オイルポンプの謎?
< 能書き >
全開を通り過ぎると全閉になる??
そんな噂からどんな構造?と疑問になっておりました。
うちのアド、大口径のPJやPWKを装着したいのですが、
そこでネックになるのが、ワイヤー巻き上げ量増加に伴う、
全開通り過ぎの、この噂です。
はたして、本当なのか??
どのくらい、最大値から過ぎると全閉になってしまうのか?
実際に開けて見てジックリ検証する事にしました。
< 目 的 >
全開を通り過ぎると、全閉になる??
そんな噂を徹底検証です。
< チョイス >
< チョイス >
今回、私がチョイスしたのは、、、、、って、
純正のOILポンプです。
(って〜他のがあるんかい!)
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< 内 容 >
< 観察 1 >
折角ですので、なめ回す様に観察して見ましょう。
まずはIN側。
OUT側。
そして下側。 中心の黒い部分でエンジンの回転を抽出します。
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< 観察 2 >
コチラは上側です。普段はカバーにかぶっているので見えません。
ビックキャブなど取り付けた方やOILポンプのワイヤーを
交換したことのある方は見たことあると思います。
正面の円盤型の板金。
この円周にワイヤーを引っ掛けて、スロットルと連動させます。 |
< 観察 3 >
IN側の蓋を開けてみました。
円盤型の板金に直結してカムシャフトが伸びています。
このカムシャフトがOILの吐出量を制御します。
円盤型の板金が回ると、このカムシャフトも回ります。
今回のコンテンツの要の部品なんですね〜。
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< 観察 4 >
続いてOUT側に位置する蓋を開けてみました。
コチラは、ポンプの役割を果たす、
シリンダー&ピストンを見ることが出来ます。
コチラはピストン。
判り易く説明しますと、
ポンプ付きのシャンプーのポンプと同じ要領なのですが、
シャンプーはピストンを押して吸引&排出を行うのに対し、
このOILポンプはピストンを固定し、シリンダーを動かす事により、
吸引&排出を行います。
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この辺からは、もう少し突っ込んで行きます。
OILポンプは先ほど説明しました通り、ピストンに対し
シリンダーがストロークする事により、吸引、排出を
行うのですが、吐出量の制御はストロークの回数、
ストローク量により、制御しています。
< 謎解 1 >
その吐出量を制御するのがこのカムシャフトです。
コレは、シリンダーのストローク量を制御するのですが、
4ストロークエンジンのカムのような要領で考えて頂くと
判り易いかと思います。
単純に言うと「A」はハイカム、「B」はローカムみたいな役目です。
スロットルを閉じているときは「B」のカムが作用していて、
シリンダーのストローク量が少ないので、OILの吐出量は
少ない状態になります。
スロットルを開けると、「B」のカムの制御が開放され
「A」のカムのみ作用するようになり、シリンダーのストローク量が
増える方向になります。
それにより、OILの吐出量が増えるのです。
では、ストロークの回数は何処で制御しているのか?
