【本郷界隈吟行レポート2】
【根津神社〜弥生町】※文中の写真はクリックで大きくなります。 バイクにて祭りの稽古へ駆けつける 踏 破 結界を跨ぐ光りの樟若葉 緑 山 緑陰の鳥居の列を来る女 万 州 賛美歌のバリトン強まる額の花 えみこ 母詠みし詩人の旧居薔薇の咲く 踏 破 そこかしこ青梅の家弥生坂 智 子 昼顔の咲くにまかせし弥生門 智 子 年ごとに緑陰広しキャンパスは 万 州 十薬や昭和二年築四号棟 緑 山 東大の苦慮する烏梅雨晴間 えみこ ひと待てり書を読む女の夏木立 智 子 青葉窓読書する子に昼灯し 牡 丹 木下闇構内の方位失へり 踏 破 緑陰や弓道部員ポニーティール 牡 丹 レンガ古りし史料編纂所梅雨晴間 緑 山 三四郎未だ彷徨う青葉闇 緑 山
薮下道へ戻り、とことこ歩くと普通の家の二階から祭り囃子の音。
根津神社氏子のお札があるから夏祭りの稽古かな?やがて日本医大付属病院の裏に出る。
古い病棟には蔦が絡まり、雰囲気はあるが、中はどうなってるのかな?
そこにも小さな坂があり、坂の名前が「解剖坂」。医大の傍だからといって凄い名前!
この坂を登りきると漱石が「我が輩は猫である」を書いた旧居があるが、本体はもう
明治村に行ってしまったのでパス。根津裏門坂を渡ると「根津神社北口門」
根津神社は「ヤマトタケル」創建。神話の人だからちょい胡散臭い。
が北口門から入ると大木が鬱蒼としていて「らしい」。神社との境界線には「賽の神碑」「庚申塚」。
道路の拡張で大分移動させられたらしい。その傍に「乙女稲荷」。神仏混淆の名残りである。
権現様に敬意を表し参拝。個人的には表参道のあっけらかんとした明るさより北口門の
鬱蒼とした重厚さが好みである。(そういう問題じゃない?)
神社の参拝を終えたら「精進払い」と相場は決まってる、というよりもうお昼。
「腹減った〜!」の声で昼食にしようとコースを外れて表通りへ向かうと、そこに可愛い教会。
「根津教会」である。礼拝堂は大正二年竣工というから半端な歴史ではない。
焼き鳥・釜飯「松好」でおいしい食事を楽しみ、気を入れ直して再び吟行開始。
かっての栄華が偲ばれる「上海楼」、階段の幅が途中で半分になる「お化け階段」を過ぎ、
見事なバラのパーゴラのサトーハチロー生家跡と吟行に相応しい文学の香り漂う町を抜ける。
言問通り(弥生坂)を渡って、「弥生式土器発掘ゆかりの地」を横目に「暗闇坂」へ。
ここで『根津神社〜弥生町』で詠まれた句を紹介しましょう。
【東大構内(三四郎池】
暗闇坂をだらだらと下ると左手に「立原道造記念館」「弥生美術館」、
「竹下夢二美術館」と続くアートっぽい町並みが続き、右手に「東大弥生門」。
震災後の昭和初期築の古い校舎が林立していて、通路の緑地帯には「ドクダミ」「昼顔」が咲き乱れている。
あの「安田講堂」を仰ぎながら回り込むと、青葉がむせ返るような樹々に囲まれて「三四郎池」。
構内にこんな大きな加賀藩の庭園を残したあたりはやはり「帝大」。
池の端のベンチに女子学生を含め多くの人が静かに本を開いている。
日曜のキャンパスとて静寂さも加わり、アカデミックな空気が漂う。
三四郎が初めて美禰子を見たのはどの辺りか?美禰子は築地山の上を通ってくるのだからと、
探してみるが、特定するまでには行かなかったのは残念!(知ってる人は教えてください)
土手を上ると、弓道場。純白の道着に黒い袴姿の女子大生の姿が凛々しい。
すべからく、モノトーン&シンプルな姿の方が美しいのでは?はセクハラか?
実は世話人、東大構内をこんなにゆっくり歩いたのは初めて。というか、赤門の守衛さんに道訊いたことがあるだけ。
そんな訳で、目についたものをカメラスケッチしたので見てください
先ずは昭和建築だからか、権威の象徴なのか「アーチ」から・・・・
そして、もう一つはマンホール、側溝に刻まれた「帝大」「東大」オリジナルの蓋。
ここで『東大構内』で詠まれた句を紹介しましょう。九句と多いが「三四郎」がいない!
ならば、と世話人の句帳から投句を控えた一句で「三四郎」に登場願おう。
【赤門〜本郷中央教会〜句会】
将軍家からの輿入れを迎えるために作られた門「赤門」を出ると
そこは三四郎がその喧噪に驚いた「本郷通り」。三丁目の交差点を左に曲がって100m?
日本基督教団/本郷中央教会がある。下の写真の左から二番目が往時の様子である。
今の建物は大震災後の昭和4年に再建されたもので、内部はプロテスタンらしく華美さは微塵もない。
礼拝室は今もホールとしても利用されており、、高い天窓からの午後の陽が荘厳な仄明るさを演出する。
穏やかな牧師さんの案内で明治〜大正〜昭和の故事来歴が昨日のことのように語られるのもこの場の空気。
謝して辞そうとした時、牧師さんが奏でるオルガンの音がまるで天上の調べのごとく教会に響く。
ここで三四郎の恋が終わったかと思うと、感慨いよよ深く、俗世を忘れさせてくれた至福の時であった。
そんな感傷に浸る暇もなく、現実は句会へと突入!喫茶「ルノワール」の一隅が本日の句会場。
「本郷中央教会」を詠んだ句を紹介します。
聖教会午後のオルガン梅雨晴間 智 子
温顔の守りし十字梅雨晴間 万 州
オルガンの音色響けり梅雨晴間 牡 丹
オルガンの音やわらかに桜桃忌 緑 山
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