HALF AND HALF JOURNAL

 

 


破 片

無 意味 な

                                                         

無意味な破片

                                        

 

                

           

 

Fragments

HHJ

                         inutiles

 

      

            

☆ ☆ ☆        Updated 2004.12.22

半分半分放送局長―〈NHKに言いたい〉ことがあるのは、日本人だけじゃないようだな

特派員―ええ、思ったとおりで誰にでもよく分かるジョークでしたね。あのタイミングはまるでベースボールですよ。

放送局長―アメリカン・フットボールの猛烈さがあったよ、な。何か言いたそうだな?

アロマ―今入ったニュース。アル・マナール放送局がフランスで放送停止処分を受けたり、アメリカでテロリストのリストに載せられたりで、ベイルートのフランス語放送局〈TV5〉がアル・マナール放送局との連帯の気持を表わして放送を止めたということです1。あっちも大変、こっちも大変。

放送局長―全然大変っていう感じがない。TVで覚えた言葉だ。それは、ま、どうでもいい。海老沢会長は〈NHKに言いたい〉に出演したけど、やはり辞任の表明はしなかったね。

アロマ―ええ、がっかりしたわ。

ナモネ氏―昔、白黒テレビの時代に〈ディーン・マーチン・ショー(Dean Martin show)〉が人気だった。あれが期待はずれのときなどに前に倒れるジェスチャーをして受けたもんだが、あの気分だね、私も。

アロマ―ああ、それを聞いてほしいと思う。テーマ・ソングの〈Everybody loves somebody sometime(誰かが誰かに恋してる)

放送局長―あれから止めどなく悪くなってしまったな、いや、おれじゃなくて日本が、だよ。

特派員―海老沢勝二という人は、早大の政治経済学部を出てる。同じ学部のOBに久米宏や大橋巨泉がいる。しかし、放送界の天辺に登りつめたこの人の評判は、ひどいもんですね。夕刊フジのインターネット版がかなり突っ込んで、こう批判してる。〈会長以下12人の副会長、専務理事らが役員に名をつらねるが、「すべてが会長の側近。会長の独裁体制を構築するため、同期でも、できの悪い人材を登用しているとさえ思える」とは、同局OBで、椙山女学園大の川崎泰資教授。〉これは理事会のことだと思いますが。

ナモネ氏―何でも思いどおり、というわけだ。

放送局長―会長と理事会がその気になれば、逮捕されたプロデューサーが担当者の留守を狙って不正にコンピューターに請求内容を書き込んで金を引き出すなんてことは不可能だったはずだ。システムの欠陥を放任した責任は重い。

特派員―管理責任は、外部機関の経営委員会にもありますよ。この委員たちは種々雑多な分野の人間で、職業から判断すると、法律に明るいと思える人はいない。

アロマ―ちょっと待って。経営委員会とは何か、HPの説明を読んでみる。〈NHKの毎年度の予算、事業計画、番組編集の基本計画など、経営方針や業務の運営に関する重要事項を決定する機関として、経営委員会が設置されています。経営委員会は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を持つ12人の委員で構成されています。委員は、国民の代表である衆参両院の同意を得て、内閣総理大臣により任命されます。〉経営委員の選定は、会長の権限?

放送局長―そう、管理責任者の権限だね。他人の強要がなければ、自由にできる。他人というのは政治家や右翼。もっとも、秘密の謀略機関とNHKが別々でなければの話だ。

ナモネ氏―法的な独立性があるとは思えんな。国会と内閣が干渉する権利はどんな根拠に基づいてるのかね?我々国民は直接NHKと契約してNHKに対して受信料を支払う。

特派員―事業収入の96.5%が視聴者の毎月払う受信料ですね。

放送局長―NHKの場合、国民の代表は外部機関の経営委員会だけで十分だと思う。しかし、今度のような問題は〈公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を持つ12人の委員〉がそれにふさわしい能力がないことを証明した。会長を信頼するのは楽観主義だ。選挙で各地域代表委員を決めるのが一番民主的だよ。

特派員―来年NHKは開設80周年を迎えるそうです。第2次世界大戦を生き延びて、民主主義の世界に仲間入りしたけれど、どれだけ憲法の理想を忘れないでいるか、と自問してみるべきですね。

