プーリーボスのWPC加工


< 能書き >
プーリー、ウェイトローラー、フェイスと、チューニングメニューが豊富なプライマリ側。

ボスも、アドレス110以外の車体には、社外品のボス等が用意されており、
チューニングメニューの一つになっています。

ボスはエンジンや、プーリーから発生するベルトの摩擦熱による
高温下での仕事を余儀なくされていますが、
最大の摩擦熱は走行中、常にスライドするプーリーの摩擦による
影響がとりわけ大きい様です。

摩擦は熱を発生し、熱は金属を膨張させます。

冷感時には、スムースに動く、ボスとプーリーですが、
摩擦熱により、互いが膨張するとどうなるか?

考えただけでも一目瞭然です。


< 目 的 >

プーリーのスライドによる摩擦熱発生の原因を低減し、
走行中の熱膨張による駆動系の変速不具合を解消します。


< チョイス >

      <   チョイス   >

今回、私がチョイスしたのはコレ。

純正の新品のプーリーボスにWPC加工を施した物です。

*WPC・・・
コチラを参照
↓↓↓
WPCグリスレスプーリー


< 内 容 >

      <   観察 1   >

さてコチラは、加工前のプーリーボス。

向かって手前は、5000kmほど使い込んだ物、
奥は1000kmと言った所です。

手前のボスはかなり変色していますね・・。
熱により「焼き」が入った状態にでもなっているのでしょうか・・?

アドに限った事では無い(アドでは良く聞きます)のですが
センスプが熱ダレでヘタル・・・等とか、
走行中熱ダレでスロットルオフ時のキックダウンが
鈍くなる変速が不安定になるお話を耳にします。

ウチのアドレスも例外ではなく、
通勤時などにストップ&ゴーや
すり抜けによる加減速を20分も激しく繰り返すと
もうダレダレになってしまいます。

センスプも金属ですので、温度が上がると
ある程度は柔らかくなるのですが、
本当に、バネレートが下がるだけでダメダメ
になってしまうのでしょうか?

ある朝の通勤中、何時もの様に激しく通勤バトルを楽しんでいると
「ブチッ!」とベルト切れに遭遇しました。

通勤中と言う事もあり、慌てて歩道にピットインして
駆動系をご開帳、ベルトを交換する際に、
ベルトカスを掃除するため、プーリーを外そうとして
ボスを抜こうとした際に、異変に気が付きました。

ボスとプーリーがくっついた状態で外れたのです。
厳密にはくっついた訳ではなく、
ボスとプーリーが熱膨張により、クリアランスが無くなり、
動きが渋くなっていたというカラクリですが・・・。


      <   実験 1   >

後日、早速実験という事で、ガスコンロで1〜2分程ボスを
熱して、プーリーに突っ込んで見ました。



結果はトラブル時と同じ、ボスを熱しただけでも、
動きは渋くなりました。

昔、このボスの動きを良くしようと、薄くグリス等を塗布した時期も
有りましたが、熱でグリスがカーボン化。

余計に症状が悪化するので、何か良い対策は無い物か?
と、探求の日々が続いていました。


      <   対策 1   >

出てきた答えは、プーリーのウェイトローラー転動面や、
ピストンにも処理を施して、実績確認済みのWPC加工。

ボスその物のフリクションを低減して
走行中の摩擦熱の発生の原因を根本から抑えて、
熱膨張を軽減しようというのが狙いです。


      <   結果 1   >

早速、新品を注文。
加工に出して戻ってボスをプーリーに入れてみます。

冷感時ではあるものの、ボスを持ってプーリーを回すだけでも
その低摩擦ぶりが体感できました。

これは期待できそうです。



< 注意事項 >

・ベルトを駆動させる部部ですので、油脂は滑りの原因となり天敵です。
プーリー表面への油脂の付着はご注意下さい。

・走行時、常に回転している重要部品です。
作業は細心の注意を払い、作業漏れ等ないようにご注意下さい。

・走行直後の駆動系は非常に高温です。
 止むを得ず作業を行う場合は、火傷にくれぐれも気を付けて、
 皮製の手袋を装着して作業を実施して下さい。


< 使用する材料 >

・品名:スペーサ、ムーバブルドライブ
 品番:21125-11F00         ・・・・ およそ800円くらい(失念)

・WPC処理               ・・・・ 1000円前後 (発注場所によりばらつきあり)


< 使用する工具 >

・インパクトドライバー(クラッチケース)
・プラスドライバー
・プーリーロックレンチ(スズキ車用)
・17mmソケットレンチ
・WPC処理装置


< 使用するケミカル >

・WPC処理用メディア材


< 参考文献 >

・特になし


< インプレ >

装着後、数週間の間、様子を見てみました。
狙いは的中と言った所で、激しい加減速を繰り返しても
熱ダレの兆候が軽減されています。

ゼロ発進からの加速自体は、ベルトやクラッチの熱ダレもあるので、
冷感時と比較すると辛い物がありますが、
キックダウン時の変速レスポンスは特筆に価する向上ぶりです。

セカンダリに仕込んだセンタースプリングシートベアリングや
プーリー内面のWPC加工との相乗効果も相俟って、
思わずメットの中でニンマリするような、変速レスポンスに変身です。