新エッセイの部屋

 第 17 回(H 18 年 10 月)  作 品 展 

  2006年が明けた最初の水彩画教室で 「今年は画廊での展覧会を予定しています。春、夏といつものように自由に

 描くなかで、ほんの少しで良いから頭の片隅に{今年の秋は展覧会に出す絵を仕上げるんだ}という思いを留めていて

 下さい。」 というようなことを生徒さんたちに伝えました。

  私が投げたボールは一人一人の心でキャッチされて、夏の終わる頃には確かな返答が幾つも返ってきました。これは

 いける、という手応えを感じながら準備を進めていった2ヶ月余りの日々があって、水彩画展はスタートしたのでした。   

  今回会場となったギャラリー公園通りは、初めて使わせ

 ていただく画廊でした。豊橋駅からほど近く、豊橋市役所、

 NHK豊橋支局、豊橋美術館が連立する一角に位置する

 場所にあるという地の利も気に入りましたし、何よりも通

 りに面して大きなガラス窓が設置されているということ、

 これが場所選びでの最大の決め手となりました。

 このおおらかな窓のおかげで画廊の中の居心地がとて

 も良いのです。

 窓から車道一本隔てた向こう側には豊橋美術館専用の

 駐車場がありますが、その周囲には欅(ケヤキ)などの大木が立ち並んでいて、豊かな緑がそのまま展覧会場の彩りと

 なるのでした。

  当日、会場に飾られた作品は23点。今回作品を出品したのは14人でしたから何人かは2点提出したことになります。

 この件については、当日まで見通しがつきませんでした。

  本来、私たちの教室はそれほど大きい作品は描いていません。野の花一輪から描き始めますので、スタートはそれこそ

 ポストカードで十分なのです。そこから少しずつイメージを広げてゆくと花が二輪になり、小さい花束ができあがり、いつし

 かそよ風が吹き抜ける花野が出来上がるというあんばいなのです。その花野でさえB3(36cm×51cm)の画用紙の中

 にスッポリ収まるといったら、その表現世界を想像していただけるでしょうか。

作品展会場の

 ギャラリー公園通りと

  その入り口部

 普段の教室ではポストカードやSMホール(16cm×23cm)、その他F3(23cm×31cm)とかF4(26cm×36cm)

サイズの画紙に描いている人がほとんどです。その上のサイズであるF6(31cm×41cm)に挑むというのは盆か正月

くらいなものなのですけれど、作品展の日程が近づくに従ってF6サイズの作品を見かけることが俄然多くなりました。

しかもアルシュ紙の。

 私たちの教室では日常ブレダン紙を使用しています。日本製で質も良く、値段もお手頃だからです。でも発色効果から

するとフランス製のアルシュ紙に軍配が上がります。ただし値段のほうも断然アルシュ紙のほうが高価なので、いくら発

色効果をアピールしてもなかなか生徒さんの中に浸透しなかったのですが、作品展効果は偉大でした。少しでも良い絵

を発表したいという意欲の表れでしょう。アルシュ紙作品がどっと増えたことは、歓迎すべきことでした。

力作が並んだ

     会場内の様子

  絵を描くにはエネルギーが要ります。まして展覧会に提出する作品となるとどうしても他者と比べられることにもなります

 から全員参加というわけにはいかないのが現実です。自分の健康は問題なくても家族の世話で創作に全力投球できない

 場合もあるわけですから。創作のポイントは無理しないこと、ゆっくり時間をかけて楽しみながら努力を重ねることに尽き

 ると思います。今回展覧会に参加できなくてもいつかは又その機会は巡ってくるでしょう。

  それにしても教室では力作が次から次へと持ち込まれたことで新たな悩みが生まれました。作品としてはF6というのは

 それほど大きいものではないけれど、額装して会場に飾った場合のことを考えると一人一枚に限定するしかない状態で

 あったからです。2枚飾れる人が果たしてどれだけいるかという不安。それでいて参加者の多くは力作をどっさり抱え込

 んでいるらしい。

  作品展を前にしてこんな贅沢な悩みを抱え込んでしまった私なのでした。で、仕方がないから当日の飾りつけの時に

 希望者は複数の作品を密かに自分の車に積んでおいて下さい、もし会場スペースに空きがあったらラッキーと思って、

 そこに2枚目を飾ってくださって結構ですから、と申し渡しました。結果はどうだったでしょう。確かにラッキーな人が何人

 かお見えになりましたよね。よかった・・・・。

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