■ LAN
ネットワークにはLANとWANがあることを理解してくれたと思う。
ろーかるえりあ、と、わいどえりあ、ッスね。
なぜ日本語?
ん。まあともかくだ。今回はそれぞれの特徴を説明しようと思う。
はい。
まず、LANだが。
部屋とか、フロアとか、ビルとか、そういう狭い範囲のネットワークの事を指す。
ローカルってぐらいですからね。
そうだな。
その狭い範囲内の、パソコンやら、プリンタやら、その他なんやらのデバイスを相互に接続するのだ。
ははぁ、つまり、教室内のすべてのパソコンをつなげたり、オフィス内のパソコンとプリンタをつなげたりするんですね。それでネットワークを作る、と。
今日はいたってまともだな、ネット君。その通りだ。
僕はいつだってまともです。
それは初耳だ。
まあいい。そしてそのLAN内のデバイスはいつでも他のLAN内のデバイスと接続できる。
いつでも接続できる、って。
なんか当たり前のような気がするんですけど。
LANでは確かにそうだが、WANではそうでないのでな。比較としてだ。
さらに、高速かつ高品質の接続を提供する。
高速かつ高品質・・・。
高速ってのは?
そうだな、一度にデータを送信できる量だと思ってくれればいい。
コンピュータではビットという単位でデータの大きさを数えるのだが、LANだと1秒間に10Mビットが一般的かな。
はぁ。
で、高品質ってのは?
品質とは、データの正確性だな。高品質とはエラーが少ないという意味だ。
データは、電気信号としてケーブルの中を流すのだが、電話などでもノイズが入るだろう?
そういえば、電話も電話線の中では電気ですね。
確かにノイズが入ったり、弱くなってるらしく聞こえづらいことがありますね。
うむ。それがエラーの原因になるのだ。LANは近距離である分だけ、そういうエラーが起こりづらい。
まぁ、今まで言葉だけだったので図を描いてみた。LANとはこんな感じだ。
[Figure02-01:LAN]
パソコンとパソコンを繋いでいるのがLANケーブルだ。これは自前で用意して、自分たちでケーブルを引くのだ。
ケーブルの上を動く青い丸は、データを表している。
確かにパソコンとパソコンが相互に接続されていますね。
そして、これらはいつでもデータのやり取りができる、と。
■ WAN
うむ。LANはわかってもらえたと思う。
次はWANだ。
LANとLANを結んでの広い範囲でのネットワーク、でしたっけ?
前回私が言った科白そのままだな。
例えば、全国規模の会社があったとする。そこは東京本社と大阪に営業所を持っている。
営業所からは本社のデータベースにアクセスしたい。
ネットワークの利点である、リソースの共有ッスね?
この場合はデータを共有したい、というわけですね?
小賢しいな、ネット君。その通りだ。
つまり、東京本社のデータベースが置かれているLANと、大阪営業所の営業マンが使うパソコンがあるLANを接続する必要があるわけだ。
ふむふむ。
そのような場合LANとLANを結ぶわけだ。これをWANという。
結ぶって、どうやって結ぶんです?
LANみたいにケーブルでやるんですか?
ケーブルで結ぶといえば、ケーブルで結ぶんだが。
いくらなんでも東京から大阪まで自前で引くわけにはいくまい。そんなことができるのはNTTなどの電話会社だけだ。
KDDIとか、日本テレコムとかですよね。
なので、長距離を結ぶWANの場合、電話会社にケーブルを借りることとなる。
簡略化していえば、電話回線を使って、音声の代わりにデータを運んでもらうわけだ。
へぇ。
電話を使ってデータを運ぶなんて、インターネットへの接続みたいですね。
というよりも。インターネットもWANなのだ。
先ほどの例は東京と大阪だが、インターネットは世界中のLANを結んでいるというわけだ。
は?
でもウチのパソコンはインターネットに接続できますけど、LANじゃありませんよ?
1台しか存在しないLANと考えればいいだろう。
もう少し想像力を働かしたまえ。妄想だけでなく。
妄想って…。
あえて間違った表現を使えば、プロバイダに電話して接続することにより、プロバイダというLANの一員になる、と考えればわかりやすいかもな。
実際にはLANではないが。
妄想…。
まだ言っているのかね。事実だ、気にするな。
それはともかくWANの特徴として、まずケーブルを借りなければならない。LANは自前でケーブルを引くのだが、WANは電話代を払って使わせてもらうことになる。
ウチは常時接続にしてないので、時間を気にしながらインターネットに接続してますよ。
そうだな。今はISDNのフレッツや、ADSL、CATVがあるから常時接続が普及してきたな。企業などは大体常時接続にしている。
ただし、ネット君のような人間もいるので、WANは必ずしも常時接続とは限らない。
あぁ、それでLANの説明のとき「LANはいつでも接続できる」って言っていたんですか。
納得。
うむ。さらに、ISDNが通常最大128Kbps。ADSLが8Mbps。光ファイバを使うBフレッツは例外的に高速だが、基本的にWANはLANよりも低速だ。
そういえばそうですね。
学校のLANだと隣のパソコンのデータはささっと見れるのに、インターネットの時は遅いですもんね。
昔に比べてよくなったが、WANの電話回線はLANケーブルに比べるとエラーが発生しやすい。
ふむふむ。
つまり、WANとLANを比較してみると、こんな感じですか?
LAN | WAN | |
---|---|---|
範囲 | 狭い | 広い |
スピード | 早い | 遅い |
品質 | 高い | 低い |
接続 | 常時 | 常時・間欠 |
ケーブル | 自分で設置 | 電話会社のを借用 |
使用料金 | タダ | 電話代が必要 |
対象 | パソコンとパソコンを接続 | LANとLANを接続 |
[Table02-01:LANとWANの違い]
ほぅ、ネット君気が利いてるな。
へへ。
これだけ違えばわかると思うが。LANとWANはデータを伝送するという点では一致している。
だが、使用する技術が違う。
目的は一緒でも、手段が違うって感じですかね?
うむ。今のところはそう考えてもらっても問題ない。
今回はここまでだな。
了解ッス。
3分間ネットワーキングでした〜♪
- デバイス
-
[device]
パソコンや周辺機器などの機器を表す言葉。
ルータやスイッチなど特にネットワークの制御機器はネットワーキングデバイスと呼ばれる。
- 1秒間に10Mビット
-
Mはメガ、10の6乗。(10M = 10,000,000)
1秒間に運べるビット数は、
bps(bit per second)と表記する。今回の場合は、10Mbps。
- LANケーブル
-
LANで使われる伝送媒体はこのように呼ばれることが多い。
一般的に使用されるのはUTP・CAT5(詳細は先の回で)。
- KDDIとか…
- このような通信施設を敷設できる会社のことを電気通信事業者という。
- ISDN
-
[Integrated Services Digital Network]
総合サービス・デジタル通信網
電話・FAX・データなどをデジタル回線で扱うサービス。家庭で使うものだと64Kbpsが2回線分使えるINSネット64が普通。
- ADSL
-
[Asymmetric Digital Subscriber Line]
非対称デジタル加入者線
通常の電話線を使用した高速サービス。送信と受信のスピードの違いから「非対称」と呼ばれる。1.5Mbpsと8Mbps、12Mbpsのサービスがある。
- ネット君の今日のポイント
-
- LANは狭い範囲、WANは広い範囲でのネットワーク。
- 似ているようで、結構違いが存在する。
- なんか使う技術も違うらしい。