2−40.恋愛って、楽しいの?

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 前の節で述べた仮説であり、私が2年前の夏に彼女と別れた理由、そして今あえて恋愛はしないようにしようと思っている大きな理由が、
「恋人との時間を楽しいと思えるかどうか」
という点である。

 自分が相手と一緒にいることを心より楽しみ、それが相手に伝わっていなければ、たとえ自分にどれだけ興味を持ってくれる女性であっても、「この人には脈がないんだ」とあきらめられてしまう。
 普段逆のパターンが多いだけにまず想像しづらいが、自分が普段女性と話をしていない、わざと話をしないようにつとめているといった場合には、十分に考えられる。
 近づこうとしても、何か敵意のある視線を送られて近づけない女性。もともと自分から近づくような性格ではないので声がかかるのを待っているが、声をかけてもらえないのでそのままになってる女性。それがずっと続けば、これはあきらめよう、と思われてしまうだろう。
 女性の性格は余りに幅広く、自分の性格の全貌もハッキリしてない場合、どこからどう興味を持たれるかわからない。つまり、自分がとある女性に目をつけられる確率が全くない、とはいえないのである。
 前節で「どちらも原則として人嫌い」としたのは、人嫌いの結果、興味を持ってくれる女性をよせつけないかどうかによって、決定的な差があるためである。

 ここではネットゲーム廃人にご登場願うとする。

    * 

 とあるネットゲーム廃人。学生のため時間はある、ということでプレイ時間は一日10時間を超える。他の人と一緒にモンスター狩りを楽しむ「パーティーハント」も嫌いではないが、原則的に一人で遊ぶ。
 そんな彼が、仲間の女性プレイヤーから「一緒にやろう」とお誘いを受け、彼女のレベルアップの手伝いも兼ねてやることにしたが、そんな日々が続くうち、女性プレイヤーが彼に興味を持ち始めた。
「今度、オフ会やって、いっしょに遊びません?」
 これに対して、廃人はどう答えは…
1)オフ会に出るだけの暇は無いので…と断る
2)せっかくだから会いましょう、と承諾する

 結局彼女と実際に会って遊ぶことにした廃人。相手の子は案外いい子で、なかなか面白い人だった。
 そんな彼女が、ゲームの中で、彼にだけささやいてきた。
 「毎晩、ゲームの中だけでも、一緒に遊ばせてもらっていいですか?」
 これに対して、廃人の答えは…
1)悪いけど、一人でやるのも好きだから、毎晩は…と断る
2)面白いし、いいですよ、と承諾する

    *

 上記2つの選択肢で2)を選んだネットゲーム廃人は、きっとその女の子と仲良くなり、恋人としてやっていけるかもしれない。そのうちネットゲームより、相手と一緒にいることが楽しくなってしまうだろう。
 しかし、どちらかの質問で1)を選んだ場合には、その時点で恋愛は終わる。彼女とオフ会で会うことより、そして彼女と共に遊ぶことより、自分のプレイの時間を選んだから、である。
 なぜ彼はそう判断したか――その女の子と会うより、ゲームのほうが面白いと思うからである。どちらもそれはそれで面白いし、恋人ができる絶好のチャンスだとわかってはいるが、ゲームを、自分の時間を優先したいために、彼女を排除してしまったのである。

 私が2002年の夏に彼女と別れたのも、彼女との時間よりネットゲームを優先したからであり、それはいずれ後悔することとはいいながら、ネットゲームの時間のほうがより楽しい――彼女と寝ることよりも楽しい、と判断していたからである!
 逆を考えてみて欲しい。恋人だと思ってた女の子が、深夜ドラマに夢中になっている。一緒に寝ようと言ってもむげに断られ、一緒に見ようと言ってもそれも断られたら…どんな気持ちになるかは、明白である。

 今の私は、2つ目の質問で間違いなく1)を選ぶ。
 恋人と一緒にいるということは、たとえゲームをやるにしても、待ち合わせの時間による拘束、狩場の拘束、それによる時間的・経済的なロスを考えると、到底やってられるもんじゃない。ネットゲームならその辺で狩ってればそのうち出現するからまだいいが、実際会うとなると大変なことになる。

