ノーマルマフラーの加工!


< 能書き >

さて、排気系のチューンを極力控えてきた私ですが、
ついに禁断のチューンへと足を踏み入れる時がやってきました。

一通り手を入れた、Myアド君ですが、やはり最後の砦は排気・・・でしょうか。

以前より、興味のあったノーマルマフラーの加工。
果たして、改善の余地があるのか?
やはり、ノーマルは所詮ノーマルなのか?

ひょんな事から、マフラーを加工して頂ける事になったので
なんと、丸投げしてお願いしてしまいました(爆)


< 目 的 >

ノーマルマフラーの外観、音量を保ちつつ、
トータル的な性能の底上げを狙います。


< チョイス >

     <   チョイス   >

今回、私がチョイスしたのはコレ。
初期、W型用のマフラーです。

現在のマフラーも初期型用ですが、既に3万キロを超えた
マフラーですので、今回は交換も兼ねて新品を奮発しました。


< 内 容 >

     <   完成 1   >

加工は丸投げでしたので、いきなり完成です。(爆)
上が加工後、下が加工前・・・・。



殆ど見分けがつきません。


     <   内容 1   >

外観で判別できるのは、排気口のみとなっています。

手で持っているのがノーマルの排気口です。

     <   内容 2   >

さて、肝心な内容ですが、残念ながら今回は
詳細のデーターがありません。
何せ、丸投げな物で・・・・。

製作者の方は、サーキットで改造スクーターに
乗り活躍されている方なので、
どちらかというと、レスポンス重視の方向性に
振られているのではないかと思われます。

で、何をしたかと大まかに説明しますと、
写真の部分、バックリと輪切りをして、排気パイプの交換と
内部の壁を若干移動しているそうです。

良く見ると、再溶接の跡が残っており、
一度開けた事が判るのですが、プロの方のお仕事ですので
殆ど元通りに復元されていて、パット見では判断がつきません。


     <   内容 3   >

排気パイプはこんな感じです。
ノーマルを熟知している方は、太くなっている事が判ると
思います。

尚、内部のパイプですが、一切サイズ変更や
追加はしていないそうです。

闇雲に太くしたりして抜けを良くしてしまうと、
チャンバーの肝であるカデナシー効果による排圧の戻しが
薄くなり、トルクが無くなってしまうそうです。

抜けを良くするのは、排気のパイプだけで良いみたいですね。
音質なども考慮すると、この太くした排気パイプの長さにも
ノウハウが有りそうです。

パイプのエンドの部分が若干テーパーにしてあるのも、
排気促進の為の渋い演出でしょうか。(笑)



サンプルとして、こんな物を頂きました。
摘出した盲腸・・・・でなくて、ノーマルの排気パイプです。
こんな物が入っているそうです。

     <   内容 4   >

ココは私のリクエストです。

フランジ部の肉盛りです。


     <   内容 5   >

フランジ部のパイプの太さは、シリンダーの排気ポート出口より
パイプの肉厚分狭くなっていて、
ココが原因で排気の抵抗になったり、ヒートスポットになったりと、
あまり良くなさそうです。


     <   内容 6   >

こんな感じになります。

シリンダー側は、ガスケットの内径と同じなので、
マフラーのパイプの厚みが邪魔になる状態です。

     <   内容 7   >

そこで、この邪魔な部分をテーパー状に削って
排気の流れをスムースにしてみました。
そのための肉盛りです。



その他、膨張室とエキマニの継ぎ目の部分も手を加えて
下さったそうですが、ココは完全に企業秘密との事で
内容すら不明のままです。


     <   解体 1   >

と、ココで終わってしまっては、あまりにつまらないですね。

なので、外したマフラーを解体してみました。

再利用を目的としているので、縦割りでなく輪切りになって
しまいましたが・・・・。

で、中身ですが、実は、アドの初期型マフラー、
2室仕様だったのです。

膨張室の中は壁1枚と、その壁で仕切られた部屋をつなげる
パイプのみの構成です。

コチラの写真は、排気口側からです。

3万キロを裕に越すマフラーですが、意外に綺麗です。
(もっとベトベトかと思ってました・・・)

     <   解体 2   >

先ほどのサンプルにも有りましたが、
排気パイプです。


     <   解体 4   >

エキマニ側からです。

ココは膨張室の入り口(広がり始め)を切った部分です。



先ほどの排気側からライトを当てて見ました。
本当に壁一枚です。



2枚の画像を見て、なんか変だと思いませんか?