ナモネ氏―NHKの歴史を振り返ると、南アメリカの何とか部族の酋長の話を想い出さずにはいられないよ。酋長は初めて文字を見たとき、これは支配に役立つ道具だと直感したというのだ2。日本の権力者はずっとそれ以外のことは考えなかった。

放送局長―他のことは考えてないな。

               ☆ ☆ ☆

 

1 Solidarité avec Al-Manar au Liban
    NOUVELOBS.COM | 20.12.04 | 15:49

2 悲しき南回帰線 : C.Levi-Straussレヴィ-ストロース

 

NHK問題に関する記事を読む

■ 衛星放送アル・マナールとNHK ; ダブル・ドラマの回り舞台

■ 放送局で詐欺事件か?放送局の詐欺事件か?

■ NHKと会計検査院の馴れ合い

 

 

 

 


                         

 

☆ ☆ ☆  B Updated 2004.12.1

半分半分放送局長―数年前、富良野の名前をつけたジンギスカンのレトルト製品を買って食べたら、驚くほどまずいんだよ。スキー場でぶっ倒れるような味だ。〈試される北海道〉というキャッチ・フレーズが袋についてたが、ね。

特派員―北海道新聞が応援してるんでしょう。

編集長―北海道新聞と聞けば、記憶の奥に反応がある。早稲田キャンパスで機関紙旅友の編集をしていたとき、先輩がさりげなく、何年か前に北海道新聞が旅友の北海道批判記事を叩いたことがある、と言うのだ。それしか覚えてないが、観光への影響に神経質になったらしい。ぼくは、それがどんな批判記事か、読んでみようとは思わなかった。しかし、その話は意味ありげに明滅するときがあるね。

放送局長―そういうことは珍しくない。おれの経験から言うと、夢の象徴的な記号によく似てる。言葉にならない現在の状況をそっくり説明して保存するんだ。

編集長―イメージでなくても、ありうることだな。北海道新聞の名前が再び出てきたのは、公費悪用問題が終息して間もない2000年の春。函館新聞の創刊を妨害したという荒唐無稽な事件で、文明開化の港町函館を騒がせていた。函館新聞は、HPを見ると、1996年4月から創刊の準備を進めたが、さまざまな排他的妨害に会い、去年1月創刊と同時に公正取引委員会に審査を申し立てたということだ。

 

その結果、北海道新聞社は

1 平成6年9月に函館新聞社対策会議を設置し、妨害目的で新聞発行に使用されると目される9題字を商標出願することにした。

2 時事通信社に函館新聞社からの配信要請に応じないよう暗に求めた。

3 平成8年5月の役員会で函館新聞社対策として地域情報版の発刊を決定、広告料金を本紙の約半額にするなどした。

4 テレビ北海道に一度決まっていた函館新聞社のCM放映に応じないよう要請した−ことを違反事実として挙げ、妨害行為と認定した

 

これは、独占禁止法第3条の私的独占の禁止に違反するということだ。特許庁が新聞の題字登録を拒否したことと合わせて、北海道新聞社の不正は決定的になった。

特派員―それに続けて、函館新聞は歴史的に批判してる。巧妙ですね。

 

北海道新聞は昭和17年11月、政府のとった戦時下の総動員法に基づく「新聞事業令」により、十勝毎日新聞、新函館など11紙が統合して創刊された。いわゆる 1940年体制の産物である。同体制の基本的方向は<1>生産優先<2>競争の排除であった。今回の同社の行為は、この戦時体制の方向を未だに変えていないとも言える。

 

放送局長―違う方法を選んだり構想する力がないんだよ。

                                       

放送局長―北海道新聞は公正取引委員会の勧告に反発したけれど、結局受け入れたね、2000年2月。言論の自由を踏みにじった行為を認めたのかと言うと、〈新規参入を妨害する行為はなかった〉と白々しく主張している。

編集長―反省の色が全然ない、というのは、やはり権力機関だよ。財政的な地盤が固い。

特派員―函館の名を使えないようにしてやるっていう発想がユニークですね。動機は、あれでしょう?