 これに加えて、私の普段の仕事が「お客様対応」がメインとなる、人との関わりが激しいものであることが挙げられる。普段一日中人に会って話をして相手のご機嫌を取って、とやってるのに、プライベートまで何で彼女の機嫌を取ってやらねばいかんのだ、と思ってしまう。
 たとえご機嫌取りなど要らない、と言われても、普段人と強制的に会わされてる分、プライベートぐらい一人にさせてくれ、自分勝手にやらせてくれ、という気持ちが強い。つまり、恋人とはいえ、自由気ままなプライベートを侵食してくる存在が我慢できないのである。

 例えこれがネットゲームでなくても、ウィンタースポーツであっても結果は同じである。
 私もウィンタースポーツをたしなむ方で、うまくはないが、初級者となら一緒に滑って楽しめるだけのスキーの技術はある(ということが先月の同期とのスキーで判明した)。しかしおそらく、それを土台に恋人を作るのは無理だろう。なにしろスキーを楽しんでいる間ですら、頭のどこかで
「次の週末はSealOnlineか部屋の大掃除か、それとも気ままに買い物を…」
とか思ってるわけで、次の週末もまたどこかで遊びましょう、なんて言われたら、きっと嫌そうな顔で「別にいいけど…」とか言うに決まってる。そして心のどこかで
「これでオレの部屋はまたジャングルだ…」
なんて思いっきりため息をついてる。どうせ掃除なんてしないクセに。

 閑話休題。
 恋人ができるかできないかは、その人と一緒の時間を楽しもうと思っているかどうか、という点は、クリティカルな要因だと思われる。
 その人と一緒にいる間、自分の時間を捧げてもいいと思うかどうか。何よりもその人との時間を大切にできるか。そしてその時間を、自分が心より、楽しめるかどうか。
 それがなければ、たとえどんな女性に会ったところで、恋愛のしようがないし、たとえ恋人ができたとしても、長続きしないのである。

 さて、最後に1点、整理するべきことがある。
「ステキな人さえいれば、ずっと一緒にいたいと思う。でも、そういう女性が全くいないんだけど…。」
 おそらく大部分の人は、この状況だろう。
 原因としては、

という2つが挙げられると思う。
 恋人探しすらしていない場合は、出会い確率が0になるのでどうしようもない。とにかく人と会うところに出て行くしかない。ハッキリ言って面倒だし、出て行った先で「キモーイ」なんて言われたら、と思うとぞっとする。しかし、とにかく女性と会わないと相手が自分のことを知ってくれないし、「キモーイ」なんて言い出すやつはそもそも範囲外、こっちから願い下げである。オレはこんなヤツだし、と出した中から、こんなところがステキ、と長所を拾って興味を持ってくれる人、そういう人を相手にすればいい。
 最初から「キモーイ」なんて言う奴は、どーせ欠点一つ見つけるたび「キモーイ」なんだから、相手にする必要ない。そう考えたほうがいい。

 恋人を探しているが、いい相手と当たらない――こればかりは致し方ない。ネットゲームのレアアイテム、全く不定期で走る旧型車両、いつどこの即売会に現れるかわからない作家のようなモノで、とにかく片っ端からつぶしていく――出会いの場所を求めてさまようしかないのである。そして当たるときは当たるし、当たらないときは本当に当たらない。
 「当たり」を何と判定するかによっても違いがある。「幻の」強力な武器を探して数少ないボスモンスターを狙うか、ちょっと強いモンスターを叩けば出てくる武器強化用アイテムを狙うかによって、手に入るかどうかが全く違うのと同じことである。外見も性格も、と高い目標に設定すれば、それだけ当たりは少なくなる。

 かといって、求める異性のレベルを低くすることは、やめたほうがいい。すぐにでも「彼女といるより一人でいたほうが楽しい」となってしまい、決定的な別れを呼ぶ。
 自分の生活の効率が落ちても幸せに思えるような相手を、恋人にする。
 そうでもなければ、一人で自由気ままでいたほうが、ずっと楽しいのである。

(04/02/08)
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