PE24(BIGキャブキット)の調整


9640のアドレス110に装着したBIGキャブキットですが下がカブリ気味で
燃費は約15km/Lと最悪な様子。
やはりボルトオンとは言え多少の調整が必要な様です。
こちらではPE24(BIGキャブキット)の調整について紹介いたします。




まずは青の○印。MJです。 コレでほとんどの燃調が決まります。
基本的には焼きつき防止の為、濃いほうから試していきます。
次に赤○印。 PJです。 アイドリング〜低速の燃調の制御をします。
基本的にはAS(エアスクリュー)で調整するのですが、
ASでの調整範囲を超えた場合はPJの交換となります。
アクセル1/8以下の領域はここで決めます。
そして黄色い矢印の部分。 フロートの位置です。
デイトナの説明書によるとオーバーフローのひどい場合は
ここを「23mmに調整」とあります。
ちなみに私のは初期値が18mmで、オーバーフロー過ぎたのか、
ドレンホースからはガソリンが常に垂れていました。

 



調整は黄色い矢印の板金を曲げることにより行いました。
○印のポッチ部先端に板金が触るか触らないかのところで
フロートの位置を計測して23mmに調整します。
2002/08/17の時点でフロート位置を21mmに合わせましたが
約17.5km/Lと燃費が改善され、ドレンからのガソリン垂れも少なくなりました。

2002/10/03 追記

<燃調の取り方>

キャブレターには、エンジンに程好い混合気を送るため、
混合気のガスの濃度を調整するための機構が多数付いています。
各部品にはそれぞれアクセル開度によって担当している領域があり、
それぞれのバランスを上手く取り、全体を仕上げていきます。



上の図が、各部品の役割分担です。

レースでもない限り、調整の主体は
・MJ(メインジェット)
・PJ(パイロットジェット)
・AS(エアスクリュー)
・ニードルピンのクリップ位置
で行う事と思います。
ここで、勘違いし易いのが、このセットは「アクセル開度」であることです。
回転数に応じての噴けは、基本的にシリンダーポートの位置とチャンバー容量で
変わってくるので、アクセル全開で「低回転がカブって高回転は噴ける」
または、その逆、などの状態には対応しきれません。
この状態を打破するために
近年のホンダのRCバルブやヤマハのYPVSは
回転数やアクセル開度、シフトポジションに応じて
排気ポートのタイミングを変えることにより、
常にどの回転域でも理想の噴けが出来るようにコントロールしているのです。
しかしながら、われらのアド、及び同クラスの2ストスクーターには
そんなハイテク機構は付いていません。
ノーマルのシリンダーとチャンバーのコンビであれば、メーカーの
出したセッティングですので、必要最低限のバランスは取れています。
低回転から高回転まで、谷間がなく噴けるのはその為です。
この状態で、ビッグキャブを装着し、増えた空気に見合うだけの
ガソリンを追加してやれば、大体、低回転から高回転までバランスよく噴けます。
ですが、ひとたび社外のパワー追求型や高回転型のシリンダーや
チャンバーを装着すると、そのバランスは崩れます。
その恩恵として、ある回転域で、爆発的なパワーを得られるのです。
爆発的なパワー ⇒⇒ 燃焼効率最大なので
「燃調を出す」というのは、一番パワーの出ている
回転域で行う事が必須なのです。
燃焼効率最大 の回転域で薄ければ燃焼温度が高くなり、
混合ガスを点火しやすく、
ガスの流速が速いのでパワーが出ますが、薄すぎると焼きつきます。
濃ければ燃焼温度が低くなり、燃焼時間や流速が遅くなり混合ガスはじっくり
燃焼膨張するのでトルクが出ますが、濃すぎて燃焼温度が下がりすぎると
不完全燃焼(カブリ)という結果になります。
ジェットやニードルの調整というのは、あくまでもパワーバンド内
のアクセル開度の話であり、全回転域の話ではないと言うことなのです。