放送局長―あれに決まってるさ。

編集長―どういう育ちなのか?…ぼくはそのあと30年ぶりに函館に行って、撮影して、それから、仮面のエセーとリヴァー・ユートピア妨害工作を読ませるためにHHJのバック・ナンバーを持って行った、北海道新聞社に。何の反応もないので、呆れてしまったよ。

放送局長―無反応があった、ということだ。

編集長―まあ、そうだ。ぼくが注意を引かれたことをちょっと言えば、啄木の代わりに郷土出身の評論家の名前が載っているパンフレットがあること、函館駅前にあった大門という地名が消えていること、だ。

放送局長―71年旅友に載せた小説《夜の風景》のラスト・シーンだったな、港祭りの夜大門の酒場から連絡船に移る…

                                  ☆ ☆ ☆

 

この問題を詳しく知るために

▼ 函館新聞HP

 

 

 

 

 


                          

☆ ☆ ☆  A Updated 2004.11.29

編集長―ファシズムの特徴の一つは、言論の自由を代表するメディアに対する統制だ。

半分半分放送局長―それよりも先に政治と軍隊と大企業の三位一体がある。

ナモネ氏―官僚も付け加えたいもんだ。

特派員―その方が実像にぴったり一致してますね。

編集長―ああ、問題はそのメディアが狡猾な媒介者(メディアトゥール)だということなんだ。

アロマ―まるでいい加減な翻訳者みたいに。

放送局長―今日のテーマは、大新聞社による地方メディアの不正な株保有だな?1111日読売が、感心なことだが、内部のニュースを公表した。〈系列のテレビ局やラジオ局など計42社の株式の一部を第三者名義で実質的に保有し、計12社分については総務省の省令で定められた持ち株制限を超えている〉と1。アサヒビールの宣伝記事によれば。〈省令は、放送局の大株主が他の放送局の株を持つことに一定の制限を課している。表現の自由の多様性を確保するための措置で、複数の放送局で20%以上の株式を持つことはできないなどの規制がある。「マスメディア集中排除原則」と呼ばれる。

特派員―18日の読売は、その省令が電波法に基づいて定められた、と丁寧に言ってますよ。〈1 全国で複数の放送局について20%以上の株式議決権を持つことができない。2 同一地域では複数の放送局について10%超の議決権を持つことができない。〉総務省のHPを開いたら、省令は有料アクセスなので、止めました。HHJには有料アクセスの予算がないんです。省令には罰則規定がないようですが。

放送局長―罰則を作る予算がないんだ。

ナモネ氏―しかし、総務省の反応は早かったな。

特派員―ええ、そうですね。〈17日、国内のすべての民間テレビ局とラジオ局に対して、第三者名義や、省令で定められた制限を超えたマスメディアによる株式の保有がないかどうか、点検するよう求めると発表した。2 同じ17日、今度は朝日新聞が地方放送局の持ち株制限を越えているというニュースです。

編集長―マス・メディア業界の内乱だよ。悪いのは他にもいっぱいいる、と言ってるように聞こえる。

特派員―簡単にまとめると、こうです

                

編集長―今そういう不正をさらけ出す理由は何だろうか?

放送局長―うむ、強烈な地震が起きて耐えられなくなったのだ、と思う。株の保有というのは一般国民の目には地下組織みたいなもので、会社の活動方針を決定するが、誰がハンドルを握っているかは分からない。悪党なら、取材の対象や番組の作り方にまで注文をつける。それで、新聞と放送局は現実を正確に反映できない鏡になってしまい、一般国民は国会と地方議会に対してと同じく民主的な改革を要求することになる。

特派員―それらの組織は日本ではみんな団子のようにくっついてますね。

放送局長―一粒の米なんて、ないんだよ、君。

編集長―テレビ朝日が積極的に全国ネットを展開して秋田県に80年代の末秋田朝日放送ができたとき、ぼくは警戒したが、ああいう巨大メディアが地方で重点的にやらなければいけないのはローカル放送局の育成やタウン雑誌の発展を支援することなんだ。地域の知的な環境作りとか法律の改善をめざしてさえいれば、民主主義は十分根づいて花を咲かせたはずだ

ナモネ氏―反対の方向に行ってしまった。戦前の全体主義と大して変わらない方向に。

特派員―これ以上進むのが困難だから日本精神の田舎に帰ろう、というわけですよ。

アロマ―きっとインターネットを恨んでるでしょうね。戦争が終わるまでNHKにニュースを提供するのは朝日新聞の自由勝手だったそうよ3。配信がなければ、ニュース番組はお休み。

                

