3 Minutes NetWorking
No.21

3MinutesNetWorking

第21回レイヤ3 IPアドレッシング

■ 論理アドレス

インター博士

さて、前回まででレイヤ3は論理アドレスを決定するというのをわかってもらえたと思う。

ネット助手

はい、階層型アドレスでしたよね。

インター博士

論理アドレスの代表格といえる、IPアドレスを説明する前に、いくつか論理アドレスの特徴を話しておこう。
まず、階層型だ、ということだ。

ネット助手

第19回で説明されてましたよね。

インター博士

そうだ。物理アドレスは単なるユニークなビット列でしかない。
一方、論理アドレスはそのアドレス自体に意味がある。

ネット助手

何処の、誰?」という情報でしたよね。

インター博士

うむ。以下の図のように、その「何処の、誰」という情報は積み上げることができる。
なので、階層型とよばれている。

階層型アドレス

[Figure21-01:階層型アドレス]

ネット助手

例えば、図の1番のパソコンなら、「ネットワークA内ネットワークA1内ネットワークA1a内1番」っていうアドレスになるんですよね。

インター博士

さすがに第19回、20回と続けてやっただけの甲斐はあったな。
ネット君ですらここまで覚えているとは。

ネット助手

強調しないでくださいよ。さすがに覚えます。

インター博士

いや、珍しかったのでつい、な。
ともかく、さらに特徴として、論理アドレスはネットワーク管理者がつけるという点だ。

ネット助手

ネットワーク管理者がつける?

インター博士

MACアドレスはIEEEがつけたベンダーコードと、ベンダーがつけた割り当てコードから成り立っていたよな。
使用する側は変更不可能だったわけだ。

ネット助手

そうでしたよね。
NICにつけられたアドレスだったわけですよね。

インター博士

だが論理アドレスは、そのネットワークの管理者が必要に応じて自由につけることができる。
そして、論理アドレスはNICにではなく、各デバイスのネットワークとの接続点ごとにつける。

ネット助手

ネットワークとの接続点ごと?
それって、NICごとってことじゃないんですか? だって、パソコンのネットワークとの接続点ってNICでしょ?

インター博士

いや、物理アドレスと違う点は、例えばNICが故障して違うNICに変えたとしても、同じ論理アドレスを持つのだよ。
なので、ネットワークとの接続点ごと、なのだ。

ネット助手

ははぁ。
パソコンごとにつける、ってことですか?

インター博士

接続点ごとだ。
パソコンが1枚のNICだけだった場合は、1つの論理アドレス。そのパソコンが2枚のNICを持っていた場合、2つの論理アドレスを持つことになる。

ネット助手

あぁ、なるほど。

インター博士

そして、論理アドレスは、「何処の、誰」だったよな。
なのでそのデバイスの所属するネットワークが変わった場合、論理アドレスも変わることになる。

ネット助手

へへぇ。MACアドレスはNICに付属してるから、何処へ行っても同じアドレスだったのに。

インター博士

さらに、レイヤ3にはいくつかのプロトコルがあったのは前回話した。
なので、プロトコルごとに論理アドレスの体系が違う。代表的なものを下の表にあげておこう。

プロトコルアドレスの例
IP (TCP/IP)192.168.100.125
IPX (IPX/SPX)4d.0060.3e86.e220
DDP (AppleTalk)151.10

[Table21-01:レイヤ3アドレスの例] 

ネット助手

あらら、ずいぶん違うんですね。

インター博士

うむ。
プロトコルが違うと、アドレスも変わってしまうので、なんらかの変換作業が必要になる。

ネット助手

ははぁ。

■ 何処の、誰?

インター博士

さて、どのプロトコルを使うにしろ、論理アドレスは所属するネットワークの番号+ホストの番号という形になっている。

ネット助手

「何処の」+「誰」ですか。

インター博士

そうだ。
ネットワークの番号は接続されているすべてのネットワークでユニークでなければならない。

ネット助手

接続されているすべてのネットワークでユニーク。
接続されていない場合はいいってことですか?

インター博士

相互に通信しあわない独立したネットワーク同士なら、かまわない。
通信する時に区別する必要がないからな。

ユニークなネットワーク

[Figure21-02:接続されているネットワークでユニーク]

ネット助手

ははぁ。

インター博士

一方、ホストの番号は所属するネットワーク内でユニークでなければならない。

ネット助手

こっちはわかります。
僕が住んでる場所は「新宿」なんですけど、東京都の「新宿」と同じ名前でも、ちゃんと県名から書けば区別がつきますからね。

インター博士

そういうことだ。
違うネットワークに同じホスト番号を持つものがいても、ネットワーク番号が違うから、結果的にユニークになる。

ネット助手

なるほど。
つまり、ネットワーク番号+ホスト番号という形になれば、必ずユニークになる、と。

インター博士

うむ。
ここから先は、IPでもちいられるIPアドレスについて説明する。

■ IPアドレス

ネット助手

IPで使われるアドレスだから、IPアドレスですか?

