仮面について
Sur Les Masques
仮面について
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を議論しながらも、我々は、一つの仮面とはまずそれが表わしているものではなく、それが変形するもの、つまり、表わさないことを選んだものである、ということを示すことができればと考えたのである。神話と同じく、仮面もまた、肯定するのと同じに否定するのである。仮面は、それが語り、あるいは語っていると信じているものによってのみ成立しているのではなく、それが排除しているものによっても成立しているのである。/そのことは、すべての芸術作品にも共通に言えることではなかろうか。アメリカ原住民の仮面の種類をいくつか反省の対象にすることによって、我々は、様式の問題という、遥かに広い問題を提出したいと思ったのだ。…(略)…一つ一つの様式の独自性は、こういうわけで、他からの借用を排除はしない。それはむしろ、意識的であれ無意識的であれ、自分自身を他と異なるものとして主張したいという欲求、すべての可能性のなかで、近隣の部族の芸術がこれまでに拒否したある種の可能性を選ぼうという欲求によって説明される。〉 クワキウトル族のクウェクウェ仮面は、名前と造形が証明するように隣接するサリシュ系のスワイフウェ仮面の模倣である。この両部族の社会は交流と対立の両義的な関係にあった。だから、と言っていいと思うが、クワキウトル族はもう一つゾノクワという盲目的な仮面を持っていた。この仮面はスワイフウェ仮面と比較すれば、それに反対するという存在理由のため製作されたようなフォルムと色彩だが、同時に、鋳型と鋳物のように整然とした相互補完的な関係にある、とレヴィ-ストロースは考え、それぞれの仮面の起源神話と宗教的社会的機能の記述から、公式を導き出す。 〈一つの集団から他の集団へと、造型的な形が保有されるときには、意味上の機能は逆転する〔1〕。反対に、意味上の機能が保有されるときには、造型的な形の方が逆転する。〉つまり、クウェクウェ仮面はスワイフウェ仮面の肯定的な表現だが、その神話では原型と反対に吝嗇な性質として語られ、スワイフウェ仮面の否定であるゾノクワ仮面は、その神話の中では原型と同じように人間を銅などの産物で富裕にする存在であるということだ。 ゾノクワ仮面 スワイフウェ仮面分布地域 1 神話・伝説で語られる意味内容(メッセージ)
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