2.GPSアンテナ、FMVICS (2/2ページ)

 で、そのルーフアンテナですが、私の場合、納車時にCOXのヘリカルショートアンテナに交換してしまいました。横浜周辺は立体駐車場が多く、これが必須と思われたからです。なので、標準アンテナの感度がどうなのか知らないのですが(ショートアンテナと大差ないという噂も)、ともかくショートアンテナをつけた状態でのFMラジオの受信感度は、褒められたものではありません。ちょっとビルの陰にいくとジージー、ザーザーで、横浜市内を走っていてもFM横浜が綺麗に受信できない始末。個体差があるのかも知れませんが、ラジオを聴こうという気が失せるくらいの低感度でした。で、ブースター機能付きのFMアンテナ分配機を使えば、ラジオの感度も一緒に改善されるだろうと読んだわけです。

 ところが調べてみると、そう簡単にはいかない模様。ゴルフのチョンマゲ基部にはもともとブースターが内蔵されてるではありませんか(とてもブースター付きとは思えない低感度なのに)。しかも、そのブースターへの給電に、アンテナ線自身を使っているという荒っぽい仕様です。はじめアンテナ線のリング側(同軸の外部導体)をGNDから浮かして給電してるのかと思ったら、チップ側(同軸の中心導体)にモロに12Vを掛けてる様子。ちょっとビックリしましたが、輸入車ではわりと多いみたいです。そうすると、2つの問題があるわけです。まず、分配器(SONY XA−48FM)のチップ側に12Vが掛かって大丈夫かという点。分配器が壊れるか、最悪は燃えたりする心配もあります。もう一つは、2段のブースターがシリーズ(直列)接続になって問題ないかという点。分配器やチューナーがそれぞれ期待している入力よりも実際の入力レベルが高すぎて、音が極端に歪んだり、VICSの受信に支障がでる可能性もあるわけです。

    

 で、SONYのお客様相談室にメールを打って尋ねてみました。「ヘッドユニットも分配機も両方ともSONY製なんだから、つないで大丈夫かどうか教えてちょ」と、ねじ込んだのですが、結果はつれないお返事。「そのような使い方は想定していないので保証できません」とのこと。まあ、メーカとしては変な責任を負いたくので「大丈夫です」とは口が裂けても言えないのかも知れません。でも、ご親切に「チップ側の回路に直列に入る主な素子はマイクロインダクタで、それが壊れるかもしれない」という情報を頂きました。マイクロインダクタとは小さいコイルで、ここを流れる電流(電圧ではなくて電流)が多すぎると、発熱しちゃうわけです。でも、流れる電流はアンテナ基部のブースターを駆動するだけで、しかも12Vと電圧が高いぶん電流は少ないので、インダクタくらいなら大丈夫だろうと読んで、一か八かXA−48FMをつないでみました。

 結果は問題なし。XA−48FMのケースを開いて内部の電圧降下をテスタで当たると、12Vに対して高々2%程度。つまり、アンテナ基部のブースターで消費される電力の約100分の2がXA−48FM内でロスって、それが熱になってるわけです。そもそもブースターの消費電力なんて屁みたいなものだから、この程度ならまず問題ないだろうと。電流値を直接見るには回路をどこかで切らないと当たれないので、面倒くさいからこれで良しとしました。

 分配ブースターはパイオニアとSONYで出してるようで、お店では前者の方をよく見かけますが、SONYの方が小さいし一応ここに実績があるので、やるんだったらSONYの方が良いでしょう。と言っても、私は回路をちゃんと検証したわけでもないし、もちろん何の保証もしませんけど。まあ、実績としては2年間問題なく動いています(SONY製品にしては上出来!?)。ちなみに、ヘッドユニット側のアンテナ入力は欧州車規格のコネクタなので、XA−48FMをつなぐには変換/逆変換のアダプタ(SONYで出している)を使うか、アンテナ線の首を切ってコネクタを付け替える必要があります。

 一応、電源の掛かり方も調べたので、何かのご参考に書いておきます。アンテナ基部のブースターへの給電は、カーステがONになっている状態で12Vが掛かります。キーが抜けていても、あるいはMDやCDチャンジャを再生中でも、とにかくカーステがONでさえあれば給電しています。逆にエンジンがかかっていてもカーステがOFFなら給電されません。一方、XA−48FMの電源はACCから取りましたが、こちらの動作はちょっと複雑です。イグニッションをONにすると給電開始、その後イグニッションをOFFにしても給電し続けます。で、キーを抜くと給電ストップ。つまり、国産車で言うところのACCのポジションは、ゴルフの場合キーを一旦ONにひねってからOFFの位置に戻した状態がそれに相当するわけです。

 カーナビはACC電源から取っているので、カーナビがONの時はXA−48FMが連動してONになります。実際に試すと、アンテナ基部のブースター(つまりカーステ)がONでもOFFでも、XA−48FMが入っているのでVICSの受信はバッチリです。 また、FMラジオがONの時は、アンテナ基部のブースターは連動して常時ONです。その状態で、XA−48FM側をON/OFFして聞き比べると、感度の差は歴然。ブーストありでは、横浜にいて千葉の方の放送局までバッチリ入ります。また、レベルオーバーでダイナミックレンジが潰れるような感じもないです。厳密には多段ブーストによる音質劣化があるはずですが、感度不足でザーザー言ってるよりはずっとマシ。放送局に横付けして聞くならいざ知らず、実際の殆どのシチュエーションでは、後付ブーストがあった方が全然クリアな音質です。なお、AMラジオについては、殆ど聞くことがないので気にしていませんが、試してみたらとりあえず問題なく受信できるようです。

 おまけです。COXのヘリカルショートアンテナは、こんな感じで、とっても柔らかいです。つけてる方には当たり前すぎてネタにもなんにもならないですが、つけてない人には意外と新鮮かもしれないと思って、写真載せてみました。だから何?って聞かれると困るんですが...。

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