患者さん紹介
今年1月に中古で購入したバスボートのエレクトリックモーター(モーターガイド ブルート762V無段階変速)が故障したので、なんとかしてやろうの巻です。
症状
1.2時間使用すると低速でプロペラが回転しなくなり、モーターヘッドのリレーからカチカチ音がする。
各配線の点検をしたところ、焼損や緩みは無かった。
モーターヘッドに付いている無段階変速用の基盤にも焼損などはなかった。

モーターガイドブルート762V 5段変速化プロジェクト概要
色々と情報を集めたところ、モーター内部のデュラアンプモジュールの不良であることが解かった。
この部品は発熱量が多く、リヤモーターハウジング内に放熱グリスを塗った上でボルト止めされており、交換するためにはモーターの分解が必要となる。
しかも、部品代が¥10,000以上もする上に、基盤(¥24,000)もよく故障するらしく、貧乏なワタシには今後頻繁に故障されては維持が出来ないので、思い切って5段変速にダウングレードすることで故障の頻度を下げる決意をしました。
MOTORGUIDE BRUTE762V
5段変速化プロジェクト
早速、ペダルの内部の配線をワタシがアルミボートで使用しているモーターガイドF36と配線図を参考に引きなおしていきます。
ロータリースイッチは5段変速用に付け替えてあります。
バラしたついでにマイクロスイッチも。
トグルスイッチと変速ダイヤルはそのまま再使用です。
バッテリーからの+と−の配線は8SQの太いものに引きなおしました。
パーツリストを調べたところ、ほとんどのパーツは兼用できます。
また、一部の部品を除き12/24/36Vで共通部品を使用していることがわかりました。
配線の接続にはこのような特殊なファストン(平形)端子を使用しています。
秋葉原のパーツ屋さんでもなかなか手に入らない代物で受注生産扱いだそうです。
結局、ポ○イで購入しました。

白い円盤がブラシです。
モーター本体は無段階と5段変速でリヤハウジングが違うので、リヤハウジングをASSY交換します。
ブラシの見た目は同じですが、配線の接続方法が違うので、この際新品に交換した方が話が早いと思い、思い切って交換しました。
また、5段変速はハウジング内週にニクロム線のコイルが巻かれています。
コイルの単品供給が無いので仕方なく交換することに・・・(悲)
ブラシの裏に問題のデュラアンプモジュールが隠れています。
これがブラシの裏に隠れているデュラアンプモジュールです。ここでスピードコントロールしてるようです。
もともとロータリースイッチに接続されている配線は細いものなので大電流は流れないはず。
ロータリースイッチから送られる直流の弱電流を交流(周波数)に変換して変動させることでブラシに流れる電流をコントロールする仕組みと思われる。
従って、5段変速ではユーザーがペダルのマイクロスイッチを踏んでいる間、直流電流がモーターに流れるがON/OFF時に瞬間的に大電流が流れる為にバッテリーの消耗が早いのではかなろうか?
無段階変速は交流電流でコントロールされ、スイッチング時の電気の消耗が少ない反面、基盤やこのモジュールにしわ寄せが行くのかな?
あくまでも素人の浅知恵なので突っ込まないでください。
こちらがブルート767(V無し)12/24V切り替え10段変速のリヤハウジングASSY
本来はトグルスイッチで12Vと24Vを切り替えることで10段変速となる仕組みですがバッテリーにつながる配線も交換しないとならないので止めました。
部品供給段階ですでにブラシが組み付けてあります。
ブラシのみの供給はありますが、ハウジングASSYとなると勝手にブラシが付いてきます。(笑)
ハウジングの内週に銅色のコイルが貼り付けてあります。このコイルが無いために高いハウジングを買う羽目になりました。
こちらが無段階変速のリヤハウジングの外見です。
ハウジングをつなぐためのボルト穴のほかにデュラアンプモジュールを固定するためのボルト穴があります。
このボルトでモジュールを冷却しているのかな?
