<シリア・アラブ共和国について>
中東に位置する人口1500万人ほどの国で、1948年にフランスの委任統治領
より独立。1970年に故ハーフェズ・アサド前大統領が政権を握り、30年以上に
わたって社会主義国家を維持。2000年に彼が亡くなり、次男のバッシャール大
統領が政権に就いて今に至る。国家予算の多くを軍事費にまわす軍事国家で、
隣国イスラエルとはゴラン高原をはさんで緊張状態である。アメリカもテロ支援国
家に指定しており、加えてイラクの西隣に位置することもあって危険なイメージが
付きまとうが、国内の治安は保たれており、凶悪犯罪の発生率は低い。
人種はアラブ人がほとんどだが、故郷を追われたパレスチナ人、クルド人、ア
ルメニア人も数多く受け入れている。イスラム教徒が人口の9割を占めるが、国
教が指定されておらず、キリスト教徒やユダヤ教徒も共存している。
首都ダマスカスは旧約聖書に「世界最古の都市」と記されるほか、イスラム教
第4番目の聖地ウマイヤドモスクがそびえるなど、歴史的、宗教的に重要な都市
である。第二の都市アレッポはオリーブ石鹸で有名。この二都市にパルミラやボ
スラなど四つの世界遺産があり、またローマ時代や十字軍の遺跡も数多く残るな
ど、観光地としても注目されている。