マフラーを外してから、マフラーカッターのフィッティングをもう少し精密に合わせました。仮合わせの時点では、現物合わせではなくて内径80mmに加工していましたが、COXのテールパイプは手作りの仕上げをしているため多少の歪みがあって、マフラーカッター側が真円では完全にフィットしません。なので、はめてみてスキマを確認しながら、手曲げで微妙な歪みに合わせました。理由は、スキマが大きいと溶接工程で上手くくっつかないからです。また、この時点でくっつける位置をテールパイプ側にケガキました。
あとは、外したついでに焼け色を落として、綺麗にクリーニングをしておきました。ステンレスマフラーの焼け取りには、通常はピカールなどの金属磨き(研磨剤)を使うと思いますが、それだけだとなかなか綺麗にならず、苦労します。写真はヨシムラのステンマジックという商品です。ずっと以前にヨシムラサイクロンマフラー(!)を買った際に付属されてきたものですが、それ単体でも売っているようです。これは還元剤が入っていて実に強烈、本当にあっという間に焼け色が落とせます。あとは、ピカールなどで軽く仕上げ磨きをすれば完璧です。
フィッティングが出たら、いよいよ溶接です。溶接は仕事関係の板金工場に持ち込んで、やってもらいました。板金といっても自動車板金ではなくて汎用板金というジャンルで、普段は電子機器装置のキャビネットとかを作っています。コネを使ってしまって、すみません。このHPは「どなたでもやろうと思えば真似ができるようなネタを提供したい」という理念なのですが(そうだったの?)、今回はそれから完全に外れてしまっています。でも、ワンオフマフラー専門店にお願いするのは負担が大きすぎるので、背に腹は代えられません(!?)。左のおじさん(失礼)は、製造部の部長さんで、専門学校で溶接の講師とかもやってる方です。
電気溶接(スポットやプロジェクションは除く)には大ざっぱに言って2つのやり方があります。ひとつはTIGといって、溶接機の先から電気のスパークと酸化防止の不活性ガスだけが出るやり方で、主に母材そのものを溶かしてくっつけます(ワイヤーを別に供給することもありますが)。比較的低温で溶接するのでスパッタ(飛び散り)も少なく、溶接跡も綺麗に仕上がります。もう一つはMIGといって、溶接棒(ワイヤー)の先端からスパークさせて、その棒(ワイヤー)を溶かして肉を盛りながらくっつけるやり方です。この方が強度は出ますが、熱量が大きいために歪みも出やすく、盛った肉でモコモコとした形状に仕上がります。
はじめ、綺麗に仕上がるTIGの方でやって頂くようリクエストしたのですが「板厚が違いすぎてたぶん無理だな」とのこと。マフラーカッターが0.5mm、テールパイプが1.5mmで3倍も違う上に、カッター側は板端でテールパイプ側は面部分なので、熱の逃げ方に6倍の差がある計算です。これだと、カッター側ばかりが先に溶けて玉(ダマ)になってしまい、テールパイプ側がなかなか溶けないので、はじいてしまいます。上の写真は、その難しい状況にチャレンジして頂いているところですが、やっぱりダメなものはダメ。うまくくっつきません。
結局、方針を変更して、MIG溶接で行くことにしました。それでも、0.5mmの板厚の端部を1.5mmの面部にくっつけるのは容易ではない様子。溶接棒(ワイヤー)に0.4mm径という極細のものを使って、スペシャルテクニックでくっつけていきます。「普通の板金屋にはこんな細いワイヤー置いてないよ、特別だよ」とのことです。くっつけるだけなら、4点くらいのチョン付けでも十分なのですが、これまた贅沢を言って、全周溶接をしていただきました。右写真は溶接が完了したところです。やはりモコモコになってしまっているので、これを仕上げて頂くことに...。贅沢言い放題で、すいません。
溶接肉を削って仕上げるには、余った肉だけを削って、接合に必要な肉や母材そのものを削らないようにする必要があり、今回のような薄板の場合は独特の技術を要します。とくにディスクサンダーを使う場合は効率が良い代わりに一瞬のミスで削りすぎてしまうので、スペシャルテクニックを要します(私にはとてもできません)。なので、部長さん自らサンダーを持って、やってくれました。荒削りをしたのが中写真で、それから右写真のように磨きまで入れてくれました。全部で1時間半くらい掛かってしまい、お仕事中にすみませんでした、ありがとうございました。
持ち帰って、耐水ペーパーと研磨剤で仕上げ磨きをしたのがこの写真です。もはや市販のマフラーカッターには見えないと思いませんか?!まるで始めからこうなっていたかのような納まりで、テールパイプの一部のようです(大満足!!)。元のテールパイプが細い場合は、カッター部分で急激に太くするとわざとらしく見えるのですが、COXのテールパイプは80mm径なので、80から90にチョットだけ太くなるところの微妙な段差感がカッコイイ気がして、自分では結構気に入っています。
ただ、カッター部分の板厚が薄いことだけはどうしようもなく、COXのテールパイプなら多少車止めに擦ってもキズがつくだけで済むところ、このマフラーカッターだとベッコリ凹むか、悪くするとクシャっとひしゃげることになります。まあ、安く済ませたんだから仕方ないです。あとになってから調べたら、リーズナブルな価格でこのような加工をしてくれるところもあるようで(例えばここ)、もしぶつけてひしゃげた場合は、今度はそのあたりにお願いしようと思います。
あとは、取り外しの逆の手順で車両に取り付けました。リアスカートの逃げは十分にカットアウトしておいたので、少しくらい外径が太くなっても問題はありません。テールパイプの中を覗くと、三重管のようになっていますが、大きな違和感はありません。装着後に走ってもみましたが、マフラーの性能には体感できるような差はなく(あたりまえか)、音量も以前と同じです。音色だけは、ほんの若干マイルドになった気もしますが、気のせいかもしれないという程度の微差でした。車全体のリア回りの写真がないのですが、あとで撮影しましたらアップする予定です。
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