危険性
ピルが重症な病気につながることもあります。まれにしか起こらないことですが,一番重症な問題は、心筋梗塞や脳梗塞、下肢静脈血栓症に代表される心血管障害です。35歳を過ぎて喫煙をしている女性で高率に起こるといわれています。このような方は,ピルをのまないでください。ピルをのむのをやめると危険性は減ります。
その他の、まれな問題もおこることがあります。高血圧や胆嚢疾患、特殊な肝臓ガンや肝臓の良性腫瘍などです。
以下のような、危険な兆候が出てきたら,ただちに主治医へ連絡をして下さい。
1・ 強い腹痛
2・ 急激ななんともいえない胸痛または息切れ
3・ 強い頭痛
4・ 目のかすみ二重に物が見える
5・ 片足だけに起こるむくみや強い痛み
6・ ろれつが回らない
7・ 体の片側だけの痛みや脱力感
ほとんどの研究では、ピルをのんでいる女性に乳がんや子宮頚癌が増えるといった結論は出ていません。ほとんどの女性にとって、ピルの効果はリスクを補ってあまりあるものだとかんがえられます。
重要事項
性感染症:ピルは,性感染症(STD)の予防にはなりません。性感染症には以下のような物があります
エイズ(HIV)・淋病・クラミジア・尖圭コンジローマ・梅毒・ヘルペス
コンドームを使うことで貴女や相手を性病から守ることができます。ピルとコンドームを併用することで妊娠も性感染症も予防することができます。
緊急避妊:避妊をしないで性交をした際には緊急避妊をという手があります。この方法では容量の多いピルを,避妊しない性交の72時間以内に内服します。高濃度のホルモンが子宮内膜を変化させ妊娠を妨げるのです。
避妊していない性交の72時間以内に内服を開始すれば、非常に高い確率で妊娠の可能性を減らすことができます。しかし、完全に避妊できるわけではありません。このような避妊が必要だと気づいたら、ただちに主治医に尋ねてみましょう。
ピルの迷信
多くの女性がピルについて聞いたり信じていたりすることは事実ではありません。正しい知識を知ってから、ピルを始めましょう。
迷信 事実
ピルをのむのは危険である 35歳以上で喫煙をする女性にとっては危険性があります。しかしほとんどの女性においては、ピルの効果は危険性を上回るといえます.
ピルをのむと体重が増える 多くの女性はピルをのんでいる間に体重が増えるどころか減る傾向にあります。
ピルは時々休みながらのんだほうが良い ピルをのむのに休薬期間を設けても何の意味もありません。ピルを休めば、望まない妊娠の可能性を増やすだけです。
ピルは癌の原因になる 多くの研究でピルは子宮頚癌や乳癌の可能性を増やすことはないといわれています。実際は、卵巣癌や子宮内膜癌(子宮体癌)を減らすといわれています。
ACOG(アメリカ産婦人科学会)パンフレットより