放送局長―TBSは、残念だな。

編集長―2002年までは別に問題がなかったから、な。それより後浜との連絡が難しくなったことが心配だ。911日メイルを送ったんだ。〈そろそろ長崎ちゃんぽんがおいしい季節だが、元気か?〉しかし、返事が来ない。

特派員―フランス人ジャーナリスト二人のように人質状態ですね。

編集長―去年は〈セミナーの裏方〉をしてると言っていた。

放送局長―プロデューサーまでやった男が、ねえ。あの放送局の美意識は、どうしても権力に嫌われるよ、な。

アロマ―アトさんとキサクが手を組めば、日本はよくなるんだが、なあ

放送局長―それができなかったということは、それだけで何かを証明してる。それにしても、長崎ちゃんぽんてのは、おかしいよ。複雑で、縺れっぱなしなんだろうな?

☆ ☆ ☆

 

 

1           朝日新聞 Web asahi.com  20041111()

2           共同通信  KYODO NEWS  20041117()

3  講談社 昭和2万日の全記録

 

 

一覧

□北海道新聞社

第三者名義の株式を実質保有

北海道文化放送(UHB)、テレビ北海道(TVh)、エフエム北海道

総務省令の持ち株制限オーバー

テレビ北海道 エフエム北海道

 

□毎日新聞社

第三者名義の株式を実質保有 総務省令の持ち株制限以下

地方のテレビ局、ラジオ局2社

名義貸し

テレビ局、ラジオ局8社

 

□フジテレビジョン

第三者名義で実質保有

テレビ局35社とラジオ局18社

 

□産経新聞社

個人名義で実質保有

テレビ局2社、ラジオ局1社

名義貸し(フジテレビやニッポン放送などに)

テレビ局39社、ラジオ局31社

 

□朝日新聞社

第三者名義の株式を実質保有

テレビ朝日系列の広島ホームテレビ(広島市) 静岡朝日テレビ(静岡市)

日本テレビ放送網系列のテレビ岩手

総務省令の持ち株制限オーバー

テレビ岩手(同じ岩手県内にある岩手朝日テレビ(同)の株式も15・2%分を保有している。)

 

□東京放送(TBS)

第三者名義を含めた実質保有  総務省令の持ち株制限オーバー

系列のテレビユー福島(福島市、TUF)

第三者名義株を実質保有 省令による制限以下

他のテレビ局6社  

 

 

 

 

 

 

 


              ☆ ☆ ☆   Updated 2004.11.21

アロマ―大変、角川大映撮影所第3スタジオが21日午前零時すぎ燃えて、建物が全焼したそうよ1。このスタジオでは〈妖怪大戦争〉の製作が行なわれていて、映画みたいに怪しい火事らしい。

半分半分放送局長―そうか。角川なら同情する気にならないな。呪い、オカルト、グロテスク、そういう作品ばかり売り物にするから、きっと罰が当たったんだよ。

編集長―まったく、70年代の早い時期に角川文庫が横溝正史シリーズを派手に売り出して、そのうえ映画化にも乗り出したときは、軽蔑したね。それまではオーソドックスな本を出していたところだが、あれ以来買わなくなった。

ナモネ氏―角川映画は、血液と臓腑を見せつけるようなショッキングな映像を好んだ。鈍感になったら、大変だと思ったな。

特派員―人間の知性が解き明かせない現象を描くというのは、悪いことじゃないですよ。しかし、ただ身の回りの世界に潜在するさまざまな恐怖を拡大するだけでは、ね。

放送局長―君。それは、おれが言おうと思ってた科白だ。若い人たちにまず歴史的な解説を入れてから、教養に満ちあふれた説明を、と。まあ、いいや。これだって、不思議な現象だな。中国の内モンゴル自治区で今日午前820分東方航空の旅客機5210便が離陸直後に湖に墜落して、53人全員死亡した2

アロマ―化け物が乗っていたのよ。

特派員―原子力潜水艦が石垣島北方の領海を侵犯した事件の直後ですから、ね。偶然のテロリズムだと思いたいな。

編集長―1983年サハリン沖で撃墜されたKALの旅客機フライト007のように、元軍人の機長のカミカゼ・テロだった可能性がある。偽装の目的は、アメリカとソ連を対立させることだった。

