無名沢と不帰東面 不帰沢(2100mで敗退) 2009年5月2日(土)

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唐松、不帰周辺では唐松沢本谷、V峰dルンゼが人気であるが、不帰沢はなぜかいまひとつ不人気である。
これはおそらく、アプローチが不便なせいで、滑降後、無名沢を上り返すにしても、南股入から二股にでるにしても、2〜3時間ほどのアルバイトが必要になる。
体力に自信があってすっきりと雪の上だけで行動したい、という人は無名沢を上り返せばよいし、ガレ場あるきや渡渉も苦にならないし山菜でも探しながら林道をいきたい、という向きは
二股に出るほうがいいだろう。

不人気と聞くといってみたくなる悪い癖がでてしまった。
それはともかく、両岸を岩場に囲まれているので積雪が不安定だと結構怖い。先週降った雪は、数日間快晴が続いたので安定しているとふんだのだが・・・・・

メンバー  山川
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5月2日 快晴 

八方池山荘(8:15)---八方池(9:00-9:10)---唐松沢無名沢出合(9:20-9:25)--不帰沢標高2100m(11:20-11:35)---
---唐松沢無名沢出合(12:10-12:30)------八方池(15:40)
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ゴールデンウィーク真っ只中の八方尾根は大変な賑わい。
ゴンドラは7時半から営業運転だが、行列ができていた。
八方池山荘から八方池までは2箇所ほど雪がつながっていなく、スキーを脱ぐ。
気温が高く、八方池までに汗だくになってしまう。先が思いやられる。

八方池から無名沢(八方沢と呼ぶ人もいる)を唐松沢まで滑降。
無名沢は雪がしまっており、とても滑りやすい。
今日は先が長いので、疲れないよう、大回りで飛ばしていく。唐松沢に出るまで僅か10分しかかからなかった。

実はこの日一番楽しめた滑降がこれだった。



左に唐松沢、右に天狗沢を分け、緩い傾斜を登っていく。
不帰沢自体は、上部を除いてこんな広い滑りやすい沢である。
デブリも、落石もほとんど見当たらない。今日はよいコンディションかも(甘いな・・・)

標高2100m付近までいくと、下からも見えたデブリの横を通過。
このころ(11:00AMころ)から、気温が上がり、両岸から、小ブロックの崩壊やら、落石が始まり、急に落下物が多くなってくる。数分おきに何か落下してくる。

あと標高差400mほどなので1時間ほどで稜線に到達すると思うのだが、その間、大丈夫だろうか?ここから沢も狭くなって、急になってくるので不気味である。左手、不帰T峰東北壁には無数のブロックが引っかかっている。

東北壁には、故 新井裕己さんの滑ったライン(2007年1月『Non-Diploma』)があるはずだが凡人の私には、滑れそうなラインなんてまったく見えてこない。

行くべきか戻るべきか、しばらく、逡巡していたが、
そのとき上部から土石流のように飛沫を上げながら雪崩落下。
湿雪スラフのようなゆっくりしたものとは全然違う。
休憩モードだった私は、全力で横の斜面に這い上がった。幸い前からあった写真のデブリに吸収されて停止したが、私は大慌てでダッシュしたので足がつってしまった。
今みたいなのがここから上部で来たら、逃げられない。ここから退却することを決意。そそくさとシールを外す。

シールを外し滑り始める。

無名沢ではしまっていたのに、この時間になって新雪がくさってきており、滑りにくい。
滑っていると、なにやら沢の水音のようなザーザーという音が聞こえる。あれえ、雪渓が薄くなっていて下の水音が聞こえるのか?
停止して後ろを振り向くと、
雪崩だ!しかもさっきと比べ物にならないくらい大きい。しかも速い!
これはマジでやばい!こちらに向かってくる。
スキーを履いていたので、直滑降でスピードをつけ、側面の斜面に逃げる。目の前を通り過ぎ100mくらい下で停止した。(左の写真)

もうモタモタしている場合ではない。
なりふり構わず無名沢の出合までにげ帰る。

下降する途中でとった一枚。

南股入に出るか、無名沢を上り返すか迷ったが、まだ時間が早いので、無名沢を登ってスキー場に戻ることにする。

しかし登り始めると、さっきの雪崩から逃げるときにつってしまった足が、またもやつり始め、かばいながら敗残兵のように登ることになってしまった。
いつものように2時間強で登れると読んでいたのだが、誤算で、八方池についたときは既に15時47分!

最上部のリフト停止まであと13分!大急ぎでシールを外し、バックルを締め、ぶっ飛ばして下る。
途中雪のないところもあって泣きたかったが、何とか2分前にリフト乗車。

本日、山域全体としては雪崩が多かったとは思えないのだが、不帰沢周辺はやたらに多かった。

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