#ネタバレ注意
#自画自賛恐縮です。
当サイトのページのどこかに、本作の原型となった、『ヴィツェプレミエールの回想』がある(なければ失礼)。
もともと、その小説を出版社に自費出版で持ち込んだ際に、下記のように言われた:
一冊に印刷しようとすると、広辞苑の分厚さを超える。現在の日本で、あれを超える書籍の印刷は無理。
それでは致し方ない、と私は調整した。「ヴィツェプレミエール」とは、「副宰相」の架空言語訳である。長ったらしい超大作も、「主人公そのものを除去してしまえば、お話は薄くなるんでね?」と考えたものである。
また、その小説を「なろう」に掲載した後、(現在では私の不注意により運営により削除されているが)「バトルものかと思った」という感想も寄せられた。
そうか、その世界でバトルものを作れば面白いかもしれないな
だが、まだまだ長くなりそうだったのである。そこで、私は「バトル」の大半を割愛し、「ヴィツェプレミエール」ではなく、各知的生命体を主人公(というか一人称)にする小説を構想したのである。
その際、実は、ティプトリーの『たった一つの冴えたやりかた』という短編小説集を参考にした。あの短編集では
話1→図書館司書→話2→図書館司書→……
といった構成になっている。
「間の司書いらなくね?」と考えた私は、「横向きに進んでいく『冴えた』」とは逆に、『星々〜』を下記のような「縦の構成」で執筆した:
話1
↓
話2
↓
↓
……司書(全体とりまとめ)
としたところ、出版社の企画からは「緻密な構成」とか感想を寄せられたものであるが。
実は、タイトルは、ベートーヴェンの第九の歌詞(つまりはシラーの歓喜頌歌)に依る。
タイトルの「彼」とは、造物主を示している。
が、全くの偶然のことながら、本書出版の約1か月後に、私の父が物故した。
ベートーヴェン第九の該当歌詞(「彼を星々のテントの上方に探せ」)の直前にかような文句を言う:
同胞たちよ、星々のテントの上方に愛しき父はきっと住み給う
もちろん、その文脈の「父」とは「造物主」(唯一無二の神)のことである。
が、出版時期と私と私の父に起こったことを考えると、未だに私の涙腺がゆるむのである。
また、未だに、(著者に献本された書籍の一部を)自身の鞄に忍ばせ、ときどき開いているのである。
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