■ マルチエリアOSPF

さて、さっぱり君。

だれが「さっぱり君」ですかっ。

そんな事は言うまでもないことだと思うが。
私の口から直接告げた方がいいか？

結構です。
えぇ、どうせ僕は「さっぱり君」ですよ…。

現状の正確な把握が出来たところで、話を進めよう。
マルチエリアOSPFにおけるルータタイプと、エリアタイプは理解できたかね？

さっぱり君に何を期待してるんですか？

いい歳をした大人がすねるな。可愛くないぞ。
ともかく。今回はOSPFがらみのその他の話を行う。まず経路集約だ。

経路集約？
BSCI第３回でやってますけど、もう１度やるんですか？

■ ABRでの経路集約

いや、今回話すのはOSPFでの経路集約の設定方式だ。
いくつか設定しないと経路集約が上手く動かない。

ははぁ。
経路集約はOSPFのウリの１つですからね。動かないとかなり悲しいですよね。

うむ。
まず、経路集約を行うのはABRとASBRという事を思い出すのだ。

ABRがLSAタイプ３・４、ASBRがタイプ５を作ってフラッディングするんですよね。

そうだ。
これらの設定をOSPFは手動で設定してやらねばならない。

ふむふむ。

例を出した方がいいな。
以下のような構成だ。

ネットワークアドレスは連続しているんですね。

うむ。というよりも、OSPFを使うなら連続したアドレスにすべきなのだ。
もし新たにOSPFを導入しようと考えているなら、従来のアドレス構成を変更してでも連続させるようにしなければならない。

連続していないと集約できないですからね。

その通り。OSPFを使うのに連続させないならば意味がない。
さて、ネット君。集約したまえ。

はい。え〜っと。…第３オクテットを２進数にして…、こうなって…。
できました。こうですよね？

うむ、正解だ。

いぇい。

さて、これをルータに設定していこう。

こうなる。
ポイントは４行目と５行目のarea rangeコマンドだな。

くわぁ。
networkコマンドはワイルドカードマスクなのに、こっちはサブネットマスクですか。ややこしいなぁ。

■ スタブエリア設定

さて、ついでにスタブエリアの設定も説明しよう。
まずスタブエリア内の内部ルータ・ABRに対し、以下のコマンドが必要だ。

トータリースタブエリアの場合、ABRでstubの後ろにno-summaryをつける。

ん〜っと。とりあえず、スタブエリア・トータリースタブエリアにするには、ABR、内部ルータにarea stubコマンドが必要？

うむ。

で、トータリースタブエリアの場合、ABRはarea stubの後ろに、no-summaryをつける？

そういうことだな。

は〜。

それでだ、ネット君。
スタブエリア・トータリースタブエリアの特徴はなんだった？

えっと。
スタブは外部ルートを、TSAは外部とエリア外ルートをデフォルトルートとしてABRから受け取るでしたよね。

うむうむ。
なので、ABRはデフォルトルートのコストを設定することもできる。

デフォルトルートはLSAタイプ３として、エリア内にフラッディングされるということを覚えておくといい。

スタブエリア内部ルータからみれば、デフォルトルートに集約されてるって感じになるわけですね。

■ ASBRでの外部経路集約

ABRがエリアを集約して送るように、ASBRは外部経路を集約して送る。

LSAタイプ５ですね。

うむ。
よって、ASBRでは外部経路の集約設定を行う。

これだ。
ただし、これにはルート再配送の設定が必要だ。

ルートの再配送…。
なんでしたっけ？

他のルーティングプロトコルから得たルートを配布することだ。
これは先の回で説明する。OSPFではsummary addressコマンドが必要ということだ。

ははぁ。

■ 仮想リンク

ついでにまとめてやってしまおう。
仮想リンクの設定の仕方だ。

バックボーンエリアへの道ですよね。

うむ。
他エリアへのトラフィックは必ずバックボーンエリアを通らなければならないというルールがあるからな。

でしたよね。
なんでこんな面倒な設定なんでしょうか。

さてな。ProteonのJ. Moyにでも聞け。▼ link
ともかく、そのような場合仮想リンクを設定する必要がある。

上のような構成の場合、以下のように設定する。
まず、エリア３のABRに対して。

逆も行う。つまりエリア０のABRも以下の仮想リンク設定を行う。

仮想リンクの入り口と出口の両方のルータで行うってことですね。

うむ。指定するIPアドレスはルータIDを使う。
指定するエリアは通過するエリアというのがまた間違えやすいので気をつけるように。

そうですね。この場合エリア３に仮想リンクが必要なんだから、エリア３を指定しちゃいそうです。

一応仮想リンクを行えば、どのようにバックボーンエリアを設定してもよいが。
仮想リンクはなるべく設置しないようにネットワークを構成した方がいいだろう。

何故です？

通過エリアに負荷がかかるからだ。
通常、バックボーン以外のエリアは自エリア宛か自エリアが元のトラフィックしか通らないが、仮想リンクを設定すると他のエリアのトラフィックが通過することになるからだ。

そういえばそうなりますね。

■ OSPF まとめ

さて、今回はCiscoIOSの話ばっかりになってしまったが。
一応OSPFの話はこれで終了だ。ちょっと大雑把な説明だったが、概要だけでも掴むことができたかな？

う、う〜ん。
こんにちはぱけっと…。

それしか覚えてないのか？
もちろん、それも重要だ。OSPFの初期動作だな。

こんにちはパケットで、ネイバーと隣接関係を結ぶんですよね。

うむ。
DRによるフラッディングも忘れるな。

そのエリアのリーダーでしたっけ。
リーダーとだけ隣接関係を結んで、データベースの交換やLSUの送信量を減らすんでしたよね。

うむうむ。
そして、エリアタイプとルータタイプ。

データベースとルーティングテーブルの肥大化の阻止、でした。

そういうことだ。
OSPFは非常に優れたルーティングプロトコルであるが、高機能ゆえの弊害というのもある。そこらへんを忘れないように。

了解です。

さて、次回は違うルーティングプロトコルの説明をしよう。

いぇっさ〜。
30分間ネットワーキングでした〜♪