「おーいククール」
「…」
「ククールー」
「…あ?」
「テンション低いね」
「これがハイテンションでいられるかよ。むさくるしい男ばっか集まってるってのに」
「まあ、そりゃそうでがすがね」
「姫様いるじゃない」
「いくら美女でも馬状態の姫様じゃなあ…」
「ほら、散々欲しがってた魔法の聖水が宝箱から出たから、これあげるから元気だしなよ」
「俺は必要ねえんだよ妖精の弓があるし。…まあ、今となっては必要ねえか」
「…心配なんだ」
「心配なんでげすな」
「何がだよ」
「何がって、ねえヤンガス」
「言わずもがなですなあ」
「なんで俺が心配しなくちゃいけねえんだよ。どうせきまぐれでどっか行っちまっただけだろ」
「ゼシカの姉ちゃんはそんな子じゃねえと思うでげすよ」
「そうだよ、挨拶はきちんとする子でしょうよ」
「まあ、俺もそう思うがね」
「でしょ?」
「まああの天然アホのことだから、だまくらかされて売り払われたんじゃないか。…いやでも最近メラミ覚えたしそりゃないか。メラミを連打してくる女なんてそう簡単にさらえねえだろうし…まあ変なところ馬鹿みたいに騙されやすいからガキとか使われたらイチコロか?あああの世間知らず!ちゃんと飯とか食ってるのかあいつ全部胸に栄養吸い取られてんじゃねえのかもうちょい肉つけてかないと倒れるっつうの後先考えず呪文連呼するしそのくせ回復呪文はちっとも覚えようとしねえし本当にアホじゃないのかと思うね俺は」
「ねえククールさあ」
「だからなんなんだよ」
「細かいところつっこまないで用件だけ言うと、この先のリブルアーチって町に向かうゼシカらしき姿を見たって人がいたんだけど」
「時間といい姿といい姉ちゃんで間違いなさそうでげすよ」
「…は?!じゃあなんでこんなところでうだうだとどうでもいい話してんだよ!ほら急ぐぞ一度がつんとあの世間知らずのアホに言ってやらないと俺の気がすまないね!」
「えっでもさあMP減ってるから一泊しようって今話してたじゃない」
「じゃあその魔法の聖水よこせって。ほら、今すぐ準備しろ!」
「ねえヤンガス」
「なんでげすか」
「分かりやすいねえ」
「全くでげすなあ」
「こりゃ二人とも!あまりからかって遊ぶでないぞ!」