モジュール接触面に放熱用のシリコングリスを塗ってからボルトで固定されています。
シリコングリスはPCのCPU冷却用のヤツでOKみたいです。
こちらが10段変速用のハウジングです。
わかりずらいですが、モジュール固定用のボルト穴は開いていません。
と、いうことはハウジングは共用という事ですな。
中央の穴にモーターのアーマチャーコアが通るわけですが、オイルシールが入っています。このオイルシールが劣化するとモーター内に浸水するわけです。
この上に白いモノフィラメントシールを組み込んでおきます。
これはトップハウジングの内側です。
中央に銅色のリングみたいな物が見えますが、アーマチャーコアを支えるベアリングブッシュです。意外なことにボールベアリングを使用していません。
組み立てる際にはグリスを塗ってから組み立てます。
エレキから異音を発している場合は、まずここを疑うべきでしょう。
もちろんリヤハウジングにもブッシュがあるので要注意です。
トップ・センター・リヤのハウジングはこのようなOリングでシールしています。
とても細く、エレキの格納時や使用中にボトムにヒットさせると、このOリングが切れて浸水する場合もあります。
なんといっても重たいモーターを細いボルト2本で支えているのが不思議なくらいです。
組み立てたあとはハウジングの合わせ目にビニールテープを巻いておくのもいいかもしれません。
モーターの組み付けはF36のオーバーホールを参照してください。
続いてモーターヘッド部分の作業に入ります。
画像中央に偉そうに鎮座しているのが基盤です。この基盤には防水コーティングがしてなかったので、いつ壊れても不思議ではありません。
現在のツアーエディションや供給される部品単体は防水コーティングが施されています。もちろん、今後は必要ないので取っ払いました。
ラックケースを取り外し、ピニオンギヤを取り外してからブラシの配線を導くのが良いでしょう。
これがピニオンギヤです。
下に穴が開いていますが、ここに六角止めネジ(イモネジ)をねじ込んで、ピニオンギヤをシャフトに固定しています。
ペダルを前後に踏んでもエレキの向きが変わらないときはこのイモネジが緩んでピニオンギヤだけが回転している場合が多いです。
このイモネジを締め付けるにはインチサイズの六角棒レンチが必要となります。また、イモネジのねじ山はインチピッチなので無くさないように気をつけましょう。締付後にセロテープで穴をふさぐのも手です。
ツアーエディションではイモネジを使用せず、ピニオンギヤの側面からリベットでシャフトに固定しています。
ピニオンギヤを外したところです。
ボールベアリングが見えます。また、シャフトにネジが切ってあります。
ピニオンギヤを締め込みすぎるとボールベアリングが破損するので注意してください。プライヤーで軽く締める程度でOKです。
ペダルを踏んでキーキー音がする場合はこのベアリングの油切れか破損の恐れがあります。よく注油してください。
元通りにラックケースを組み付けます。
この際にラックとケース内に充分にグリスを塗っておきます。
ペダルが重くなっている場合はラックの注油で改善される場合が多いです。
ペダルからの配線とブラシの配線を圧着端子で結合して作業完了となります。
配線がラックやピニオンギヤに干渉しないように取りまわしてください。
今回使用したパーツ
HF150−01 ロータリースイッチ ¥2,000
AP151−01 マイクロスイッチ ¥2,800
品番ど忘れ マイクロスイッチブーツ ¥200
BR161−03 ファストン端子(2個組)×3 ¥200×3
品番不明 ブルート767用リヤハウジング ¥14,800
品番ど忘れ モノフィラメントシール ¥300
MR222−01 ハウジング固定ボルト用シール×2 ¥150×2
MR217−01 ハウジングOリング×2 ¥300×2
8SQ配線 10メートル ¥1,000
総 合 計 ¥22,600
以下は必要になるかもしれない部品
FM005−01 ピニオンギヤボールベアリング ¥800
FM305−01 コラムシャフトベアリングKIT 買ってないので不明
FP153−03 トグルスイッチ ¥2,000