■ 下絵

■背景
ご要望がありましたので、背景の頁を追加いたしました。
(こちらの「背景」は原稿用紙にアナログで描いていくものです。)
背景って…はじめは一点透視とか消失点とかが なかなか理解できなくって、
「描けない」と思って「描かない」だけなんですよね。
けれど、人物と同じで 描いてみなければ いつまでも描けません。
とりあえず線を描いてみることからはじめてみましょう。


一点透視とか二点透視とかを説明される時に、↓こんな図をよくご覧になることが多いかと思います。

が!

背景の描き方が解らない者にとっては、「だからその説明が解らないんだよ!!」と、石を投げたくなる図ですよね。
実は、私も初めはそうでした。(^^ゞ
これは透視画法の種類をもっとも簡単に説明している図ですので、実際に「線を描く」時の参考としては
説明不足な図かと思います。 ただ、背景には一点透視だけではなく、二点透視、三点透視…と、
背景の角度、建物の構造によっては色々あって、それを簡略化した図としてご参考にされるといいと思います。
(*ちなみに、三点透視は 二点透視の図+上下どちらかに消失点があるものです。)

では具体的に、人物のみを描いた絵に背景を描いてみましょう。


←今回は こちらの人物のみの下絵に背景を描いていきます。






余談ですが。。。
私はいつもA4の紙に下絵を描いております。
それをペン入れした後、スキャンしてPhotoshopで色塗りをするわけ
ですが、作画の大部分はPhotoshopでの作業になりますので、
レイヤーを使うことを前提に下絵を描いてます。
(仕上げの時にそのほうが都合がいいため。)
なので、実際は[背景]レイヤーと[人物]レイヤーと別々に分けて
作業できるように、下絵の段階から [背景]と[人物] 2枚
(場合によっては3枚)の下絵を作ってます。

ここでは解りやすいように人物と背景を1枚の紙に描いているように
見えますが、実際は別々の紙に描いてます。
背景の描き方自体にはあまり関係のないことではありますが、
一応。。。
ではまず どこに何を描きたいのか、大まかな線を描いていきましょう。
このラフに描いた線をアタリと言います。


この段階では 透視画法のことは考えずに、描きたいものを自由に
配置していきます。
←こんなカンジ。
天井や床、人物の近くにあるものなどからアタリを入れていくと
絵全体のイメージが具体的に見えてくると思います。

まずは大まかに描くべし描くべし♪




アタリを入れたら、消失点がどこにあるのか探します。 …と、いっても、初めは迷うかと思いますので、
まずは、全体的な背景(この絵の場合は部屋)の消失点の位置を決めていきましょう。
↓の赤線ように、天井や梁、床の線など角度のついたアタリ線を延長させてみると、ある一点に向かっているのがわかると思います。
(延長線が原稿用紙からはみ出してしまう場合は、いらない紙などを原稿の裏から継ぎ足して線を描きます。)

この、延長線が交差した点が消失点(この場合は 部屋の消失点)です。
慣れないうちは 線を延長しても一点に集まらず、線と線の間が開いてしまうことがあると思います。
その場合は、絶対に変えたくない線(例えば天井と床の線など)を2本選び、その2本の線が交差したところを消失点にします。
これが一点透視です。
ちなみに、この消失点から真横に引いた線(水色の線)が視点の高さ(アイライン)です。

さて、これで部屋のパース(角度)は決まりました。
次は、几帳や枕、褥など器物の消失点を探します。 (奥にある厨子(書棚)は壁に面しているので、部屋の消失点と同じです。)
こうした器物や小物は、部屋の消失点と同じにすると 妙に整いすぎな部屋になってしまうので、生活感を出すために
わざと斜めに配置しました。 なので、消失点もそれぞれ違ってきます。
ただし これらの消失点は、視点の高さの線上のどこかにあります。 ↓こんなカンジ。

透視画法は一点透視がどういうものなのか理解できれば、二点透視・三点透視も描けるようになるかと。
理解ができても消失点をズバリと決められるようになるには、とにかく「何枚も描くこと」だと思います。
もしも描いた背景に違和感を感じる時は、消失点の位置が違うのかもしれません。
その時は消してまた描き直しましょう。
このような頁を作っておきながら何ですが、作画過程や透視画法の本を読むよりも、
描くこと、描き直すことの繰り返しからのほうが、得るものが沢山あると思います。




←こちらは上記の透視画法で 背景を下描きしペン入れをした
下絵です。 こんなカンジに描き上がりました。
さらに人物の手前に几帳と燈台を置きたかったので、別紙に
それを描きました。↓




←上記の2枚の下絵を重ねるとこんなイメージになります。


この後はPhotoshopでの色塗りになります。
別紙に描いた几帳と燈台は、人物にピントが合うように
作画最終段階で ぼかしたり透かしたりするので別レイヤーにして
塗っていきます。


ちなみに完成した絵は こちら (別窓)