それはシリンダー側で行います。
写真はシリンダー側の写真です。
写真の「A」はカムの「A」(ハイカム側)、
「B」はカムの「B」(ローカム側)に当たっています。
実はこのシリンダー、エンジンの回転を受けて回転しているのです。
回転しながら、ストロークしています。
・・・なんてアクロバチックな・・・。
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< 謎解 2 >
コレは、カムとシリンダーの「A」の部分の位置関係です。
シリンダーが回転すると上の図のような感じでシリンダーが
ストロークします。
シリンダーの凸がカムに当たっている時はOILの排出、
凹が当たっているときは吸引の動きをしています。
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< 謎解 3 >
実際に写真で見てみましょう。
コレはシリンダーの凸がカムに当たる状態です。
反対側ではシリンダーが出っ張っているのが判ります。
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< 謎解 4 >
「謎解 3」に対し、
今度はシリンダーの凹がカムに当たっている状態です。
反対側では、シリンダーが引っ込んでいるのが判ります。
正に、ストロークしているのです。
エンジンの回転数が多ければ、シリンダーの回転も多くなり、
シリンダーのストローク回数が多くなる訳ですね。
結果、高回転=OIL吐出回数大 という訳です。
このストローク運動は、速くなりすぎると、
OILの粘性が吸引、排出の速度についていけなくなり、
気泡発生⇒吸引/排出圧力低下⇒OIL不足
になってしまいます。
アドのOILポンプは高回転仕様には向かないと
言われる由縁ですね。
アドのポンプに限らず、このような仕組みのポンプ全般に
言える事ですが・・・。
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< 謎解 5 >
次は、ストローク量についてです。
ストローク量については、「謎解 1」で説明した
「B」のシリンダーとカム(ローカム)が作用します。
上の写真はスロットルオフ時?のOILポンプの位置です。
円盤型の板金から生えた爪とオイルポンプのボディにある
刻印の位置が合っています。
右側(矢印)の爪は全開の合わせ用です。
写真で確認するとカム&シリンダーはこの状態です。
「B」側のカムが当たっている状態です。
この場合、「A」のカムのみで制御されている状態より、
ストロークの量が少ないのでOILの吐出量は
少なくなる訳です。
シリンダーの高低差を並べると、
「A凹」低 < 「B」中 < 「A凸」高 となります。
スロットルオン時は「A凹」⇔「A凸」の間でストローク。
スロットルオフ時は「B」⇔「A凸」でストロークしているのです。
ちなみに、全開の状態です。
「B」側のカムは「B」シリンダーと離れてしまいますので、
制御下から開放されます。
純粋に「A」側で制御されている状態ですね。
図で見るとこんな感じですね。
マダマダ余裕があります。
ちなみに、本題であった、ポンプ全閉状態と言うのは、
下の図のようになります。
この状態ですと、ポンプのストロークはほぼ皆無。
正にOILポンプ全閉の状態に近い形になってしまいます。
実はこの状態、スロットルオフ時の爪が規定の位置より
手前であったり、キャブを大口径にして、ワイヤーの
巻き上げ量が増えてしまい、カムを回しすぎた時の
2通りで発生します。
ポンプ開きすぎ・・だけでは無いのですね・・。
コレが、ポンプ全閉疑惑の正体だと思われます。
キャブを大口径にしたからといって、全開位置で巻き上げ量を
調整する為にワイヤーをたるませ気味にすると、
非常に危険なのが判ります。
多少のアイドリングなら平気でしょうが、長時間のアイドリングや
高速走行(高回転)からのスロットルオフ時は、
まったくOILが供給されないのと同じなので、想像しただけでも
怖い状況です。
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< 謎解 6 >
では、スロットルオフ時の爪位置を基準に、
どの程度の巻き上げ量までならオイルポンプは対応できるのか?
ちょっと調べてみました。
上の写真は、全開の爪の位置を通り越し、その先にある、
逆戻り防止用のストッパーの位置です。
ワイヤーの巻き上げ量は、キャブの口径
・・・カッタウェイのストロークで決まります。
カッタウェイとのギア比というか
ワイヤーの巻き上げ比は1:1なので、
カッタウェイのストローク量そのものです。
写真の位置ですと、巻き上げ量は大体33mmぐらいです。
ポンプ側のカムの位置は写真のように、まだ若干の余裕があります。
とりあえず、28φ〜33φ位のキャブなら問題なさそうです。
どのくらいまで行くと、ローカムの「B」が作用してしまうかというと、
私が試した限りでは、ワイヤーの巻き上げ量が35mm付近で
「B」カムと接触してしまいました。
PWK35等を装着するには、
このカムをもう少し「B」に接触しない様に加工するか、
思い切って、ポンプレスにするしかない訳です。
OILポンプを撤去してしまうと、
クランクサイドベアリングに引かれたOILラインも撤去する事に
なりますので、クランクベアリングの耐久性に一抹の不安を
覚える事になりますが。。。
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< 注意事項 >
念の為に申し上げて起きますが、この数値はあくまでも私が
自分のオイルポンプを自分の目で見た結果にしか過ぎません。
ですので、全てのOILポンプが同じという保証がございません。
車体やエンジン、運行中に関して、非常に重要な部分ですので、
実際に、この内容を参考にされて大口径のキャブ等を装着し、
ワイヤーの巻き上げ量が増えてしまった場合には、
オイルポンプの動作を実際に確認されることをお勧めします。