m位か?
森太郎からまっすぐ鍋倉にあがれないことはないが、北尾根にトラバースして戻ったほうが容易である。
巨木の谷上部はなだれも起こりそうな傾斜なので注意が必要。
「森太郎」から北尾根にもどるのは水平にトラバースしたほうがよく、登りながら目指すと途中にわたりにくい沢がある。
南尾根にも上がれるがやや急だ。


鍋倉山頂付近。
樹氷がきれいだ。山頂の直下には、「天然ハーフパイプ」がある。(写真)
北の尾根を詰めていくとハーフパイプの右に出るし、南の尾根を詰めていくとハーフパイプの左にでる。
ということはこのハーフパイプが巨木の谷の源流なのか?

山頂には数人のグループが2つ、単独スキーヤーが一人、計10人以上のスキーヤー、ボーダーがいた。誰かが「神楽みたいに賑やかだね」といっていた。

鍋倉山頂から戸狩方面を見る。

巨木の谷上部でピットテスト 
安定して焼結しており、調子に乗って強くたたいたら手の指が内出血した。(バカ)


南の尾根も北の尾根も快適な滑降が可能だが、パウダーを楽しむなら巨木の谷に入るのがお勧め。ただし、上部は雪崩の起こりそうな斜度であるので必ず、雪はチェックして入りたい。今日は北の尾根を1100m付近まですべり、馬蹄形にえぐれている巨木の谷上端にすべり込んでみた。
上部で、先行するグループに追いつく。ピットテストをしている。滑り出すとみな巧い。
かつてはパウダーが滑れるのは、一握りの上級者だったんだが、ギアの進歩か?みなこともなげに滑っていく。


この写真は2008年のものだが、巨木の谷南の尾根は、末端付近までいくと無木立のこのような斜面がある。快適な斜面だが、ギャラリーの衆目にさらされるので自信のある人向き。
これは別グループですが、見事な滑降でした。

これら面白そうな斜面をつないでアレンジするのが楽しいでしょう。

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