7.トルマリンプレート (1/1ページ)

 職場の後輩が「トルマリンでエンジンが調子よくなるんですよ」と言って、トルマリンチューン(!?)を誘ってきました。トルマリンといえば、とにかく不思議なパワーがあって、身につけているだけでギャンブルに連勝し、女の子にはモテモテ、と男性誌の裏表紙には書かれています。インターネットで調べてみると、「マイナスイオンは空気のビタミン」といったちょっとシュールな比喩表現や、「トルマリンを水道水に入れたら、みごと名水に変化!」といった検証不能(名水って何?)な実例が並んでいます。それを信じて「空気のビタミンをエンジンに吸わせたら、きっとパワー出るかも」と考えるほど、私はお人好しではないのですが、せっかく勧めてくれた後輩の手前、やりもしないでいきなり全否定するのも何なので、ちょっと調べてみました。

 健康に良いとか、ガンが治るとかいう話はこの際おいといて、エンジンに関係ありそうなところだけ抜粋しますと、「専門的に説明しますと(どこがじゃ?)、トルマリンのマイナス電極に蓄えられた電子は、水に触れると瞬間的に放電され、水素イオンと水酸イオンに電気分解されます。水素イオンはすぐさま、トルマリンが放出したマイナスの電子と結びついて中和され、ただの水素原子となって放出されます。また、水酸イオンは水分子と結合して、「ヒドロキシルイオン」と呼ばれる界面活性様効果を持った物質を発生させ続けます。これがマイナスイオンです。」ってな感じです。

 空気中の水分が(もし本当に)水素と水酸イオンに分解されるのであれば、こりゃエンジンにもイイんじゃないの、っという感じは確かにします。でも、水を電気分解するほどのエネルギは一体どこから来るんでしょう?それこそがトルマリンパワーだ!なんていう男性誌の裏表紙のような説明を信じるわけにもいかないのですが、なんでも、宇宙から降ってくる宇宙線をエネルギ原にしてるとかしてないとか...。私程度の脳味噌ではそのような「専門的な説明」には着いていけず、やれって言うんなら、やったろうじゃんか、と半ばヤケのヤンパチで、取りかかりました。

    

 っで、買ってきたのがコレ。ダイソー100円ショップで売ってます(1個100円です、高っ!)。紙製の包装を開けると、ただのプラスチックのプレートに、怪しげな南の島のシールが貼ってあります。このプラスチック(ポリエチレンだか、塩ビだか?)の中に、粉末状に砕いたトルマリンが含有されているらしいです。プラスチックが何事もなく成形されていることから考えて、トルマリンの含有率はどう高くても30%、おそらく本当は5%くらいじゃないかと思われます(うっすら向こうが透けてるし)。もちろん、商品説明には含有率の「ガ」の字も書かれていませんけど。・・・ともあれ、南の島のシールはこのお札の効果には関係なさそうなので、剥がしてしまいました(いくら何でも、南の島を車に着けたくなかったので)。

    

 購入したトルマリンのプレートは7枚。もし、効果があるとしても1枚じゃ何だか分からないだろうと思い、一応エアクリーナーボックスの内壁に貼り巡らせるくらいの量を買いました(お付き合いにしては上出来です)。これを短冊状に切って、エアクリーナーボックスのアッパーシェルの内壁に貼っていきます。ロアシェルではなくアッパーシェルに貼ったのは、少しでもエンジンに近い方が効果が出やすいだろうと思ったからです(一応、真面目に考えてます)。貼り付けは発泡フォーム基材の塩ビ用両面テープを使いました。

    

 天面はさすがに剥がれ落ちてくるのが目に見えているので、写真のような感じで、側面を覆うように貼り付けて、エアクリーナーボックスを元通りに閉めれば完了です。「これでパワーアップしたら苦労しないよね」と思いながら早速試乗してみると、「むむっ?エンジンの回転が何だか滑らかになってないかい?」、そっ、そんなバカな!非常に微妙ではありますが、でもちょっとだけ滑らかになってる気がします。

 し・か・し、どこかをイジルと自己暗示効果で変化が出たように錯覚するのは良くあること、きっとそれだろうということで納得してみました。でも、それだけではこのHP的には不十分で、読者の皆様も納得いかないだろうということで、検証してみることにしました。つまり、いま貼ったトルマリンを全部剥がしてみて、逆の変化があれば効果があったということ、剥がして変化がなければ貼った効果もなかったということです。

 っで、さっき貼ったばかりのトルマリンを全部きれいに剥がして、もう一度試乗してみると、「ん?エンジンの回転が何だかガサついてる?」、ってことは効果があったてこと??いや、そんなはずはないです。トルマリンの原石ならいざ知らず、この怪しげなお札が効くわけないぢゃないですか。いろいろ考えた結果、エアクリーナーボックスの内側にお札をたくさん貼ったので、エアクリーナーボックスの音響特性が変化して(デッドニングされて)、ガサガサしたエンジンの吸気音が減少したのかも?という考察に至りました。

    

 考察しただけで終わってしまっては、このHPの沽券にも関わります(ってほど大げさなもんじゃないですけど)。まあ、ちょっと確かめてみましょって感じで「防音・防振テープ」とかいう鉛のテープを買ってきて、トルマリンの代わりに貼ってみました。トルマリンが環境に良いというなら、鉛は環境汚染物質の代表です。トルマリンチューンならぬナマリンチューンだ!とばかりにヘソ曲がり全開で、写真のようにアッパーシェルの内側に鉛テープを貼ってみました。

 っで、試乗してみると、何も貼っていないのと全く同じ、変化なし。ってことはナマリンチューンは失敗です。じゃあ、さっきのトルマリンは本当に効いてたのかって?そりゃもちろん分からずじまいです、すいません。一人で、こんなアホらしい実験をやっているのもむなしくなってきて、結局みんな剥がしてノーマルの状態に戻して終了です。よ〜く胸に手を当てて考えないと分からないくらいの、「エンジンの回転がちょっと滑らかになったかなあ?、どうかなあ?」というような効果が仮に本当にあったとしても、別にちっとも嬉しくも何ともないので、こんなもんが剥がれて吸気口に詰まらないうちに、とっとと元に戻して、ハイ、おしまい。

 トルマリンの良さってのは、やっぱり不思議なところですかね(不思議好きの方は、おひとつどーぞ)。どーせ不思議パワーなら、私はエンジンの調子がよくなるより、ギャンブル連勝、女の子にモテモテの方が良いですね。どっちにしても、そーゆー不思議関係はあまり得意でないので、今回は遠慮することにしましたとさ、ちゃんちゃん。

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