Choral  Op38

僕は苦しかった……。
あの人に助けられたことによって、僕はあの人のものになった。
僕の意志はなく……。
妖怪でも人間でもない……
ただの人形……
心なく操られているだけ。
それぐらいなら死んだ方がマシだったのかもしれません。
あの人にとって僕は……いったい何なのでしょう。


あの人と何度も体を重ねた。
でもあの人の心は何も見えない。
何も感じられない……。
貴方は何を考えているのですか?


自由になれた時、僕は貴方の元を離れました。
もうこんな生活を続けたくなかったから……
だから此処を出ていきます。
その事に迷いはありませんでした。


僕は前に生き倒れていた自分を拾ってくれた男の所へ行きました。
全く新しい生活をする勇気は……なかったから。
此処での生活はとても安らげるものでした。
つらいこと……すべてを忘れられるような……。


でも……気づけばあの人のことを考えています。
いつも……
早く忘れてしまいたかったのに。
それなのに……
どうして……貴方の事を考えてしまうのでしょう。
あんな生活には戻りたくないのに……
あの頃の事を思い出します。
毎日……毎日……


僕は気づいていなかったのでしょう……
どんなにひどいことをされても……
どんなにつらい思いをしても……
本当は……あの人の事を……愛していたと……


心なんて無かったハズなのに……
心はあの場所に置いてきてしまったみたいです……

僕は貴方のことを愛しています……

貴方は……僕のことを愛してくれますか…?

 



OPシリーズ第三段、三蔵編です。
この話は”恩徳讃 Op30”の続きってカンジです。
前回もでしたが、今回も一切名前が出てきませんね……
だんだんポエム度がupしてる〜
次のOPシリーズは58でーす。
その次は……98?(そんなに書くんかい!)

この話は、名古屋→フランクフルトの飛行機の中で書かれています……

という当時のコメント…大学三年のヨーロッパ研修の時に書いたらしい。
なつかしい…


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