風 誘 讃 花    


    第 8 回  ユ リ を 想 う   (2015年9月1日)   

  ユリと言えば白。そんな連想がされますが、実際にはさまざまな色、そして形が溢れていることは、よく知られている

 ところです。

  聖画の中でマリアの懐胎を告げる受胎告知、そこでは天使がマリアに向かって白いユリを差し出しているようすが、

 まことに印象深く描かれています。そんな記憶から、ユリのイメージが出来上がったのかも知れません。

  でも今回さまざまなユリを描いてみようと思い立ち、あれこれ調べていったところ、ユリはいにしえの時代から、人々

 の暮らしに親しいところに、存在していたことを知りました。

  たとえば、オニユリは人家の近くにしか見られない、ということご存じでしたか?普通、野生のユリは山、高原、海岸

 など、人の住んでいないところに咲くものですが、オニユリに限っては、人の生活に寄り添って咲いているという指摘に

 そういえば・・・と思い当たることがありました。

  その理由は、古い時代に中国から食料として日本に伝えられたからだそうで、以来オニユリはユリ根{球根}を食べ

 る野菜として、家のまわりに植えられたそうです。

  いつだったかオニユリを描きたくて花屋さんを探したのですが、見つからなくて、そのことを花友に話したら、食用の

 ユリ根を買って土に埋めておけばよい、と教えてもらったのでした。

  ユリは北半球に100種類以上が自生するとされています。そして日本はその種類が多いユリの王国で、明治後期

 には輸出ユリ根の主力品種として、テッポウユリが盛んに輸出されたということです。

  さまざまな品種改良がされた結果、カサブランカをはじめとするオリエンタル系の園芸品種が、店頭に並ぶようにな

 り、ユリはてっきり園芸品種なのだと思っていた時期もありました。けれど、周囲を見回せば、種で増えるという種類の

 テッポウユリや、その親戚筋のタカサゴユリなどは、植えた覚えもないプランターからひょっこり顔を出して、喜ばせて

 くれます。

  この暑い時期、切り花は購入しても日持ちしないのが悩みですが、ユリに限っては結構長持ちするのも嬉しいところ

 です。そんなわけで、今回のホームページでは、沢山のユリに登場してもらいました。楽しんでいただければ幸いです。

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