1.そうだ、スコットランド、行こう

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 スコットランド、行きたいな…
 10月に取れた長期休みがとれたある日。ふとそんなことを思った。
 なぜスコットランドか、は、ドイツの次に行きたい場所だったから。歴史があり、城があり、草原がある――結局そこにつながっていくわけだけど、僕の海外旅行のこだわりはどこまでも「R・P・G」なわけで…。

 ということで決めたスコットランド旅行。何しろ思いつきで決めたもんだから何もかもが急ぎ&適当。出発ひと月前に全日空の直行便のチケットを手に入れて、その後は仕事が忙しかったこともあって事前の予習も何もなく、とにかくロンドン行って一晩泊まって、朝に電車でエディンバラ行きゃいいや、という自由旅行どころの話じゃないプランを企画。ロンドンのホテルも出発1週間ぐらい前に初日と最終日の分を、新宿のHISで予約。その時ついでに時刻表とガイドブックを買ったりして。そして荷物は前日詰める…とことんまで無計画な出発だった。

 当日は自宅から、東西線を利用して東陽勝田台へ。そこで京成の勝田台経由で成田空港へ行くことにした。
 しかし肝心の空港行き特急を1分差で逃し、見事に20分待ち…これが無計画の始まりだったりして。
 海外旅行経験はこれで2回目だけど、空港での手続きはわかっている。幸い航空券は届いていたので、直接ブースに行ってチェックイン。出発まで時間はまだまだたっぷりあったので、空港で最後の日本食を取ることにした。
 選んだ日本食は、おかゆ…これもまず向こうでは食べられない。780円という値段も、空港にしてはよいかな、と。
 食事の後は売店で旅行用の小さなノートを買い、国際電話カードを買ったりした後、トラベラーズチェックを作りに銀行へ。約10万で500ポンド…初日のロンドンでの宿泊費が50ポンドだということを考えると、これから8日間滞在するのに、1日あたり60ポンドって絶対足りないよな…ということで、なけなしの口座から非常用としてさらに5万…もっと多めに予算立てておくべきだった。

 飛行機はANAのNH201便、ロンドン・ヒースロー行き。
 成田から北関東をぐるっとまわるようにして、上越線の上空を通る。知り合いのいる長岡・新潟は出発から離陸後30分で通過…早すぎる。
 今回の機体は、シンガポール航空と比べると今ひとつ。何しろゲームが面白くないっ!せいぜいやるとしても上海かオセロぐらいで、これも極度の暇つぶしの域を出ない…シンガポール航空にはマリオあったのに(T_T)
 映画もあんまり面白くないので、日本で録ってきた「さいたまミュージック」をMDでかけて寝ることにした。これ、某掲示板でブレイクしたテクノ系インスト(?)で、テキストトゥスピーチという発声ソフトに発音させた「さいたま」という言葉の連呼をモチーフとして作られたもの。アマチュアの趣味で作られている割には質が高くて、単調な作業をするときにこれをかけると、勢いがついて能率が倍以上に上がるとか…。
 そんなのを聞きながら寝ようという僕も僕なんですが(^^;)

 ただ、一つ面白い映画が。日本映画の『ターン』。
 事故にあった主人公(女性銅版画作家)が、自分の肉体は意識不明のまま、意識だけ異世界に飛ばされてしまう。異世界には自分以外に誰もいない上、事故が起こった時刻のちょうど24時間前から1日が始まり、事故が起こった時刻がくるとまた元に戻る。電話も通じず、完全に孤立した世界。
 初めこそ自分の状況を受け入れ、それなりに楽しんでいた主人公だが、全く変化のない一日に疲れ果ててくる。150日以上たったある日、あまりの辛さに泣いている主人公のもとに、1本の電話が入る。元の世界の住人からの電話だった。
 電話の主は若いデザイナーで、主人公の描いた版画を画廊で見つけて、この画を5分冊のシリーズ本の背表紙にしようとする。そこで電話をかけたところ、偶然異世界の主人公につながったのだ。
 主人公は、電話を切らずにいてもらうよう頼む。翌朝、果たして電話はつながっていた。こうして主人公は元の世界との接点を得ると、電話の主に親に会ってもらって、自分の病状をたずねたり、元の世界の話を聞くことで、1日1日の意味を見出していく。一度主人公の親が電話に出たが、どうやら主人公の声が聞けるのは若いデザイナーだけのようだった。
 こうして異世界との接点を保っていたある日、異世界に別の男がいることを知る。同時にデザイナーのもとに上司が突然尋ねてきて、電話を切ってしまう。世界で二人きりという状況で、男(実はレイプ魔)は主人公の家を見つけ、自分が事故に巻き込まれた時間のほうが早いのをいいことに、彼女を待つようになる。
 そしてある日、ついに主人公は男に襲われる――が、急に苦しみだして姿を消してしまう。どうやら男が元の世界で死んだらしい。
 彼女はひとりぼっちになる。そして人が目の前で「死ぬ」のを目の当たりにした。
 彼女は、銅版画の製作に取り組むことにした。どうせ1日ですべてはリセットされてなくなってしまうもの、と思ってずっと手をつけてなかった銅版画の製作。彼女は、ついに納得のいく作品を仕上げる。
 その作品を持ち、主人公は自分がいるという病院を訪れる。するとなんと、若いデザイナーと主人公の母親が、主人公を乗せた車椅子を押して外に出て行くのを見つけた!若いデザイナーは主人公との交流の間に愛が芽生え、主人公の世話をしていたのだった。
 3人は外に出る。それに続いて主人公も外に出る。主人公は若いデザイナーの愛に触れる。
 そして、一陣の風が吹いた時――主人公は意識を取り戻した。手には、異世界で作った版画を持って。

 とまぁこんな感じの話で、主人公たちの苦悩やデザイナーの愛の気持ちなどがよく描かれている、大変面白い作品だった。以前なら邦画など絶対に見なかっただろう。邦画の面白さを紹介してくれた知り合いに感謝したい。

 さて、そんなこんなで12時間。移動中は夜食のおにぎり(ここら辺が国内航空会社)をほおばりながら、ヒースロー空港に無事到着。現地時間で午後4時だった。

(03/1/19)
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