<各演奏会の報告>
12月11日ダマスカス(青年同盟音楽学校)
ピアノ公開レッスン
当音楽学校はシリア青少年の文化的教養を高めるためにシリア政権政党
バース党によって設立された音楽学校であり、約500名の生徒が登録し、ピ
アノ、バイオリン、ギター、キーボード、民族楽器(ウード、ドルバッキーなど)を
学んでいる。10年近くにわたり青年海外協力隊の派遣などの援助が続けら
れてきたが、現在は現地講師のみで運営されている。
本校の生徒の多くは初・中級者である。シリアでは多くの小学校にて音楽
の初等教育を受ける機会が無く、系統的なメソッドが確立されていない。そ
のため音楽学校は初等教育の場としても重要な役割を担っているが、音楽
の高等教育を受けた講師が限られており、質の高い指導を常に供給できる
体制には無い。
青年海外協力隊員の派遣が中断されている現状で、外国の質の高い指
導者によるレッスンは生徒だけではなく現地人講師のレベルアップも期待さ
れる。シリア音楽教育全体の質の向上のため精力的な活動を続ける同音楽
学校校長の強い希望もあり、今回のレッスンが実現した。
概してシリアの生徒は音楽に打ち込む姿勢が熱く、この点では彼らが成
長する可能性を大いに秘めているが、その反面、一定のテンポで演奏する
ことが苦手のようである。
これは演奏の度にテンポが変わるアラブ音楽の影響が強いと考えるが、
論理的なメソッドに基づいた指導は彼らに異なる視点からのアプローチを
してもらうのに常に効果的であった。
日本から贈られた楽譜やCDと共に、指導に触発された生徒が、この経験
をきっかけに演奏家や指導者を目指すようになればと願ってやまない。
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