27.オーバーアマガウ

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 フュッセンに戻った僕は、宿に預けた荷物を受け取り、オーバーアマガウという街に向かった。
 この街に特に何があるというわけではなく、普通はヴィース教会に行くための拠点としての街らしい。僕の場合は2000/10/29が日曜日で多くの名所がお休みになってしまうということもあって、中継地としてとどまることにしたのだった。

 オーバーアマガウまでは、一旦ヴィース教会まで行き、そこからさらにバスに乗り換える。ヴィース近辺で見たような牧歌的な風景の中を、とことこ走っていく。このバスの運転手が愛想のいい人で、同じようなヨーロッパ人の女性の旅人といろいろ話をしていた。
 途中、「ウンターアマガウ」という街に着き、「オーバー」はどこに行ったんだ、と不安になって尋ねたときも、「ここはウンターアマガウですよ、オーバーアマガウはこの先です」と丁寧に教えてくれた。ドイツ人、いい人たちだ〜。

 オーバーアマガウは、片田舎の小さな街、というか村と言ったほうがいいかもしれない。大きめのバスターミナルがあるほかは、小さな商店街に家が少々立ち並び、街の真ん中には護岸工事ひとつされていない小川が流れている。これがヨーロッパだよねぇ、こんな場所日本で探そうとしてもどこにもないよ…と思いながら、宿にたどり着いた。
 宿に入ってすぐ、ケーキと紅茶を盆に載せた、きれいな女の子がいた。目元のぱっちりとした、すっきりした顔立ちとすらりとした体型。ちょっとまごついてると、ドイツ語で「お部屋ですか?」と。おおっ知ってるドイツ語だ〜と思って「はい」と応えると、奥に何事か叫んでレストランに消えていった。
 入れ替わりに奥から出てきた宿の女主人は、ガイドの写真に乗ってる人だった。僕が前日電話した日本人だとわかると大喜びして、「ペーター!日本人よ!」って。ペーターって誰。そんなにみなさん日本好きなんだろーか。

 日曜日ということで、ほとんどのお店はお休みだった。木彫りが有名なこの村で、一軒だけやってるお店を発見。中では店主のおじいさんとおばさんが立ち話をしていた。
 ヨーロッパものはたまに妙にリアルで怖かったりするのだが、ここの彫刻はヨーロッパらしさと温かみのある雰囲気を持ったいい品だった。かわいらしい女の子の人形もあったが、大きすぎる上値が張る。やっぱりここは猫さんだろう、と小さな黒猫の木彫りを買うことにした。「これ、ください」とだんだん言いなれてきたドイツ語を使ってみると、「はいはい…おぉ、猫ですね。」と。そしてそのまま「ありがとう」とドイツ語で言って去る。意外と何とかなるもんだねぇ。
 そして夕食も外で。なんか英語通じない感じがしたので、またドイツ語でやってやれ、と、ドイツ語会話本片手に、カタコトで。
 ウィーン風カツレツというのを頼んだら、おせんべカツみたいなのが出てきた。なんか家のおせんべトンカツ思い出しちゃって…。

 宿に戻ると、おじいさんがこっちを見てる。軽く会釈をしてみたんだけど、あの人がペーターさんかな?もしかすると戦地で日本人に会ったのかも。同盟国ながら、戦ってる場所が地球の真裏であんまし交流なかったとはいえ、ヨーロッパ諸国の中ではおそらく、ドイツはもっとも親日的な国だろう。
 夜に廊下で会ったときも、翌朝の食事のときも、宿のおばさんもおじさんも、愛想良く話しかけてくれた。ドイツ語ナマリのきつい英語だったり、まんまドイツ語だったりしてなかなか反応できなかったけど、日本が好きなんだろうなぁ、このお二人。
 部屋もきれいで家庭的な雰囲気だったし。いい場所に泊まれて、よかった。

(04/5/9)
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