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5.弾力的放流の影響評価
(1)芦田川下流域の水質改善効果
● データにばらつきはあるが、弾力的放流に対する水質改善率の関係から、放流量の増  加に伴い改善率が高まる傾向がある。
● 特に、弾力的放流が短い期間に連続して実施された第7回、第8回の放流後、第11回、  第14回の放流後では、水質改善率も高く、芦田川下流の水質に対して大きな効果があると考えられる。

(2)海域への影響
● 海域への影響範囲については、沿岸域の栄養塩類の濃度や塩分分布の変化などから芦田川河口堰から約3〜4km程度と推定される。

6.検討会での意見
● 弾力的放流については、定性的な効果は認められるが、堰湛水区間への流入水質や   降雨、放流前後の観測期間などが様々であり、現時点のデータから定量的に把握することは難しい。
● このため、基準地点等における連続観測などにより、弾力的放流前後の水質変化を連続的に捉えた上で、改善効果の程度や継続期間といった検証も必要と考える。
● 放流量の増加に伴い水質改善効果が伺えることから、放流回数を増やす方向で運用条件の変更を検討する必要もある。
● 今後も継続したモニタリングにより、逐次その挙動を把握していくことが望まれる。
● 健康項目の専門家の委員追加。

7.今後の対応
 今後の対応としては、これまでの弾力的放流結果および検討会での意見をもとに、下記の3点について、現在調整中である。
● 弾力的放流前後の河口堰貯水池内の連続モニタリングの実施
● 弾力的放流の運用条件の検討と関係機関との調整
● 健康項目の専門化として福山地域事務所環境管理課長に委嘱調整中

(1)河口堰貯水池内の連続モニタリング
 弾力的放流による芦田川の下流水質の挙動を把握し直接的な効果の検証を行うための基礎データを収集するため、CODやT-P、SS等との相関が高く、またセンサー方式による連続観測が可能な濁度によるモニタリングを検討中である。

@観測位置
 観測位置としては、弾力的放流の影響範囲として、河口堰直上流である河口大橋付近、堰湛水区間の基準地点となる小水呑橋付近(小水呑橋水質観測所)、流入地点である神島橋付近(山手橋水質観測所)の3地点において実施が望ましい。

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