センタースプリングシートベアリング
〜 準備 & 取り付け編 〜
< 内 容 >
< 準備 1 >
装着に辺り準備するのはコレ。
フレームNo、112014〜112183 の、わずか170台にしか
使われていないセンタースプリングシート。
Y型の多くやSKに使われている、フック用の嵩上げや
穴が無いタイプです。
セカンダリーのムーバブルドリブンがグリスタイプでない
W型はシートにツバが無いのでそのまま使用できます。 |
< 準備 2 >
このパーツを入手しただけでは装着できません。
加工が必要です。
印のツバの部分。
コレがあると、ベアリングの位置が上がってしまい、
センタースプリングの動作範囲を狭めてしまいます。 |
< 準備 3 >
グラインダーでツバを落とすのですが、
印の角の部分にグラインダーを当て、ツバを落とします。 |
< 準備 4 >
すっきりしました。
切り口はバリなどが立つので、棒ヤスリ等で
綺麗にバリを落としておきます。 |
< 疑問 1 >
ここで疑問が生じます。
ベアリングを追加した分、センタースプリングが
圧縮されてしまい、完全密着までの余裕が無くなる事です。
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< 対策 1 >
そこで、新兵器登場。
YAMAHA JOG系のセンタースプリングです。
メーカーはカメファク製をチョイスです。
一律でノーマル比15%アップらしいです。
径は同じと噂で聞いておりましたが、本当の様です。
そして、長さは、アドより当然短いです。
この「短い」と言うのが選択の理由です。
今回は、2種類用意しました。
スーパーJOG ZR/AXIS90系 のスプリング
スーパーJOG Z/アプリオ系 のスプリング
|
< 比較 1 >
並べてみました。
左から、
ノーマル:5巻 自由長103mm
AXIS系:7巻 自由長95mm
アプリオ系:5巻 自由長71mm
です。 |
< 検証 1 >
シートにセンタースプリングを乗せ、ムーバルドリブンが
全開になった状態を作りだしてみました。
まずはAXIS系から。
ほぼ全密着の状態です。
ここには更にベアリングの厚さが入るので、
チョット無理そうです。
デイトナ製のアド用等も7巻程度あるので同じ結果だと思います。
続いて、アプリオ系
自由長も短く、巻き数も少ないので、余裕です。
コレなら行けそうです。
|
< 検証 2 >
次に気になるのはスプリングのレートです。
なんといっても車種が違うのですから、基本となるレートも違います。
マズはAXIS系。
10mm縮めて3.9kg=0.39kg/mm です。
アドのノーマルは≒0.355kg/mmですので、
AXIS系の15%UPとアドのノーマルは
大体同じと言う事になります。
次にアプリオ系。
10mm縮めて、なんと7kg! =0.7kg/mmと
実にノーマルの約2倍の数値を記録しました。
コレは硬すぎじゃ・・・と感じる所ですが、
自由長にカラクリがあります。
|
- |
SK STD |
D社10% |
D社 STD |
亀AXIS |
亀アプリオ |
自由長(mm) |
103 |
108 |
113 |
95 |
71 |
自由長比較 |
100% |
105% |
110% |
92% |
69% |
レート(kg/mm) |
0.36 |
0.43 |
0.4 |
0.39 |
0.7 |
レート比較 |
100% |
119% |
111% |
108% |
194% |
レート実測値 |
kg |
kg |
kg |
kg |
kg |
ストローク:1mm |
- |
- |
- |
0.4 |
0.65 |
ストローク:5mm |
- |
- |
- |
2.1 |
3.4 |
ストローク:10mm |
3.55 |
4.25 |
4 |
3.9 |
7 |
ストローク:15mm |
- |
- |
- |
6.2 |
10.4 |
|
|
|
|
|
|
自由長から全開まで
のストローク量(mm) |
77 |
82 |
87 |
69 |
45 |
ストローク比較 |
100% |
106% |
113% |
90% |
58% |
待機中荷重 |
100% |
127% |
126% |
97% |
114% |
まずレート実測値からみて下さい。
AXIS用とアプリオ用しか計測していませんが、
ストローク値 1mm/5mm/10mm/15mm と、
ストロークさせるのに必要な加重量はほぼ比例しているの判ります。
本来は、自由長でのレートとある程度縮めた時のレートは違うと
思うのですが、実測データでは比例しているようなので
信じる事にします。(相変わらず無理矢理です。)
この事を踏まえ、自由長の状態から、ムーバブルドリブンが
全開になるまでの、各スプリングのストローク量を
割り出して見ました。
ノーマルのストローク量77mmを基準とすると、
アプリオ用は約58%のストローク量になります。
実測の結果だけで判断すると、
スプリングを縮める為の加重はストロークする量に比例するので
アプリオ用のレート0.7kg/mmに58%を当てはめてみます。
0.7×0.58=0.406kg/mm と、ノーマルの15%アップ程度に
なることが判りました。
ノーマルのスプリングを、ムーバブルドリブン全開まで
必要とする加重量と、アプリオ用で必要な加重量は
15%しか違わない訳です。
ノーマル比15%UP。
丁度良いのではないでしょうか・・。
まったく無理なコジツケです。 ←自問自答 |
< 工程 1 >
さて、いよいよ組み付けです。
センタースプリングを交換する要領で、
セカンダリー一式をばらします。
セカンダリーのばらし方が分からない方はコチラ
↓↓↓
クラッチスプリングの交換
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ブラウザの「戻る」ボタンで戻ってきて下さい。
|
< 工程 2 >
コレがY、SK型の問題のスプリングシート。
かさ上げしてあります。
ここの部分も上手く削る事が出来れば、
新たにスプリングシートを入手しなくても、
ベアリングが装着できると思いますが、、、、
難しそうです。。
ちなみにクラッチ側もかさ上げされています。
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< 工程 3 >
スプリングシートをそっくり入れ替えます。
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< 工程 4 >
ベアリングを挟み、元の通りに組んで行きます。
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< 工程 5 >
完成です。
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< 工程 6 >
試しに手で開いてみました。
う〜ん、、スムーズ!
