■ IPv6?
IPアドレスの枯渇まであと357日!、はいいんですけど、質問があります。博士。
いいたい事言っといて、何かね?
IPアドレス枯渇問題の大本命と言えばIPv6ですけれど、それはやらないんですか?
あ〜、IPv6な。うんうん。
で、どうなんですか?
CCNPでも出るとはいわれているが…。
ま、いずれやろう。いずれな。
いずれッスか。
■ unnumbered
今回は、2つのことをやろう。
1つIPアドレスの節約技術。もう1つはIPアドレスの拡張技術だ。
2つもですか。
うむ、まず1つ目は。
ネット君。VLSMのところでやったように、ルータ間ネットワークにもネットワークアドレスが必要だったな。
そうですね。
ルータのインタフェースにはIPアドレスが必要ですから、必然的にそうなりますよね。こんな感じに。
[FigureRT04-01:ルータ間ネットワーク]
無駄じゃないか?
やけにはっきりいいますね。
でも、VLSMを使えば、それほど無駄にならないじゃないですか。
確かにVLSMを使えば無駄は減る。
だがな、右のルータにしてみれば、シリアル1から送信されるデータはどうあっても左のルータのシリアル0につくのだ。わざわざ個別のアドレスを割り振るなんて無駄じゃないか。
確かに、そうですけど。
だから、アドレスをわりふらない。
かわりに、同じルータ違うインタフェースのアドレスを仮にあたえる。下図をみてくれ。
[FigureRT04-02:アンナンバード]
この場合、左のルータのシリアル0には、イーサ0の210.18.136.2/24を。
右のルータのシリアル1にはイーサ0の208.120.58.1/24を仮にあたえたわけだ。
はぁ。
例えば210.18.136.0/24ネットワークで208.120.58.3宛てのパケットが発生したとする。
そうすると左のルータのイーサ0がそのパケットを受け取り。ルーティングし、シリアル0から送信する。
左のルータのシリアル0から送られてきたら、右のルータのシリアル1が受け取りますね。
そうだ。そしてイーサ0から送信して、宛先に届く。
IPを別個に与えられていた場合と、仮に与えられていた場合。まったく変わりない。
は〜。なるほど。
つまり、この2つのルータを1つのルータとして運用する方法だ。
下図のようになる。
[FigureRT04-03:アンナンバード・概念]
ちょっと変な感じだが、左のイーサ0からのパケットを直接右のイーサ0にスイッチングしてると同じ事をやってるわけだからな。
このようにIPアドレスを割り振らない方式をunnumberedという。
は〜。
これはポイントツーポイントでのルータ接続で使用される。ちなみにCiscoIOSでのコマンドは以下の通り。
今回は例としてさっき使った図の左側のルータのシリアル0をunnumberedにする。
- Router(config)#interface serial 0
- Router(config-if)#ip unnumbered ethernet 0
ふ〜ん。いつものip addressの変わりに、ip unnumberedを使うんですね。
そのあとIPアドレスを借りるインタフェースをつける、と。
そうだ。
だが実を言うと、unnumberedはなんかもういろいろでつっこまれると困る。なので次の話だ。
珍しく弱気ですね、博士。
武士の情けでつっこみはやめておきましょう。次の話はなんです?
■ ヘルパーアドレス
うむ。
まずネット君。ブロードキャストドメインは覚えているな?
さすがにそれぐらいは覚えてますよ。
ブロードキャストトラフィックが分断される範囲ですよね。ルータがドメインを分けるんでしょ?
そうだ。
質問ついでにもう1つ。DHCPの動作を覚えているか?DHCP Discoverはどうだった?
クライアントがDHCPサーバを見つけるために、一番最初に行う動作で。
ブロードキャスト送信するパケットですよね。
うむうむ。伊達にハイパー化してないな。いいぞネット君。
この2つのことをあわせると、DHCPサーバは同じブロードキャストドメイン内に存在していなければないない。そうだな?
そうなりますね。
違うブロードキャストドメインにDHCPサーバがあった場合、そこまでDHCP Discoverが届きませんからね。
そうだな。つまり、1つのブロードキャストドメインにつき、1つのDHCPサーバが必要となる。
無駄じゃないか?