放送局長―異常現象の恐怖で臆病な人間たちを脅迫することも、ひそかな狙いだ。

ナモネ氏―あの事件でおかしいのは、日本のテレビ局が三沢基地やペンタゴンより早く異常事態を認識して報道してることだ3

特派員―〈認知症〉にかかって。

編集長―今日はこれでインターネットに乗せるか?もう6時だ。

       ☆ ☆

 

1        KYODO NEWS

2 読売新聞 Web

3  CODED HOSTILLE     007便応答せよ   [1983.9.1発生]

  1989年制作 A GRANADA Film  イギリス・アメリカ合作

 監督 David Darlow

  脚本 Brian Phelan

 

日本人はよく分かること

▼ カミカゼの奇怪な変種

 

                            

 

 

 

 


☆ ☆ ☆   Updated 2004.11.12

編集長―この問題を何とか叩きたいと思うんだ。

特派員―そうですねえ。これをうまく料理できれば、1年分の缶詰がもらえるに違いありませんね。しかし、ぼくはこういう話は苦手です。

編集長―《ギリシア宗教発展の5段階》によれば、古代ギリシアには豚を完全に焼き尽くして灰にする祭りがあったということだ1

特派員―ホロコーストですね。

半分半分放送局長―オール・オア・ナッシング。すべてと無というのは、どうも裏でつながってるような気がするよ。

ナモネ氏―完全さを追求すれば、無になるということだ。

編集長―ぼくはその起源に伝染性の病気があると思ったね。豚が原因不明の病気で大量に死んだとか、豚を食べた人間が奇怪な死に方をしたとか…だから、灰になるまで焼かなければならなかった。

特派員―そう言えば、ヨーロッパ文化に豚肉料理はないですね。豚肉は全部ソーセージやサラミに加工する。日本のように生の豚肉を家庭で煮たり焼いたりフライにしたりなんていう習慣はありません。

放送局長―この〈桃豚〉っていう商品名には、本当吐き気がしてしようがないよ。

                

特派員―豚肉では日本で初の生産情報公表JAS規格の認証を取ったということですが、ね、この十和田湖高原ポーク出荷グループの〈ミートランド〉と〈ポークランド〉は。

ナモネ氏―鹿角市と小坂町じゃ、何を考えてか、大々的に宣伝してるよ。猥褻なイメージを付ければ、消費者の食欲をそそるかな?売れるわけがない。

編集長―問題は、そうしたい組織があるということですね。総死体組織。これはワード・プロッセッサーが教えてくれたジョークです。最初に打った日本語の文章が、〈ぼくはにわでひるねをしたい。〉…漢字に変換したら、〈僕は庭で昼寝を死体。〉

特派員―傷はまだ残ってますね。

編集長―当たり前だ。シュール・レアリスムとは無縁なイメージだ。日本語は21世紀の言語じゃないよ。

放送局長―現代はイメージに重点を置くけれど、中味はどうでもいいんだというのは非常に日本人的だ。表面の美学があるんだ。

ナモネ氏―その企業は地域のイメージを考えてない。東北の人間は敏感であるべきだ。

編集長―問題は、イメージの力を悪用したい組織があるということです。大館は日本のアウシュヴィッツと言われる花岡事件の舞台だが、それが学校やジャーナリズムでタブー扱いされなくなると、反動的に花岡商店という食肉会社ができた、いつの間にか。

ナモネ氏―よく覚えてないが、70年代末だったかな。左翼と右翼の戦いだよ。

                              

放送局長―ところで、〈東北の人間は…〉で想い出したことを言わせてもらうと、東北の偉い人の話を聞いたり読んだりすると、この人はどんな学生時代を送ったのかな、と思うね。東京でも他の大都市でもいいが。

ナモネ氏―大学時代の追想を書き綴ったのは長谷川喜作だけだな。北鹿新聞や秋田魁新報を期待しながら読んでるが、そういう人間はいない。

編集長―書こうにも何も書くことがない孤独な都会生活を送った人が多いと思うね。

放送局長―そう。そんな人間が、だ、年取って田舎で偉そうな口をきくってのは地域の健全な発展ばかりか国の将来にとっても致命傷だよ。自由に対するいわゆる〈怨念〉というやつがあって、化け物みたいに行動を支配してる。

特派員―それが皮肉なことに国家権力の憎悪と結びつきやすい。若い人たちはずっとそれを見ているところです。さっそく東京の珠美さん(編集長の2番目の妹)の桂高校時代の友達からのメイルです。〈世の中には許せるワルと許せないワルがいる!