純粋にセンタースプリングの張力だけで
動いているのが良く判ります。
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< 注意事項 >
セカンダリーのユニットを分解するに当たり、
コンプレッションツールを使用せず、センターナットを外す場合は
くれぐれも、センタースプリングの張力で飛びそうになる
クラッチAssyにご注意下さい。
< 使用する材料 >
・スプリングシート
品名:シート、ムーバブルドリブン
品番:21471-03A30
・ワッシャー型ベアリング
品名:センタースプリングシートベアリング
・カメレオンファクトリー製
強化センタースプリング
スーパーJOG Z系(3YK1〜6)
アプリオ(4JP1〜4、6) 用
< 使用する工具 >
・プラス/マイナスドライバー
・インパクトドライバー(クラッチカバー)
・シザースホルダー
・プーリーロックレンチ
・14-17mmメガネレンチ
・34mmソケットレンチ
・ラジオペンチ
・グラインダー
< 使用するケミカル >
・パーツクリーナー(必要に応じて)
・モリブデン系グリス(必要に応じて)
< 参考文献 >
カローラ様 運営の「あどれす屋」を参照
< インプレ >
装着後、特にWR等の駆動系のセッティングは変更しないで
ローテスに出てみました。
まず、いきなり変化が出たのは、変速回転数。
ベアリング装着前は7000rpm、キッカリだったのが、6500rpmになりました。
簡単な計算上では、15%程度センタースプリングのレートが
上がっているのですが、それをかき消してしまう位に
セカンダリーが滑らかに広がっていると言う事でしょう。
うちのアドは6800rpm位からがパワーバンドの入り口なので
何とも「もさーっ」としてカッタルイです。
まあ、この辺は、センタースプリングのレートを上げるか、
WRを軽くするかで対処できるので、今後煮詰めていく事にします。
いつものテスト直線で最高速のトライもしてみました。
テスト段階なのでタイム計測は無しですが、
100km/hに到達する地点が好調時とほぼ同じなので
変速回転数の鈍さを差し引くと、高速域で伸びているのが判ります。
クラッチミート7200rpmでスタートし、6500rpmで変速しながら、
加速して行き、90km/hを過ぎた辺りから、回転数が上がり始めて
102km/hに到達した時には7510rpmでした。
ベアリング装着前には、102km/hで8450rpmでしたので、
セカンダリーの開く範囲が広がり、ベルトの移動量に余裕が出来た様です。
まだ、エンジンは伸びて行きそうでしたが、なにせ軽いテスト気分で
ジャージパンツ+Tシャツで出ていたので怖くて、そこで辞めときました。
今後、駆動系のセッティングを煮詰める事で、かなり良くなりそうです。
カメファク製のスプリングは15%アップみたいなので、
この上となるとデイトナ製の20%アップです。
まず、センタースプリングのレートを変えて煮詰めて行こうと思います。
< 追記 >
センスプのレートを変えてみました。
チョイスしたのは、なんとデイトナ製グランドアクシス用20%UP!
Gアクのノーマルレートは、アプリオの大体15%UP位みたいなので、
単純計算で現状より、更に20%UP!?
目測で購入してしまったのですが、コレが裏目・・・。
なんと、外径は同じものの、レートアップの為かバネの線径が
太くなっており、太くなった分は内側に来ていて内径が小さくなってました。
そんな訳で、いざ装着しようとしたら、スプリングシートに入らない・・・。
でも¥2,000-は無駄にしたくないし・・・。良さげな硬さだし・・・。
こうなったら・・・・・・。
日本初!?(世界初?)Dカットセンタースプリング!!
シリンダーをホーニングする要領で、内径を削ってあげました。
(結構ムチャしてます。)
0.8mmくらい広げましたかね。。。
おかげでスムースになりました。
ちなみに、気になるレートですが、加工前、加工後共に
何故か約1.0kg/mmで影響ないみたいです。
ま、1割も削ってないですし。。
付けた感想はというと、、、、
う〜ん硬いか? って感じです。こんどは、変速がパワーバンドを超えた所で
外しているって感じです。
ただ、急激な信号スタートや、再加速は、こっちの方が俄然良い感じです。
まあ、変速の不快感は、
WRの設定を変えていないので、当たり前ですが・・・。
WRのセットが決まれば、こちらの方がシャキッとして良さそうです。