無駄って一概にそうとは言えませんけど。
他の役割をするサーバと合わせてしまえばいいわけですし。たとえばproxyとか。
うむ。確かにそうとも言える。
だが、ブロードキャストドメインは分割したい、でもサーバの数は減らしたい、という要求がないわけではない。
まぁ、そうですね。
サーバは割と高機能なマシンを使いますから、その分金がかかりますからね。
そうだな。Windowsのサーバを使えばOSにも金がかかる。
なので、サーバの数を減らしたい、ブロードキャストドメインを分割したいという矛盾した要求をかなえるのが、ヘルパーアドレスだ。
へるぱーあどれす?
助けるアドレス?
DHCPを例にあげてみよう。
下図をみてくれ。
[FigureRT04-04:ヘルパーアドレス] ▼
は〜。ルータが宛先IPアドレスを書き換えてくれるんですか。
そうだ。
ローカルブロードキャストを特定のユニキャスト、もしくはディレクテッドブロードキャストに変換する。
ははぁ。
変換されるアドレスのことをヘルパーアドレスという。
上図の例の場合、10.20.30.1がこれになる。この例でのCiscoIOSコマンドの設定方法は下のようになる。
- Router(config)#interface ethernet 0
- Router(config-if)#ip address 192.168.1.1 255.255.255.0
- Router(config-if)#ip helper-address 10.20.30.1
- Router(config)#ip forward-protocol udp 3000
- Router(config)#no ip forward-protocol DNS
ん?下の2つはなんです?
ip forward-protocolとno ip forward-protocolって?
うむ、よくぞ聞いてくれた!
よくぞ聞いてくれたって、何の説明もなくいきなり書いてあれば聞きますよ。
…。
あっ、うわ〜なんなんだろう?すごく聞きたいな〜。
うむうむ。いいかね。
(まったく子供なんだから)
すべてのブロードキャストを変換していては、ルータを使った意味があまりなくなってしまう。なのでCiscoルータの場合、ヘルパーアドレスで変換されるのは特定のUDPポートだけなのだよ。
なるほど。
なので、デフォルトのポート以外も変換したいときは、ip forward-protocolで。
デフォルトを変換したくない場合は、no ip forward-protocolで指定してやるのだよ。
ははぁ。了解です。
うむ。これでIPアドレスの拡張技術の話は、とりあえず終了だ。
はい。
では次回以降は?
次回からは、今まで名前だけでてきた、OSPF、EIGRP。そして、BGPの説明を開始する。
こっからが正念場だぞ、ネット君。
了解です。覚悟完了しときます。
うむ。ではまた次回。
30分間ネットワーキングでした〜♪
- あと357日
- どうしたって嘘です。信じないように。
- IPv6
-
[IP version 6]
現在使われているのはversion4(IPv4)。
アドレス長を32ビットから128ビットに拡張。
- 鬼
-
[ogre]
だってそのためのページなんだもん。
- 悪魔
-
[diablo]
そこまで言うほど汎用性ないわけではないと思います、CiscoIOSコマンド。
- unnumbered
- 逆にIPアドレスを割り振る方式をnumberedという
- ポイントツーポイント
-
[point to point]
1対1でつなぐ接続方式。
- 弱気
-
ある程度はわかるんですけどね。
そっから先が…。
- Windowsのサーバ
-
現行ではWindows2000Server。
まだWindowsNT4.0を使ってるところも多いとか。
安ければ自宅でも使いたいなぁ、などと。
- ヘルパーアドレス
- [helper address]
- 図:Dest-IP
-
Destination IP Addressの略です。
宛先IPアドレス。
- ディレクテッドブロードキャスト
-
[Directed Broadcast]
他の(サブ)ネットワークへのブロードキャスト。
ダイレクトブロードキャストとも。
例の場合、10.20.30.1に変換ではなく、10.20.30.255に変換する。
- 特定のUDPポートだけ
-
37:Time
49:TACACS
53:DNS
67:BOOTPサーバ
68:BOOTPクライアント
69:TFTP
137:NetBIOSネーム
138:NetBIOSパケット
- ハイパーネット君の今日のポイント
-
- unnumberdはポイントツーポイントで接続されたルータで使用する。
- unnumberdにより、IPアドレスを節約できる。
- ヘルパーアドレスは、ルータを越えたブロードキャスト送信に使う。