膨張室が狭いような・・・・。


     <   解体 5   >

図で説明するとこんな状態です。

グレーが実際の空間、赤はグラスウールです。

純正チャンバーに良くあるパターンの様ですが、
アドもそうでした。

ダイバージェットコーンの部分は、外から見れば
「イカにも」な形状ですが、内部を見る限り、
外から見たほど綺麗なテーパーではなく
殆どパイプの延長といった感じです。


     <   完成 2   >

装着後の状態です。

後からが最も変化が判ります。

気になる「音」ですが、見事に静かです。

若干、野太い「ボッ!ボッ!」言った逞しい音になりましたが、
知らない人が聞く分には、間違いなくノーマルと思える音質です。



< 注意事項 >
・走行直後のマフラーは高熱で大変危険です。
 作業は冷却時に行いましょう。


< 使用する材料 >

初期型用純正マフラー
 品番 : 14310-16F00
 品名 : ボデー、マフラ
 価格 : ¥18,480-(税込み)

ガスケット(再利用可)
 品番 : 14181-41D00
 品名 : ガスケット、エキゾーストパイプ

その他、マフラー内部不明・・・。


< 使用する工具 >


・6mmヘキサゴレンチ(6角レンチ)/マフラー交換時
・10、12、14、17mmメガネレンチ/マフラー交換時

その他不明


< 使用するケミカル >

特に無し


< 参考文献 >

特に無し


< インプレ >

装着後、早速ポン付けで試走してみました。

新品なので、ウールが焼ける匂いが発生し、排ガスの匂いでは
濃いのか薄いのか全く不明です。

乗っていきなりの違いを感じます。

アクセルの付きが格段に良くなっています。
少し開けただけでガツン!ときます。
速度の低い交差点など、不用意に開けると
危険そうな感じです。

暖気がてらに1km程チンタラ走った後、
いつものテスト直線でシェイクダウンです。

ゼロ発進から、アクセル全開のまま、速度を乗せて行きます。
駆動系は弄っていないので、変速点は以前のままの7000rpm付近です。

一瞬の出だしは良いものの、中速付近からのトルク感がありません。
タイムを計るまでもなく、スカした加速感です。

思いの他、高回転型?と思い、ドンドンWRを軽くして行きました。

最初の約89gから、約79gまで重量を下げ、
一向に当たりの気配を見せない状況に不安を感じ、
今度は一気に重く、94.5gに上げて見ました。

変速点は最初の7000rpm付近から約400rpmダウンの6600rpm。

何故か、ココで良い感触を得る事になりました。
このマフラー、高回転でパワーを稼ぐのではなく、
以外に低いところにパワーバンドがあり、
トルクで走らせると良い特性の様です。

念のため、WRを最初の重量付近に戻し、タイム計測を行いましたが、
〜90km/hまでで4秒ダウン、〜100km/hまでは、時間がかかり過ぎて
計測不可という結果になってしまいました。

ココで、純正のW型用ベルトが悲鳴をあげダウン。
ホツレ発生で、リタイアとなります。

緊急でストックのデイトナベルトを使う派目になり、
またもやセッティング地獄へと突入する事になりました。

その後、センタースプリングやトルクカム等の設定も大幅に見直しを行い
妥協点ではあるものの、何とか走るようになりました。

加工前 加工後
〜90km/hまで 12.6秒 13.4秒
〜100km/hまで 21.9秒 19.1秒

−駆動系部品構成−

<加工前>
・プーリー  : SKノーマル
・ランプレ  : Wノーマル
・ベルト   : Wノーマル
・トルクカム : カメ+ベアリング
・センスプ  : デイトナGアク20%
・クラッチ   : V100ノーマル
・WR     : 87.3g(変速7000rpm)

<加工後>
・プーリー  : SKノーマル
・ランプレ  : Wノーマル
・ベルト   : Wノーマル
・トルクカム : SKノーマル+ベアリング
・センスプ  : キタコ スーパーJOG Z(3YK)用
・クラッチ   : V100ノーマル
・WR     : 82.5g(変速6600rpm)

90km/hまでのタイムは0.8秒ほどダウンしている物の、
100km/hまでは、なんと3秒近くも更新しています。

加工前と加工後でベルトの長さが違うという要因も有りますが、
ソレを差し引いても余りある効果です。

変速が終了すると思われる70km/h以降からのタイム差は歴然で、
抜けが良いのも手伝ってか、高速ゾーンで一気に伸びてくる感じです。

今後の煮詰めが楽しみな結果となりました。