まあ、演奏家ってほどじゃないですが、 大学時代のオーケストラの友人(某木管楽器吹き)の話。
その友人Aはとある温泉に行ったのです。 で、まあ、風呂上りに「リラックスマシーン」を見つけたんですね。
その機械はいわゆるマッサージ機なんですが、 ちょうど頭があたるあたりからゆったりとしたクラシックが鳴り、 非常にリラックスできる、という最近よくあるやつです。
そしてAがそれに座り、コインを入れて始動。 一瞬の静寂の後、流れ始めた某曲。 静かに響く和音。 背筋に走る悪寒と嫌な予感。 流れ出す某管楽器(Aが吹く楽器ね)のソロ…
音が出る部分は頭が隠れるくらいのカバーになっていて中は薄暗く、 その中で一瞬のうちによみがえる、その某曲を演奏した苦い思い出。 練習の苦しみ、指揮者&緒先輩方からの叱咤激励、演奏会当日の大失敗などなど…
Aは「うわーっ!!」と叫び、飛び起きて、 そのリラックスマシーンを止めたとか止めないとか。
心に深い傷を持つ演奏者にとっては、 そんな心地よいはずの音楽ですら油断はできないようです。