1.はじめての海外旅行

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 10月21日、ついに長年夢見てきたオーストリア・ドイツへと旅立つ。航空券と現地の鉄道パス、それと最初の宿だけを手配する、完全な個人旅行である。
 初の海外旅行で英語を多少使えるだけというのになぜドイツ語圏なのか、ということはいろんな人から言われた。ドイツの質実剛健なお国柄に昔から興味があったこともあるが、1996年の毎日新聞の記事が、私をドイツ語圏に駆り立てたと言ってもいい。
 6月下旬、毎日新聞にオーストリア・グラーツにある「武器庫」の特集が掲載された。オスマントルコ対策のための武器庫が未だに保存されているもので、当時の武器がずらっと並んでいる。ゲームに影響されて、RPG的な世界にあこがれを持っていた私は、いつかここに行きたい、とずっと思っていたのである。そして「城と武器を見て回る」というテーマで計画を立てていくうち、ルートはオーストリアからドイツへと延びた。
 個人旅行にしたのは、ツアーだと日程の割に高いし、自分の興味にぴったりのツアーがなかったこと、それにそれなりに様になってきた英語力にそこそこ自信があったから、それを試してみたい、ということもあったのだ。

 本当は夏休みを利用して、9月に行く予定になっていた。それが航空券の手配が遅れて出発を先延ばし、大学の履修登録が終わったこの時期に決めた。その分航空券の費用も安くなり、滞在も1日のばすことが出来たし、紅葉も見られるかと考えると、それほど悪くもない。夏休みにどうしても行かなければならないほど、大学の勉強がひっぱくしているわけでもない。留年生というのはいかにも自由な身分である。
 航空会社は当時無事故で有名だった(私の旅行中に初の事故を起こした)シンガポール航空を選んだ。成田からシンガポールに出て、行きはウィーンに着陸、帰りはフランクフルトから出る。1ヶ月半前に手配したときですでにシンガポール−ヨーロッパ間がキャンセル待ちになってひやひやしたが、9月の初旬には無事に席を確保した。
 移動はほとんどが鉄道、一部に路線バスを利用する。大部分をドイツで過ごすし、友人の勧めもあって、鉄道パスはジャーマン・レイル・パスに決めた。期間内なら連続していなくても、自由に自分の好きな日に使えるパスで、10日間のを購入した。計画では9日あれば十分だったのだが、2000円も変わらないので10日間のにしたのである。
 現地で使う費用として計算したのは19万。どうせユースホステルばかりを回るつもりだったし、一日9000円で予算を組んでいたのだが、親をつっついて少し余計に出させたのだった。これを全部ユーロ建てトラベラーズ・チェック(T/C)にかえ、2000ユーロを手に入れた。
 どうせほとんどドイツしか回らないのだから、ドイツ・マルク建てでもよかったのだが、T/Cは受け取ってもらえるところが少なくて結局現金化する羽目になるとか(クレジット・カードも似たようなもの)いう話を聞いていたから、せっかくT/Cを使うならユーロにしてみよう、と思ったのである。アメックスのT/Cで、これを何日かおきに訪れるアメックスの両替所がある街で交換して、手数料を0に近づける作戦である。
 使いすぎで破産の恐れがある、ということで毛嫌いしていたクレジット・カードだが、結局作ることにした。学生の間は年会費不要の「TUOカード」。出発の数日前に手配することになり、出来るかどうかが怪しいところだったが、なんとか顔写真の入っていないものを作ることができた。どうせこんなもの、帰りの飛行機に問題が起きない限り使うわけがない代物で、一種のお守りのようなモノである。
 海外で使えるという「インターナショナルキャッシュカード」、あれは結局作らなかった。作る余裕が無かったし、作るのが面倒だったのだ。シティバンクのが一番使いモノになるらしいのだが、ちょっとしたウラワザを使う必要があったり、なんか面倒臭そうな雰囲気があったのである。
 海外旅行保険は友人が使ったことや、立川のパスポートセンターのところに窓口があることを知っていたこともあって、AIU保険を利用、10000円の予算でかけるだけかけた。フリープランにして、死亡系の掛け金を減らすだけ減らし、障害や疾病といったものを増やすだけ増やす。本当は損害賠償も増やしたかったが、1億円の設定しかなかったのであきらめた。私のことだからうっかり何を壊すかわからないから、本当は5億ぐらいかけたかったところだがしかたがない。惜しむらくは、飛行機に乗る期間を含めて全日程が19日間になってしまい、保険をかける日数が延びてしまったことである。
 パスポートのほうは8月中に確保していた。いずれ使うことになるからと10年旅券。写真は就職活動の時につかったフィルムを使い回した。スーツを着た写真だから、社会人になっても十分通用するだろう。
 国際学生証とユースホステル会員証も、キャッシュカードを作りに大学に行ったときについでに作ってきた。学生の身分を利用して安く旅行をするには必要不可欠である。
 荷物は登山用のバックパックに全部詰めることにした。下着類は当日着ているのも含めて4組。他は3組ずつそろえた。スーツケース、という手もあったのだが、石畳でローラーが破壊されるという話があったので、移動に便利なバックパックを選んだのだ。かしこまった服装を入れて持ち歩けないことはあるが、別にかしこまったところに入るつもりはなかったから、これで十分である。
 一方で街歩き・機内持ち込み用のカバンも用意した。いつも「ブッコ学会」でプレステを詰めて持っていくカバンで、思ったよりよく入るし、横かけなのでバックパックの邪魔にもならない。バックパックを宿に預け、普段はこのカバンで移動する。出発当日はここに機内持ち込みの本やMDを突っ込んで、かなり膨れ上がってしまった。
 貴重品は全て、首からかける方式の財布に入れることにした。これで厚着の下に隠しておけば、そうそう簡単に盗まれる心配はないだろう。オーストリアもドイツも治安のいい国だが、尻ポケットに財布を突っ込んで歩けるほどではないだろう。
 服装は冬の装備。スキー用の上着も用意した。インターネットで調べたところ、この時期最高気温で10度前半、最低気温となると1桁前半まで落ちるという。東京で言えば真冬である。それなりの格好が必要になるのだ。
 準備としては、初の海外旅行でもあるし、それほどマメなほうでもない(と思う)から、旅慣れた人から見れば穴だらけだったかもしれない。が、多少ロスが出ても出発前にあまりごたごたしすぎるのもつまらないではないか。効率性を追求するのは何度か旅行してからである。あちらにでかけられて、見る物を見て、予算内に費用を抑えて、無事に帰って来られれば、それで十分なのである。

(00/11/10初出、00/11/22加筆)
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