風 誘 讃 花    


    第 3 回   窓 を 開 け れ ば 君 が い る (2015年4月1日)   

  またですかぁ・・・という声が聞こえてきそうですが、もう一回、もう一回だけメジロの話をさせて下さい。

  桜の便りもあちこちから舞い込み、自然界の動きも活発化してきました。そろそろ小鳥たちともお別れかな、と思うと

 寂しさがつのります。

  でも今年はビデオカメラで収めた映像がたっぷり残っているので、逢いたくなったらそれを見ることにしましょう。

  さて、先日のことです。鳥に関する雑誌を読んでいたら、餌付けの方法としてこんな紹介がされていました。それは、

 空の牛乳パックを使って作る餌台です。用意するのは牛乳パックと紐 {私は2センチ幅のリボンを使いました}それに

 カッターナイフとホッチキスです。

  まず牛乳パックの4面に5センチ×10センチほどの窓を切り抜きます。それから注ぎ口のほうにリボンを輪にして

 挟み込んでホッチキスで留めて輪を作れば、バードテーブルの完成です。

  それをメジロが来る枝の近くに吊して、半切りにしたミカンを置いて待つわけですが、果たして小鳥たちは、このプレ

 ゼントにどういう反応を示すでしょうか。

  準備が済んで間もなく、2羽のつがいがやって来ました。そしていつもの場所でミカンを突っつき始めたのですが、

 しばらくして一羽がバードテーブルの存在に気づきました。

  { あら? }

  という感じでちん入者を眺めたあと、そこに好物が収められていることに気づきました。

  そうなると、なんとかしてバードテーブルに飛び乗りたいという思惑がその小さい体一杯に漲ります。どうしたら段差

 30センチはある場所までダイブできるのか、と真剣に思い巡らしている様子を想像してみて下さい。いじらしいその

 姿に私は思わずプッと吹き出してしまいました。

  いつもは用心深く辺りの様子を伺っていて、小指の先程の危険を察知するやいなや、あっという間に飛び去ってい

 く習性を持つ小鳥が、この時ばかりは全てを返上してバードテーブルに辿り着くという目標に向かって集中している

 のです。それこそ手を伸ばせば捕まえられるかも知れないくらいの場所で。

  微動だにしない状態が続いたあと、小鳥はちょっと向きを変えて飛び去りました。

  「 お気に召さなかったかな 」 と思いきや、再びやってきて試行錯誤を繰り返したあとで、少し離れた場所から助走

 を加え、エイヤッとばかりに牛乳パックで作った餌台にめでたく着地したのでありました。惜しみない拍手を送ったこ

 とは、言うまでもありませんし、おかげで私はここにメジロの高い学習能力をご紹介することができたのでありました。

 めでたし、めでたし。

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