ある読者の方から、このようなメールを頂いた。
「相手に会えない時、会いたいと思ったり、相手が何をしているのか、いように気になったり、知りたいと思うのが、恋愛感情ではないでしょうか。」
このメールから、以前見たストーカーについてのドキュメント番組を思い出した。チャットで知り合った女性とつきあい始めた、ある男。その女性とはあることがきっかけで別れたのだが、それ以来、無言電話や不愉快なメールが送りつけられてくるようになった。送り主はもちろん、別れた女性である。
困惑した男は、ストーカー対策の専門家である人に相談した。専門家は男の状況や心情を聞き、その後の対策法を教授した後、ネット上の情報を利用して相手の場所を特定、無言電話をしている現場の女性と接触することに成功した。
専門家が優しく事情を説明すると、女性は泣きながら、
「私は彼に、他の女性とチャットで話して欲しくなかった。チャットを止めて欲しかった。少なくとも私が電話をして、話し中でなければチャットしてないってわかるから…」
と語ったのである。
この問題は、専門家の活動によって無事解決するのだが、それはさておき。
女性がその男を好きだということは間違いないだろう。彼女にはもちろん「一緒にいたい」という気持ちはあるだろうが、それにもまして「相手が何をしているか」にこだわっている。チャットをしていないかどうか、他の女性とにぎやかに話していないかどうか。そればかりが募って、ストーカー行為に及んでしまうのである。私も、このような、「相手のことがやたらと気になる」という経験が全くなかったわけではない。女子嫌いを標榜していた時期でも、気になる女子はいた。大学に入ってからはそのような経験をすることは何度かあったものの、実際に会って話をしたいという気持ちが薄い以上、恋愛感情ではない、言ってみれば「ストーカー感情」というような、おぞましい感情だと思って、わざと切り捨ててきた。しかし、ストーカーも、相手に恋愛感情を抱いてなければ、ストーキングなどという危険な行為に及んでいるわけもない。
「一緒にいたい」と思うのは結果であって、それ以前には当然相手への強い興味、というものがある。恋愛感情というのは、むしろその興味の方を指すのかもしれない。
(99/11/28)