インター博士

うむ、そのまんまだ。
さて、MACアドレスは16進数12ケタ、48ビットだったな。

ネット助手

えぇ。00-90-99-32-BA-FFと書くか、0090.9932.BAFFと書きましたよね。

インター博士

IPアドレスは、今現在使われているバージョン4は32ビットだ。

ネット助手

今現在使われている?
じゃ、昔は違ったとか?

インター博士

いや、逆だ。
過去ではなくて、未来にはバージョン6に変わる。だが、それはまだちょっとだけ未来の話だ。

ネット助手

そうなんですか。

インター博士

なので、IPアドレスは32ビットと覚えておいて今の所問題ない。
32ビットだ。32ビット

ネット助手

なんか、32ビットをやけに強調しますね。

インター博士

うむ。
IPアドレスは、10進数で表記されるので、実体がビットであるということを忘れてしまうことがあるのだ。いいか、32ビットだぞ。

ネット助手

わかりましたって。

インター博士

うむ、忘れるなよ。
つまり、以下のような形になる。

10101100000001010010001000001011

[Figure21-03:IPアドレス(2進数)]

ネット助手

う〜ん。
やはり人間に2進数は厳しいッスね。意味のあるものには見えないですよ。

インター博士

そうか。
なら少し見やすくしてやろう。

10101100000001010010001000001011

[Figure21-04:IPアドレス(2進数・バイトで色分け)]

インター博士

1バイトずつ色を変えてみた。
どうだ?

ネット助手

さっきよりは見やすいですけど。

インター博士

まぁ、普通そうだな。人間は2進数を咄嗟に判断できるようにはできてないからな。
なので、実際にIPアドレスを表記する際は以下のようになる。

10101100.00000101 .00100010.00001011
172.5.34.11

[Figure21-05:IPアドレス(10進数)]

インター博士

つまり、バイトごとに10進数にして表記する
そして各バイトの間にはドットを入れる。例えば、上の例ならば、172.5.34.11と表記するわけだ。

ネット助手

はわ〜。これならわかりやすいですね。

インター博士

うむ。
この1バイトごとの区切りをIPアドレスではオクテットという。

ネット助手

おくてっと?
カルテットみたいですね。

インター博士

そうだな。
カルテットは四重奏という意味だが、オクテットは八重奏という意味もある。

ネット助手

なるほど。8っていう意味なんですね。
8ビットだからオクテット、と。

インター博士

この4つのオクテット、つまり32ビットで「何処」の「誰」、つまりネットワーク番号とホスト番号を表す。
つまり、こうだ。

ネットワーク番号ホスト番号
10101100000001010010001000001011

[Figure21-06:IPアドレスの意味]

ネット助手

ははぁ。先頭から16ビットがネットワーク番号で、残り16ビットがホスト番号なんですね?

インター博士

いや、それはなんとなく適当な例だ。
実際は、クラスによって決まる。

ネット助手

くらす?

インター博士

うむ、クラスだ。
というわけで、次回はIPアドレスの体系について話す。

ネット助手

おぅ、いぇ〜。
3分間ネットワーキングでした〜♪

接続点
インタフェース[interface]といいます。
アドレスの例
IPアドレスは今後説明します。
IPXは
ネットワークID+MACアドレス (32ビット+48ビット)
DDPは
ネットワーク番号+ノード番号 (16ビット+8ビット)
バージョン6
[internet protocol version6]
IPv6と略される。バージョン4はIPv4。
32ビットから、128ビットまで拡張。そろそろ使われ始めている。
オクテット
[octet]
[oct]は8の意味。8角形[octagon]とか。
ネットワークでは必ずしも8ビット=1バイトであるとは限らないものも存在するため、バイトという単位をここでは使っていない。
ネット助手ネット君の今日のポイント
  • レイヤ3の論理アドレスは、
    • 階層型である。
    • ネットワーク管理者がアドレスを割り振る。
    • デバイスの接続点ごとに1つ割り振られる。
    • 場所に依存するので、場所が変わるとアドレスもかわる。
    • ネットワーク番号は全ネットワーク内でユニーク。
    • ホスト番号はそのネットワーク内でユニーク。
  • IPアドレスは32ビット。
  • 8ビットを1オクテットとして、4つのオクテットに分割して表記。
  • 各オクテット毎に10進数にして、間に区切りのドットをつける。

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