放送局長―可愛いエッグも、えぐ(よく)言ってくれた。○×式の勉強と本の知識の寄せ集めだけで、頭がいい振りをするなってんだ。

ナモネ氏―安物のワインで申し訳ない。しかし、もっと悪酔いして構わんよ。

編集長―やはり青春は楽しくなければいけない。

特派員―最近ふと思いついたんですが、東北地方に対する東京の蔑視とロシアに対する国家の敵意の間には何か必然的な関係があるんじゃないか、と。

ナモネ氏―それより小坂鉄道の脱線事故の方が重大問題だ。119日に起きたんだぞ。

放送局長―イラクの臨時政府が60日間の非常事態宣言を出した、こっちの方が重要だ。

編集長―アラファト(Yasser Arafat)議長の死はたぶんパレスチナの葬送行進曲だな。

特派員―中国の原子力潜水艦が石垣島の北方を領海侵犯して通ったというニュースも放っておけませんよ。

編集長―新潟の地震についても書かなければいけないな。山古志村で起きた土砂崩れによる天然ダムっていうのは、〈人災〉でなくて何だ?

ナモネ氏―偶然かテロか?

特派員―偶然のテロリズムです。日本政府はそんな存在は認めてませんが、ね。

ナモネ氏―リヴァー・ユートピアの存在をも。

編集長―大鰐でも重大事件ですね。これを見てください。

ナモネ氏――ううむ。こりゃあ凄い発見だわい!

       ☆ ☆

 

1 ギルバート・マレー(Gilbert Murray)  岩波文庫

 

▼ 十和田高原のおいしい牛乳

▼ 八幡平の東と西の争い

▼ サシミ反対運動

 

 

                         

 

 

 

 

☆ ☆ ☆   Updated 2004.10.28

編集長―〈わらび座〉が1974年以降急成長したというのは、なかなかおもしろいね。

特派員―田沢湖芸術村とかいう場所でで共同生活しながら民族的な芸能を中心に活動してる劇団ですね。でも、右翼じゃない。

ナモネ氏―朝鮮戦争のさなかに東京で結成された、まあ、左翼の演劇運動というイメージが強かったな。そうだ。革新系が叩かれて息絶え絶えになった時代に、どうやって海外にまで光り輝く発展を遂げたか、教わりたいものだ。

編集長―例えば、こういうテーマの演劇は遠慮するということですよ。〈秋田県庁の裏金作りと佐竹藩の伝統的製錬技術〉

ナモネ氏―はっはっは

半分半分放送局長―いやあ、最高だなあ。大館には大館市民劇場という劇団があるけど、これはどうなんだろう?

特派員―学校の先生たちが引っ張ってる劇団ですから、ねえ。

編集長―親戚の教師が自嘲的に言ってる。〈ぼくらは将棋の駒ですよ。〉

ナモネ氏―現実から逃げた芸術は腐るしかない。

特派員―マチエールに取り上げられた作者や過去に実在した登場人物は、今を生きた。だからこそ、現在でも生きている。良かれ悪しかれ人生のひとつの型で、そう受け取られたはずだけど、古着を着る人たちは過去の別の世界で生きようとするだけ。ひどい錯覚です。

ナモネ氏―日本の古い文化は一度整理しなくてはいけないと思うが。私には重い荷物だ。

放送局長―ハセは立派だよ。受け皿から外れたカップやテーブルの傷を描こうとした芸術家はいなかったが、優れた作品に仕立て上げた。さりげない新しい地平線を開いたのは、今この世界を生きる哲学だ。感覚や情念ではない。

編集長―あの作品には芸術家本人がびっくりしたね。昔から疑問に思うのは、日本の革新的な政治思想はどんな芸術文化の創造をめざすのか、ということだ。政治思想がそれと協調できなければ、たとえ食生活を豊かにしても、必ず挫折する。

放送局長―原則として、政治は芸術の多様性を尊重するべきだ。芸術文化は個人の自由に任せてほしいね。

ナモネ氏―抽象的には賛成だが、実際は政治が芸術を決定してるんだ。

特派員―ええ、ええ、鉄骨を組み合わせたアール・デコ様式の建築が流行したけれど、あれなんかは製鉄業界と政治家の醜さの表現ですよ。

              ☆ ☆ ☆

 

 

                                                            

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